歌うたいになりたいと頑張っていたころの友人で

二十歳そこそこなのにデザイン関係の世界で名立たる賞を

とるほどの実力を持ちながら、

何故か歌の世界に飛び込んできた男の子と

ほぼ毎週いろんな意味で競い合っていました。

 

歌の仲間たちの間では私と彼は付き合っていると勘違いされていましたが、

互いに全くそんな感情を持つ暇もないくらい音楽で負けたくない相手で

純粋に人間として尊敬し合っていたライバルでした。

 

競い合っていても彼の行動力には太刀打ちできませんでした。

まだnetが普及していない時代に郵便で

海外の超有名プロデューサーにもdemoを送るほどの行動力には驚愕しました。

 

そもそもデザイン関係でメディアでも有名な〇〇さんの直弟子

なんだからコネで歌の世界でもいけるのでは?と、

彼に聞いたことがありましたが、

「実力でどこまでいけるか勝負したい」

との回答に感銘、共感したのを今でもはっきり覚えています。

 

彼と共有した話ですが、いわゆるデビューとセットに誘われる話もありました。

彼も私も互いが好きで求め合わないことはしないというポリシーがあり、

そういう甘い誘いから逃げたことを笑い話にしていました。

 

私は、とある企業の会長さんに妊娠している婚約者が

その場に一緒にいるところでそういう誘いをしてこられて

頭の処理能力が狂いそうになったことがありました。

 

また先生にピアノを弾いて自分の新曲を聞いてもらっていた時に

「お前の歌には色気がない」と、言って胸を揉まれることが続いて、

色気が出るためだと思い込まされ我慢していました。

 

彼もスタジオ内でいつの間にか有名プロデューサーと

二人きりになっていたときに貞操の危機を感じて

どうやって逃げたか思い出せないけど逃げ切ったと言っていました。

 

たまたま彼と共通の先生がいて飲みの席でそういう話をしたところ、

「いくら有名だからってそんなことだけでデビューできる訳ないだろ」

「そんな変態先生から逃げろ」

と、一蹴されました。

 

率直に言ってくださる先生、大人に出会えてよかったと思います。

 

 

数年後、野心のある子たちとライブハウスでセッションをしたあとの飲み会で

笑える思い出話として私と前述の彼の話をしました。

「え?もったいないじゃん!全然OKだよ」男の子①

「そういうおいしい話逃しちゃうのもったいないよ。私なら行く」女の子②

 

そういう思考の人もいるとは思っていましたが、

まさか彼氏彼女と仲がいいと知られている人たちが

そういう考えを持っているとは信じられませんでした。

 

ちなみに…

①の子は数年後にアニソンでデビューをし、

今もラジオとかで活動しているようです。

②の子は近年me too運動で被害に遭ったと言っていたそうです。

 

個人の思考、志向はどうであれ、

今現在、自身で選択、決定できる年令に達しているということでもあります。

 

だからこそそういう場面に遭遇したら、

自分がしたいことの目的に絶対必要な切符なのかを

自分の心に問いかけてください。

 

流されず、必ず自分で選択、決定してください。