ところで
ハチやん、
8次元の意識って、どんなん?
せやな、
言うても、わからんやろ。
ホモサピエンス型の「栗タルト」じゃ、
イメージ出来ひんとおもうで。
「くりタルト」? 笑
「栗タルト」 ちゅうのは
人間の精神構造の
全体性みたいなもんや。
もしかして、
「ゲシュタルト」のこと?
お、鋭いやん、
ヒデ坊、心理学かじってんのか?
まあ、仕事がら、
一応は・・・
そうかいな。
そう言えば、
ヒデ坊の職業
聞いてへんかったな。
何してんの?
あ、失礼しました。
僕は、ハチやんとサゴちゃんに
名刺を渡した。
す、スピリチュアルカウンセラー!?
ジブン、これ、マジか?
ハチやんは、また笑い転げはじめた。
名前を言っても、
名刺を渡しても、
いちいち彼は 過剰に反応する。
ジブン、何時代の人間やねん⁉︎
スピリチュアル ちゅう言葉、
もうとっくに死語やろ?
なんか、久しぶりに聞いたわ。
スピリチュアル は
・・・死語・・・
自分でも、
薄々感じていただけに、
少し 痛かった。
たしかに、
時代は、
精神世界 とか、
霊性 とか、
目に見えないモノを
特別視したり、
曖昧に論じたり、
それに振り回されたり・・・
もう そんな時代では
ないのかもしれない。
信じる ことではなく
ハッキリと識る
ことこそが
大切な時代なのだ。
だからこそ、
次元 という、
わかったようでわからない
曖昧な概念を
明確にしたくて、
ハチやんに尋ねたのだ。
世間では 未だに、
「高次元」 とか
「異次元」とか
「次元上昇」と言う言葉が
よくわからないまま
独り歩きしているのだ。
ハチやん、
勿体ぶらずに教えてーな。
彼らと話すうちに
僕にも 関西弁が
感染してきた。
しつこいなー。
ジブン、次元の話、
めっちゃ好っきゃねんな。
もしかして、ヒデ坊
ルパン三世の ツレ の
「次元大スキぇ」さん
ちゃうか?
ハチやんは、
面倒くさそうに話し始めた。
ホンマ、
言葉じゃ表現出来ひんねん。
八次元行く手前で、
意識の反転を
二回起こさなあかんねん。
内側と外側を
ひっくり返さなあかんねん。
ヒデ坊は 3.5次元におるから
右 と 左
上 と 下
表 と 裏
くらいなら ひっくり返せるやろうけど
ミクロ と マクロ
過去 と 未来
自己 と 他者
個 と 全体
・・・そんなんは まだ
よう ひっくり返せへんやろ。
ひっくり返して
「 何や!
ミクロもマクロも一緒やん!
自己も他者も一緒やん!
一部も全体も一緒やん!」
とは、なかなかならへんやろ?
言葉の上では
何となくわかっても
幾何学的に ハッキリと
描像できひんやろ?
身体感覚として しっかりと
実感できひんやろ?
もし、ヒデ坊に
それができたら、
そん時は、ジブン、
もう
ホモサピエンスちやうで!
新しい 「種」 の
ホモ・トランスムータティオ やがな。
ハチやんの話を聞きながら、
僕は
二つの事 を 確信した。
一つ目は
僕の目の前で話している豚は
間違いなく 高次元の世界を
理論 ではなく体感 として
識っているという確信。
二つ目は、
このような、学術的な話題には
関西弁は 明らかに
不似合いであるという確信。
だつた。
僕らが 平素 耳にする
高次元に関する議論は
いつも 途中から怪しくなる。
点 が ゼロ次元
直接 が 一次元
それに 直角 に交わる
第2の座標軸
が加われば
平面としての 2次元
さらに
その平面に直交する
第3の座標軸 高さ が加われば
立体 としての 3次元。
そして その次の
第4の 座標軸は
たぶん 時間方向に伸びている。
ざっと そんな ところが
今の 一般的な認識ではないだろうか?
では、
次なる 第5の次元とは?
時間の矢印と
さらに 直角に交わる
第5の 座標軸とは?
