文化が違えば、言葉の表す概念は異なる。

歴史で習った有名なシナイ山やネポ山に行った。




これらは、日本で言う「山(やま)」のイメージと全く違う。
日本人には、山というより巨大な岩の塊にしか見えない。

「シナイ山 WIKI」の画像検索結果



中1の英語の授業である。

waterを英和辞典で引かせると、電子辞書で最初に書いてある意味だけを見る生徒がいる。

それではだめだ。
紙の辞書で、最後までしっかりと読みなさいと、UBQでは指導する。

waterには動詞として「水をまく」とか「ぬらす」という意味もある。
何よりもこの単語は、温度に関係なく使う。
日本語では「水」「湯」などと温度によって言葉を使い分けるが、英語ではそうしない。
だから、十分に温まっていない風呂を、「まだ水じゃないか!」とでも言うつもりで、
「This is water!」
と叫んでも、相手は理解できない。

「blue=青」と覚えている人がいるが、blueには、「気分が悪い」といういう意味もある。
気分が悪いからといって、「私は青い」という日本人はいない。

これは中1レベルの英単語での説明だが、国家、社会、経済、宗教の絡む単語になってくれば、さらに複雑な話になる。

小学校で、「世界の国々」を習うが、これらが英語でどう表記されているのかを見れば、日本語で「国(くに)」と一言で言い表しているものが、いかに様々な表記をとっているかがよくわかる。
帝国書院発行の新詳高等地図より、いくつか例を挙げてみる。

中国=People's Republic of China
アメリカ=United States of America
イギリス=United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
イラン=Islamic Republic of Iran
ヨルダン=Hashemite Kingodom of Jordan
リヒテンシュタイン=Principality of Liechtenstein
アラブ首長国連邦=United Arab Emirates


(エミレーツ航空のEmirates)

「国」という一言で表現されているものでも、これほど違うのだ。
これらの違いを本当に理解しようと思えば、政治、歴史、宗教などの知識が必要だろう。

これらを十把一握に「国」として教えるのは、いかがなものか。(Y)


*Principality of Liechtensteinについて:ナチス・ドイツの台頭時に、圧倒的多数を占めるであろうナチス寄りの国民・政治家から国を守るため、議会や選挙を止めたとされる。国王は民主主義の怖さを知っていたのであろう。いまでも、権威を持って独立しているのはそのためだそうだ。



*例えばグァムという国はあるのか?アメリカの準州てなに?グァムに生まれたチャモロ人は。アメリカ合衆国の大統領の被選挙権はあるのか?サイパンは・・・。


こういうことを考えるのが本当の勉強です。


「場所を忘れたら地図を引けばよい。漢字を忘れたら辞書を引けばよい。時刻を忘れたら時計を見ればよい。でも、時計の見方の分からない、生徒に、その都度時刻を教えてあげても何の教育にもならない