2020 1/30
RHYMING MAN
若杉公徳先生の青春ギャグ漫画「ライミングマン」とは
『売れないラッパーを父に持つ主人公・踏男君の成長物語。父はかつて“シャカキング”という名で人気を集めたラッパー。今はニート。踏男は幼い頃からラップの英才教育を受け育ってきたものの、思春期を迎えるころには「ラッパーって、頭悪そう」と距離を置くようになってしまった。しかしある日、ひょんなことからラップバトルに挑むことに。そして“ライミングマン”という名でラッパーの才能を開花させていく―。』
若杉先生のあの人気音楽漫画「デトロイト・メタルシティ」に続き愛読させて頂いております。
で、前置きはここまで、
私のラップの知識はほぼ「ライミングマン」からの情報のみ、という点をお見知り置きいただいた上で本題へ
1/29、二時間目の授業が終わった後の休み時間、
マスクをつけた大人しそうな高校2年の男子生徒が私の前に現れました。
「あの、ぼく、ラップやってて、それで、今週の土曜日に、『高校生ラップ選手権』に出るんです。それで、、、
えっと、フロウが苦手で、一度練習を見ていただけないでしょうか?」
私「え?? 私????」
一応記述しておきますが、私はラップは教えたことありません。
自分の中にあるありったけの知識を総動員して彼に質問を返します。
私「えっと、ラップしてるってことはヒップホップが好きなの?」
生徒「はい」
私「ケンドリック・ラマー(←今世界で一番注目されているヒップホップアーティスト)とか聴くの?」
生徒「いいえ、USにはうとくて、勉強しようと思っているんですが、、今は主に国内ものを聞いています。」
私「えっと、じゃあ、あの、般若(←ラッパー界のラスボス的存在)とか?」
不安げだった生徒の眼がいきなり輝きだす。
生徒「うわあああ、やっと話通じる人に出会えた〜〜!!この学校でラップの話通じる日全然いなくて、周りは大体米津玄師とかRADWINPSとか聴いてて、バトルする相手もいなかったんです!!」
(いや、あの私の知識はライミングマンと、うちのbassのY君から横流しされてくるライムスター宇多丸さんのラジオの話くらいで、般若もどんなラップやってんのか聴いたことないし、君のバトルの相手は務まらないよ...)
私「レペゼン北摂ってことやんね...?」
生徒「そうなんです、大阪の南に生まれて来たかったです。北摂ラップやってる人あんまりいなくて...」
ここで大阪の南北格差について少し解説を。(完全なる私の大胆解釈。半分架空の話と思って読んでください)
大阪にはミナミとキタがありまして、主にキタは富裕層、ミナミは貧困層(あくまで大胆解釈!)が生息。
かくゆう私は南出身、勤めている学校は北摂。
初めて北摂の学校にきて思ったことは「北側の学生って標準語なん??」
20年以上勤めている今の学校(キタ)と並行して週に数時間(ミナミ)の高校でも教えているのですが、
キタの学校の生徒「標準語」、ミナミの学校の生徒「バリバリの大阪弁」
キタの学校の卒業生「松下幸之助」「宮本輝」、ミナミの学校の卒業生「赤井英和」「笑福亭鶴瓶」
キタの学生が聴いてる音楽「米津玄師」、ミナミの学生「SHINGO⭐︎西成」
キタの女子学生の一人称「私」、ミナミの女子学生の一人称「うち」
キタの男子学生「バトルはなるべく避けて生きていきたい」ミナミの男子学生「バトルしてえ!」
要するに、大阪では南北でJKカルチャーにも随分違いがあって、現在ヒップホップは圧倒的にミナミの文化。
実際、ミナミの学校では駅のホームでも、廊下でもラップしながら歩いてる男子とたまにすれ違いますが、キタの学校でラップしながら歩いてる男子がいたとしたら、おそらくそいつはキワモノ扱い.....?(あくまで私が働いている学校比較)
レペゼン北摂、イコールそれは、孤独なラップ生活!