そのあたりから、
急に 怪しくなるのだ。
幾何学、や 物理学では
虚数 という概念を持ち出し、
高次元の世界は
数学的思考の世界に入っていく。
超ヒモ理論 とか ゲージ理論
などの 比較的新しい学説。
それらの展開の過程においては
次元は 何やら
つじつま合わせの道具となり、
現在の理論では、少なくとも
9〜11次元の高次元を想定しなければ
つじつまが合わなくなっている。
そこで語られる高次元の世界は
極小の微粒子の向こう、
虚数の世界に畳み込まれた
荷造りヒモの塊 みたいな
情けなく 貧相な イメージなのだ。
しかし、
理論的な整合性が伴う分、
まだ、許せる。
ひどいのは、
スピリチュアルな文脈の中で
語られる 高次元 の方だ。
もう、
言いたい放題。
やりたい放題。
そんなふうに 僕は
感じてしまう。
「もうすぐ地球は
5次元へとアセンションします。」
とか
「6次元とは
愛の世界 です。
天使、精霊の住まう世界。
さらに その上には
慈悲 の7次元が広がり・・・」
もう、
空いた口が塞がらない
根拠が きわめて不明確な
アナーキーな 主張が
世に溢れているのだ。
科学的な思考が
いつのまにか
ぼんやりとした
お伽話の世界に迷い込んで行くのだ。
僕は今まで、
これ、真実かも!
と確信できる主張に出会えた事は
ただの一度も なかったのだ。
しかし、
ハチやん の話には
何故か
不思議な 信憑性を感じるのだ。
真実とは、いつも
カジュアル なのだ。
真実 を識る者は
気取らない。
真実を 咀嚼 (そしゃく) し尽くし
我が物 としている者は
難解な 高次元をも、
タコ焼きの焼き方を語る
ほどの カジュアルさで
僕に語ってくれるに違いない。
なぁ、ヒデ坊、
いきなり8次元は
ちょっと ハードル高すぎ君やわ。
ホモ・サピエンスの意識のままでは、
イメージすんの無理やと思うねん。
まずは、五次元からやろ。
5 がホンマの始まりやねん。
1. 2. 3. 4 は
5 が
始まるための準備段階やねん。
ホモ・サピエンスも、
そろそろ、
この五次元の意識を獲得して、
いや、
すでに持ってる
この5次元意識を発現させて
頭ええだけの サピエンス から、
賢い トランスフォーマー に
進化せなあかんのやけどな。
この意味は、僕にも
何となく分かった。
僕は、今はおもに
タロットカードで仕事しているが、
15年くらい前まで、
マヤ暦や、カバラを中心にやってた。
なので、
その感じは、なんとなく分かるのだ。
マヤや カバラの世界では、
5 未満の数は
準備段階の数であり、
「5」で
個人の意識や 主体性が
活動を始めるのだ。
カバラでは 「自由意志」
を暗示することもある。
マヤの五番目の紋章は
チークチャン、
潜在意識 や 本能 に
アクセスする 赤い蛇 なのだ。
マヤの 数学表記を見ても
解るように
5 こそが 基本単位 なのだ。
もしかしたら、僕ら人間も
ハやんが言う様に、
本来は
5次元の意識を
すでに持っており
それに基づいて生きることを
そろそろ
始めなければならないのかも知れない。
その、5次元とは、
5次元の意識とは、
具体的には
どんなものなんだろう?
サゴちゃん、
5次元、ヒデ坊に教えたって!
なっ!?
何という無責任!
ここまで話を進めておいて、
ハチやんは サゴちゃんに
5次元の説明を
急に 無茶振りしたのだ。
いや、ヒデ坊、誤解せんといてな
サゴちゃん、無口やけど
ワイより 説明上手いねん。
コイツ ホンマは、
めっちゃかしこいねん。
公文 (くもん) 通っとったこともあんねん。
せやから、人呼ぶ時も、
「カモン!」やのうて
キムタクみたいに
「クモン!」いうて呼ぶねんで。
僕は、もう
笑うしかなかった。
ヒデ坊、まあ
ナゲット 食いーや。
サゴちゃん は
トレイごと ナゲットを差し出してくれた。
サゴちゃんは、無口だか
何か めっちゃ優しい。
そして さりげない。
たぶん、出待ちの 女性ファンが
相当いることだろう。
あ、いただきます!
僕は ナゲットに手を伸ばした。
と、
脇から ハチやんが
急に手を伸ばして
僕が取ろうとしたナゲットを先に取った。
僕は 違うナゲットを手でつまみ
口に運んだ。
冷めてたが、なかなか旨かった。
それが 5次元意識やん!
サゴちゃんが、急に口を開いた。
たった今、ヒデ坊は、
別の 時間軸 へ
躊躇なく 移動できたんや。
サゴちゃんの言葉は、
とっさには理解出来なかった。
サゴちゃんは、おもむろに
ストローが入っていた薄い紙袋を
スッと伸びたキレイな指先で器用に丸め
僕の前に差し出した。
ストローの紙袋は
ダンゴムシのように
丸い玉へと変えられていた。
これが ヒデ坊や
そして その 小さな紙玉を
一本のストローの片端から
ストローの中に詰めて見せた。
このストローの中を
ヒデ坊が動いてんねん。
こっちから こっちへ
サゴちゃんは、
指先を ストローの端から
反対の端へと滑らせた。
どこから どこへ 動いとるとおもう?
