2021年3月20日 以下の文章は10年ほど前に書いたものです。
検索でたどり着かれた方は最近の入試の傾向とは異なることもありますので最新の情報をご確認ください。以下本文です。
擬古文というのは主に江戸時代に古代の文章をまねて作られたものだが、今の受験生から見れば明治時代や大正時代や戦前の文章は、広い意味で『古文のような文章』といっても差し支えあるまい。当時の人が全て鴎外のような文体で書いたわけではないから擬古文的な文章と呼ぶ。京大が漢文調の擬古文(的)文章をほぼ毎年、出題するのはなぜか?
京大の校風といってしまえばそれまでだが、答えは入試に漢文がないからである。入試に漢文がないからこそ、京大受験生は漢文対策が重要である。
夏目漱石はともかく、鴎外は高校生に聞いてみると読んだことがない。ましてや北村透谷や山路愛山はほとんど読まれていない。
山路愛山は知らない人も多いと思いますが、
東京都渋谷区に愛山通りがあるのは人名から取った名残である。
京大志望の高校生には北村透谷の文章は読んでいますか?ときいてみる。西田幾多郎や西谷啓治はどうですか?ときいてみる。答えがイエスなら京大受験の国語はなんの心配もない。京大受験生には京都学派という言葉は知ってほしい。
北村透谷や中島敦は高校生のときにかなり読んだ。最近になってある理由から、書庫より取り出して再読した。
ある理由とは、ここしばらく、生徒に勧められて早稲田大学初のノーベル賞受賞者になるであろうとの作家の小説を読んだ反動である。
内田百間の文章に広江文尚堂のシュークリームはうまいとの箇所がでてくる。朝日高校の多くの生徒は広江先生のお店の前を毎日通っているはずだ。先生とお呼びしたのは私が丸之内中学校に通っていたときの広江校長のご実家だからだ。
内田百間は大手饅頭のおいしい食べ方を紹介している。子供のときに食べた大手饅頭の味が忘れなれなくて夢にまで出てくる。その話を読んだ読者が岡山から東京まで大手饅頭を送った。当時のこととてクール宅配便で次の日に届くということはない。いざ食べようとしたら干からびている。夢にまで見た大手饅頭の味ではない。
大手饅頭は夢で食べるのが一番うまい
京大入試からそれたので閑話休題。
とここまで書いて・・・・・閑話休題という言葉は
それた話題を元に戻す
という意味で
話題を変えるが・・
という意味ではないが、多くの人が誤用している。これは漢語の造語成分・成り立ちを考えずに漢熟語を覚えるからであろう。音楽は文字通り音を楽しむものだというのは間違いで目的語が後ろにくるから、音を楽しむという漢語は『楽音』となるはずだ。
だから閑話休題は
■ 閑な話の題するを休む
と書いてあるのだから
■ 閑な話(どうでもいい話)の題する(話題にする)のを休む(いったんやめる)
の謂であるから漢文の学習をしておれば絶対に間違えるはずがない。これが京都大学国語受験の対策である。
と、うまく話が京大受験に戻った。
*鴎外・百間についてはパソコン環境の制約のため代用漢字を使っている。ついでに言えばUBQのHP上でも灘中学・高等学校の灘という漢字は代用漢字である。草かんむりの異体字に注意して灘中学のHPを見てください。岡山の塾の広告でもあの塾だけは正式な漢字を使っている。
