偏差値について書かれたものは教育統計学の専門書がほとんどで中学受験の保護者向けのものは見かけない。偏差値は大変便利なものさしであってものさしに善悪はない。順位は出しても良いが偏差値はけしからんなどといった文部省の役人はよほど統計学の知識に乏しいのであろう。

 

 学校で一番であっても他を引き離してダントツの一番なのか団子状態のなかの僅差の一番なのかわからない。偏差値は全体のちらばり(分布)のなかでどの程度の位置を占めているのかを示すのにとりあえず簡便な指標である。この全体の分布としては正規分布が前提になる。

 

これは様々な分布を重ねていくと正規分布に収束することが数学的に証明されているからだ。しかし、これは作業仮説に過ぎなくて実際に正規分布に完全に従う分布を見つけるのは困難である。


 

中学受験の模試・偏差値は全小学生から無限の人数を集めて無作為抽出するものではないから正規分布するはずがない。


 

わかりやすく説明するためにおしなべた例をとってみる。岡山白陵中学は全部の小学生が受験するものではない。仮に岡山白陵中学を受験するものは公立小学校で上位10%にはいっているものとする。

 

四谷大塚でも日能研でも模試を受けるのは塾に通っていない小学生も含めた中での相当優秀な集団である。

 

小学生をランダムにあつめた模試で一万人中800番から300番まで半年で上がったとしよう。

 

 

500番のアップだ。これは全体の5%、順位があがったことになる。偏差値の変動は数ポイントである。

 

ところが、模試を受けた生徒の上位1000人だけをとりだしてもう一度、偏差値を出してみよう。

 

1000人中800番から300番まで上がったことになるから全体の50%上がったわけで偏差値のアップは相当なものである。つまり見かけの偏差値が拡大されることになる。つまりトップクラスを集めた偏差値35というのは50万人以上が受けるセンター試験の模試の偏差値35とは全く母集団が違います。


 

入塾に試験があるトップ難関塾で教えていたときに最も多かった相談は:

毎回の試験で偏差値の変動が大きい。うちの子はムラがあるのでしょうか?

 

というものだったが、上の理屈を説明すれば、たいていは納得してもらえた。

 

タイトルに戻って結論を述べれば十分可能である。しかし、これが大学入試には当てはまらないこともお分かり頂けると思う。受験生の母集団の規模が違うからである。