は!?
右から左?
そうやな、
ほなら、もし
このストローが
時間軸やとしたら?
過去 から 未来?
うん。そうやな。
このストローは、
過去から未来に向かって伸びとるとしような。
これに 直角に交わる方向は?
僕は 人差し指で、そのストローに対して
十字を切るように 空中に直線をえがいた。
それや! それが5次元座標や。
ストローに対して 直角に広がつとんのが
5次元の世界や。
サゴちゃんは、テーブルの上に
そのストローをおいて
あと2本のストローを
その左右に 並べた
そして 真ん中のストローを指差して
この中におる ヒデ坊からは
両脇のストローは見えへんやろ?
せやけど、
俺ら、こうやって 3本とも見えとるわな。
5次元の意識で 3次元世界や
4次元時空を眺めると、
こんな感じやねん。
時間軸が 無限にぎょうさん
見えとんねん。
過去も、未来も、
そこらじゅうにあって、
どれもが、
めっちゃ
よう
見えてんねん。
いろんな時間の流れが
全部見えとんねん。
しかも
ハッキリした カタチとして。
でも、ヒデ坊、
この感覚、
初めてやないやろ?
僕は 昔懐かしい
レコード盤を思い出していた。
レコード盤には、
音楽のイントロ、サビ、間奏、エンディング
という時間の流れが 溝に刻まれていて
時間は、渦巻き状に
円盤の端から
中心に向かって進行している。
時間軸の延長と広がりが
目に見えるカタチとして
保存されているのだ。
僕らは、
この辺が 2曲目のイントロ とか
この辺りが 4曲目のサビ とか
実際に 指差す事もできる。
時間軸を カタチにした
という意味では、
カレンダーなんかも それに当たるのかも知れない。
僕らは
カレンダーをながめ、
過去も 未来も
指差す事ができるのだ。
そう言えば、
マヤ暦の研究者達は よく
時間の構造物 とか
時間芸術 と言った言葉を好んで使っていた。
ホモサピエンスも
ホンマは 5次元の意識
5次元の視点
持っとんねん。
せやけど
ハッキリ カタチとして、
構造体として
認識できてへんだけやねん。
さっき、ヒデ坊が
ナゲット取ろうと手を伸ばした時、
ヒデ坊の時間軸は
ハチやんが取ったナゲットに向かって
一直線に伸びとったんや。
せやけど
ハチやんが ナゲット横取りしたから、
ヒデ坊 の 時間軸は 寸断され、
つぎの 行き先 を見失うた。
でも、ヒデ坊には
その瞬間 見えたんや。
右隣のナゲット、
左隣のナゲット、
その周りの 他のナゲット。
その瞬間、
ヒデ坊の 時間軸は
直線やのうて、
放射状に 拡散したんや。
あの瞬間、ヒデ坊は、
時間軸が、直線に伸びるんやのうて、
放射状に伸びるのを目撃したんや。
5次元方向への
広がりを
目撃したんやと思うで。
せやねん。
5次元意識でみると、
時間は
直線上を進んでるんじゃのうて、
「今」を起点に
放射状に
拡散しとんねん。
今のホモサピエンスは、
めっちゃ狭い、限定的な
時間軸に しばられて、
5次元方向に無限に広がっとる
その他大勢の時間軸が
ほとんど見えてへんねん。
こうしたら、こうなる。
こうするためには、こうする。
そんな、直線的で
しょうもない、狭い考えが
せっかくの5次元意識を封印してしもうとるんや。
この おバカな物語
には そぐわない
難解な やりとりが続いているのは
わかっている。
でも、もう少し
このテーマについて
語って行きたいのだ。
3 58
3次元 の 意識から
5次元
さらには
8次元 の意識を
獲得して行くプロセスが
これからの 僕らには
どうしても必要な気がして
ならないのだ。
極めて個人的な感覚だが
あの 愛しき
sai ちゃん という
プラチナナノコロイドを
日常に取り入れ、
「すそいおん」
の 言葉を
好んで口にするようになってからの
10ヶ月間で、
僕の意識は 明らかに
「何かを見渡せる視力」
の様なモノを
獲得し始めた様な気がしてならないのだ。
その 「視力の様なモノ」 が
サゴちゃんが語る
5次元の景色や
さらには その先に
あると言う
8次元の感覚
と無関係とは
僕には どうしても
思えないのだ。
僕は
もう少し
35ちゃん や
8やん と共に
この難解なテーマに
切り込んで行こうと思う。
どうか、
辛抱強くお付き合いいただける事を
切に願って・・・
第15章「5次元のランドスケープ」に続く
最後まで読んでくださってありがとうございます💗




