時折、寄せられる人生相談を、こちらで回答していきたいと思います。
※個人が特定できないよう、若干、内容を修正しています。
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Q.近所のいじめっ子の力になりたい
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小学校高学年の子どもの友だちB君についての相談です。
B君は息子と同級生で近所に住んでいます。
息子ともはじめは仲が良かったのですが、学年が上がるにつれて性格がきつくなり、息子にもいじわるをするようになってきました。
はじめは、息子にも問題があるのではないかと思い、仲直りするよう何度も話をしましたが、周囲の話によると、息子は一方的にやられている側で、B君のターゲットにされているようでした。
今まで仲が良かったのでショックでしたが、B君に事実確認だけでもと思い、直接、確認したところ、「自分はやっていない」、「先に手を出したのは(息子)ほのうだ」と、しらを切りとおします。
そこで、B君の様子をつかず離れずのところから気にかけていたところ、どうも上のお兄ちゃんたちにいじめられているようで、B君の母親も、甘え上手なお兄ちゃんたちの話を鵜呑みにしてA君の話に耳を傾けることなく、厳しく罰しているようなシーンを何度か見てしまいました。
B君のお母さんに、さりげなく「今のはB君は悪くないんじゃないの」と声を掛けてみたりもしましたが、上の子にもB君にも怒鳴り散らしておしまいです。
B君のお母さんはまだ下に赤ちゃんがいるので、子育てに余裕がないようです。
B君は、低学年の頃はとても良い子でした。
それが今では学校でも問題児扱いされ、担任も手を焼いているようです。
大人に対して平気でウソをつくほど心が荒んでしまったB君が気がかりです。
私がB君に話しかけても、息子とのことで問い詰めてしまったせいか、B君は私のことも敵対視するようになってしまいました。
B君のために私が出来ることは何でしょうか。
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A.中途半端な関わりはNG.大人として毅然と見守る
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自分の子どもがいじめられたことをきっかけに、問題児B君の言動が気になるようになり、一助になりたいというAさん。
こういう大人が社会にたくさんいてくれたら、子どもたちも幸せですよね。
本題ですが、問題行動の目立つB君を本気で更生させたいなら・・・・・。
まず、B君にはどんなことをしても受けとめてくれる、「安全基地」が必要です。
どんなことがあっても自分を無条件の愛で受け止めてくれる存在です。
通常は、母親や母親に代わる存在の大人や担任教師などがその役目を引き受けることになります。
B君がどんな問題を起こしても、ぎゅっと抱きしめてくれるような「安全基地」です。
その「安全基地」の存在を、やがてB君自身も感じられるようになると、心が安定してきます。
そしてあらゆる問題行動の抑止力となります。
そのたいせつな「安全基地」を失いたくないからです。
ただ、その安全基地には、誰でもなれるものではありません。
安全基地になるための試練があるからです。
そのひとつに、「お試し行動」があります。
自分の「安全基地」になるかもしれない相手だと思ったら、子どもはわざと困らせるようなことをたくさんします。
それこそ、Aさんのお子さんに対して、その問題行動が向けられる恐れもあるわけです。
そういった全ての試練を乗り越えた先に、真の信頼が生まれます。
子どもの中で、「この人なら大丈夫」、「どんなことがあっても自分をうけいれてくれる」と確信が芽生えるわけです。
この「安全基地」を持たない子は、世界の全てが敵であり、危険に満ちた場所と認識します。
見捨てられ不安が強く、人と心を繋ぐことが苦手であることから、他人を操作しようと問題行動に走ることも多いです。
大人の中にも、この「安全基地」を持たないまま生きている方は少なくはないのですが、無気力や抑うつ感などに苦しむケースも少なくありません。
そして、愛情と承認を必要とする子どもにとって「安全基地」を持たないことは、死活問題ともいえます。
B君と関わりのあるお子さんを持つAさんが、その覚悟(他人の子の安全基地になること)を持つことは、正直、たいへん難しいように思えます。
なぜなら、本来「安全基地」であって欲しい人は、B君にとってほかならぬ親だから。
B君の安全基地になろうとする中で、わが子を犠牲にするようなことがないとも限りません。
万が一、AさんがB君の「安全基地」であることを途中で投げ出してしまうようなことがあると、そのいじめっこは、「見捨てられた」と、以前よりずっと深く傷つくことになりますから・・・・。
ということで、冷たいようですが今のB君に対して中途半端な関わりはしないほうが良いかもしれません。
今のAさんがB君に出来ることといえば、「声かけ」くらいでしょうか。
毎日のあいさつやたわいもない世間話をB君にし続けるのです。
最初は急になんだよと、非常にうざったがられるかもしれませんが、ひるまず続けます。
兄弟間のいざこざなどでB君が不公平な目に遭うところを目撃するなら、そういう時も「今のはちょっと違うんじゃないの?!」と、大人として毅然とした態度で声をかけてください。
それだけでも、ずいぶん違うと思うのです。
「世の中には、自分を理解しようとする、かわった大人もいる」って。
安全基地にはなれないかもしれないけれど、ごく緩やかな後ろ盾のようなものにはなれるかも。
そんな中で、B君がまたお子さんとも仲良くなって、気軽に遊びにこれる関係ができたら素敵ですよね。
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