ヒデさん! こっちや。
マクドナルドの入口を入ると、
すぐに
奥のテーブル席から声がした、
野太いが よく通る声だった。
先ほどの電話の声だった。
声の方に視線を移すと
そこに 彼は
いや、
彼ら はいた。
愛媛県感染者 2人。
コロナも落ち着き
人が溢れる店内でも
彼等の存在感は
際立っていた。
声をかけてきたのは
巨漢の方だった。
彼が 先ほどの電話の主
「チョ」さん なのだろう。
第一印象は
ヒップホップ系の
グルメリポーターという感じだった。
この季節に
半袖の派手なTシャツ、
迷彩柄のハーフパンツにビーチサンダル、
五分刈りの金髪に 金縁のサングラス
という、
ちょっとイカつ目だが
印象はむしろ
フレンドリーで コミカル だった。
そして、
隣に 窮屈そうに
足を組んで 座っているのは、
全身グリーン の男だった。
モスグリーンの ロングジャケットに
同系色のスキニーなパンツ、
ダークグリーンのハットをかぶっている。
マスクだけがレモンイエローだった。
長身で細身の身体から
クリエイター風のオーラ を発していた。
いやー 忙しいとこ、すんません。
彼等の向かいに腰掛ける間もなく
「チョ」さんが話しかけてきた。
あ、いや
こちらこそ・・・
ほんまに、すんません 突然に。
ビックリしはったんとちゃいますか?
ワテら二人、三蔵姐さんの弟子 ですねん。
先日、姐さんが、
「ヒデさんちゅう人に 一回会うてみ。」
言わはったんで 連絡させてもらいました。
ワテ、8次元豚 (はちじげんブタ) の
猪八戒 (ちょ・はっかい) と言います。
あ、三元豚 ちゃいますよ。
8次元豚 です。
八戒の 8やから
「ハチやん」とか「ハッチ」ゆーて呼ばれてます。
こっちは、5次元河童 (ごじげんカッパ)の
沙悟浄 (サゴジョウ)
通称、
「サゴちゃん」です。
アクセントは
サぁ やのうて ゴぉ にありますねん。
フワちゃん や ツジちゃん ゆぅー時の
アクセントですわ。
サゴちゃんは おもに
3次元から5次元の間をウロチョロしとります。
ちょ、ちょっと待って!
と言いたかった。
豚!?
しかも、 8次元?
河童!?
しかも、5次元!?
冗談 なのか?
マジ なのか?
混乱し始めた僕には
お構いなしに
ハチやん は続ける。
ワテは ハワイ出身で
サゴちゃんは
トルコのカッパドキア出身ですねんけど、
なんか気ぃーが合うて、
今、コンビで 芸人 させてもろーてます。
松山で営業した帰りですねん。
はあ、そうだったんですね。
芸人さんですか?
そうですねん。
たぶん知りはらへんと思いますが・・・
コンビ名は
「 3 58 (サン ゴーハチ)」言います。
サゴ(35) ちゃんの 「35 」と
ワイの「8」 で
サン、ゴーハチ ですわ。
豚マンの 551 ちゃいますよ、
よー間違われるんですわ。
ま、どつちも
豚 が入ってますねんけど、
相方同士の 名前並べただけの
ベタなネーミングですわ。
せやけど、今
そんなん流行ってますやろ?
よかったら 覚えてやって下さい。
「3 58 (サン、ゴー ハチ)」 です。
あと、
細かい事言うたら、
3 と 5 の間は、
ちょっと空けますねん。
スペースキー押しますねん。
サン、(うん)、ゴー、ハチ ですわ
しょーもないことかも知れへんけど、
そこ、ちょっと
こだわってますねん。
とにかく、ハチやんはよくしゃべる。
しかし、
それが、全く苦になっていない事に
僕は
他人事の様に気づいた。
これが、芸人の話術なのだろうか?
いくらでも聞いていられる様な・・・
そんな心地よさが、
ハチやんの
会話のリズムと
話術にはあった。
先ほどまで、僕の頭を
埋め尽くしかけていた
いくつもの「?」は、
知らぬ間に、脇に置かれていた。
それから ワイ、
時々、ピンでも
舞台立たしてもらいますねんけど、
そん時は、
「3 (なし)5 8」で
3(み)(なし)5(ご) 8 (ハッチ) →
みなしごハッチ
ちゅう ピンネーム でやらしてもろーてます。
サゴちゃんは、サゴちゃんで、
克子はん ちゅう彼女と
「他人の関係」ちゅう
男女コンビ も組んでます。
あ、すんません!
いきなり 長々と話してもーて。
注文まだですやんか。
サゴちゃん、ちょっと買ーてきてーな。
朝マック、もう終わりやんな。
ビッグマックセット がええな、
飲みもんは・・・
ワイは レイコー やな。
ヒデさん 何にしはります?
あ、じゃあ 僕はホットコーヒーで
ほな、ビッグマックセット3つやな。
サゴちゃんも 好きな飲みもん買ーてな。
あと、ナゲットも頼むわ。
ハチやんは サゴちゃんに
くしゃくしゃの千円札の束を手渡しながら
早口で言った。
立ち上がった サゴちゃんの
予想以上の長身を見上げる僕に、
可笑しそうに ハチやんは ささやいた。
コブクロみたいやろ?
188cmやねん。
ホンマ、ビックリするわ。
第13章 「異種間コミニュケーション」に続く
最後まで読んでくださって、ありがとうございます💗


