昨日、感動の物語をお伝えしたのですが、
もう一つ、ぜひ皆様にお聞き頂きたいお話があるのです。
それは、
心に染み入る感動の孝行息子の物語です。
それでは…
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私の勤める会社が入っているビルは、駅前の繁華街にあります。
銀行、証券会社など、お堅い会社があれば、カラオケ、居酒屋、マン画喫茶などいろいろな商売が、入り組んでいます。
ちょっと猥雑さを感じさせる、そんな駅前の風景ですが、私はとても気に入っています。
そういう場所ですから、通勤通学の人や、買い物客、さらにはその人々に広告を配る人など、あらゆる人が毎日行き来します。
そんな毎日の風景の中、私は、自分の勤める会社のビルの前で、ティッシュを配っている青年達に注目していました。
なぜ、若く体もいたって健康そうな彼らが、ティッシュを配っているのかな?
と疑問に思っていたのです。
ティッシュ配りは、半径2~3mの狭い範囲で、ティッシュやビラを配るだけです。
彼らの今後の人生を考えると、若い男性が本職とするには他に仕事が無いのだろうか、年金には入っているのかな…などといろいろ心配していました。
彼らと毎日顔を合わせるうちに、挨拶をするようになっていましたから、(勝手に)親近感持った私は、お節介にも彼らの将来を案じていたわけです。
そしてある時、一緒に勤務だったパートさんに、私のお節介な心配を話してみました。
すると、早速、表に出てティッシュを配っていたお兄さんに、話しかけているではありませんか![]()
ミセスのパートさんって、そういうところが、度胸があるというか、頼りになるというか…。
え”~![]()
と私は一瞬ビックリしたものの、興味深々、私も表に出てお話に参加しました。
すると彼から、
「いつも会社の前で迷惑掛けてすみません」
といきなりお詫びされてしまいました。
そこで私は、
「い~え、迷惑だなんてまったくないですよ」
そしてその後、思わず言葉が口から勝手に出てしまいました。
「あの、ちょっと質問があるんですけど、何でティッシュ配りしてるんですか?」
私は直球しか投げられません。
するとティッシュのお兄さんは、
堰を切ったようにこう話始めました。
「僕は喘息もちのため、冬は必ず風邪をこじらせるんです。以前建設会社に勤めていましたが、ある時、肺炎になって入院している間に、会社を首になっちゃいました。
冬になる度、肺炎になってしまうので、普通の会社に勤めるのが難しいんです。
それに、一緒に暮らしている母も体が弱いんです。以前、病院に入院してたんですけど、その入院費が払えず、借金になっちゃって、いま返済中です。
家は賃貸のアパートだし、あれやこれやと出費が嵩みます。
僕は、5人兄弟の末っ子で、兄や姉がいますが、そういうお金の問題は何も話していせん。お金の援助はまったく受けず、僕の収入で生活しています。それに、この仕事を家族には言っていません。
でも、このティッシュ配りは、一ヶ月がんばれば、とてもいい収入になります。母の入院費の借金はもうすぐ返済が終わりそうです。そうすれば、今度は貯金ができます。
それにこの仕事は、体の調子と相談しながら出来るんです。だからこの仕事を選びました。
でも、こうやってティッシュを配っていると、通りすがりに蔑みの目つきで見られることはしょっちゅうです。
わざと僕らを避けて遠ざかって通って行く人もいます。そういう時は、悲しくて涙が出そうになります。
僕には将来の夢があります。
肉体的に会社勤めは出来ないので、頑張ってお金を貯めて、自分でビジネスを始めるつもりです。
今32歳ですが、将来は結婚して、子供を持ちたいと思っています。
そういう夢があるから、この仕事をやってられます」
彼の話を聞き終わっても、私はただ呆然としていました。
そのあと何をどう返事をしたのか、全く憶えていません。
ただ静かな感動に包まれ、彼のきれいな瞳をじっと見つめていたのを覚えているだけです。
この世に生きる人は大きく分けて、二通りだと思います。
一つは、自分をあれこれ装飾している「甲冑人間」です。
もう一つは、まったく底の見えない濁った泥沼の中に、凛として汚れなく咲く「蓮の花人間」です。
「甲冑人間」は、金メッキで塗られた鎧で本性を隠します。いえ、自分を守っているのかもしれません。物質至上主義で、弱みを見せず、人と競争し、見栄をはり、物事の真実から遠くに身を置く人々です。
「蓮の花人間」は、人間の欲望や悪意に染まらずに自分の神性を持ち続ける人々です。
もちろんティッシュのお兄さんは後者です。
「母親みたいな心境でしょう?」
一緒に話を聞いていたパートさんの言葉で、はっと我に返りました。
(は…母親…?私はまだそんな年じゃないんだけど…トホホ…
)
ニコニコ顔で私を見つめるパートさんに私はこう言いました。
「私がお兄さんのお嫁さんに立候補したいの…」
するとパートさんは、
「ダンナがいるでしょ
!」
オバちゃんの発言は、いつでも地に足がついているなぁ…、
と、さらなる感動を胸に、この日は仕事を終えました。