話を戻します。
私「その高校生ラップ選手権っていうのはどういう大会なわけ?」
生徒「一対一のフリースタイルでバトルする感じです」
私(おおおお、これは完全にライミングマンに出てくるやつやんけ)「えっと、フリースタイルダンジョンみたいな?(←ラップバトルの番組。2回くらいyoutubeで見たことある)」
生徒「はい!!フリースタイルダンジョンは欠かさず観てます!!」
私「あの、全く私の専門外なんで力になれるか分からんけど、よかったら明日の昼休みにもう一回、音楽室に来てくれる?」
生徒「分かりました、よろしくお願いします!」
そして私は生徒の名前を聞き忘れた.....。ラップ名だけでもきいておけば良かった。
すぐさま、私のバンドでの女房役、bassのY君にメール。
(彼は音楽の知識が豊富で、特に最近はヒップホップを専門に音楽を聴き漁っている。)
私「生徒が高校生ラップ選手権に出るから練習見てくれと言っています。バトルで使われる音源ってどんなの?コンテストで大切なことって何?云々かんぬん........、アドバイスくれ!」
Y君からの返信「お疲れ様です!高校生ラップバトル選手権は、今のバトルブームの火付け役になった番組の企画ですね。
楽曲のコンペではなくバトルだけの大会だったと思うので、音源の用意は必要ないです。
通常、バトルはその場でDJが選んだビート(複数から選択出来る場合もある)に合わせて試合が行われます。
ぼくもプレイヤーじゃなくて只のファン(或いはヘッズ)なんで観客レベルのことしか言えないですけども…
無理にワルぶるなど、今の自分を偽るような態度はラッパーとしては致命的ですから(特にバトルではフェイク云々言われるのが目に見えている。)
自分の出自がいかに普通(或いはオタク、nerd、geek)かを面白く(ネガティブ、ポジティブどちらでも)言えるかの方に舵をきるべきでしょう。
今は不良じゃないラッパーは決してマイノリティではないです。(特にバトルではその傾向が近年顕著です。)
フロウ(歌い回し)、スキルに関してはレベルチェックとしてビートに合わせて自己紹介ラップでもさせて聞いてみたらいかがでしょう。(8小節)
リズム、小節感覚があるとか話が面白いかは分かると思うので。
あと意外に、トラックに合うラップの音程(メロディックなフロウじゃなくても)を選択するカンが備わってるかとかもチェック項目です。
やらせてみたらフロウがどうとか以前の問題の可能性もありますけど、
フロウに強くなりたければ好きなフロウをしてるラッパー、曲をたくさんコピーするのが有効なのは楽器と一緒だと思うんですけどね。」
翌日
うちの学校指定のnerd感もしくはお坊ちゃん感溢れるエメラルドグリーンのジャージに身を包んだ(←おそらく次の時間が体育。真面目!!)
昨日の孤高のライミングマンが音楽室にやって来ました。
(あ、ジャージに名前が刺繍されている。君の名前は○平君だね!)
いくつかのパターンのビートに乗せて、○平君の数小節のラップを披露してもらいました。
その晩、Y君に送った、素人である私の率直な感想
「拍子はとれていましたし、小節感覚もありました、いわゆるよくある定番のラップの雰囲気(新しい!!って感じはない)です。なんだか滑舌もふにゃふにゃしていて、声も小さめ、きれが悪く何を言っているのか良くわからず、(どこか不安げ?)ラッパ―本人がどんな人物なのかが全然伝わってきませんでした。
そういうスタイルなのかな、、、。
あとで確認すると、下ネタで勝負しようと思っているらしく、バトルする相手ではなく、「女性の先生という聞き手」を前に、緊張した、とのこと。いつもはもっとかませると言いたげだったので、ふにゃふにゃのラップに反してプライドはかなり高めとみました。 本人がいう「ピンク」感は全く伝わってきませんでした。
前年度の選手権上位者の動画などみてみましたが、
彼のレベルだとおそらく一回戦敗退でしょう。
でも選手権をきっかけに、さらに本気になる素直さと情熱、それに火がつけば化けるかも!?
引き続き見守ります。
またアドバイスよろしく~
追伸
生徒としゃべっていて思ったのは彼等にとってラップは「音楽」っていうより、「試合」の要素が強いんやなあということです。どうやって相手に勝つか、どんな手をつかって相手に勝つか、が醍醐味になってそうな。
本人はそればっかり考えてました。
本当は闘う相手がいることを足掛かりに、「自分自身を最大限に表現し肯定する」っていうのが10代のラッパ―の正解なんだと思うんだけど、それはいかにも教師が言いそうなことなので控えました。
見守り応援します。」
いや、しかし、選手権に応募するってだけでも本当に凄いな、と思います。
高校生が一対一で初多面の相手と即興でバトルするって、ものスゴイ勇気がいると思います。
(しかもめちゃめちゃ練習もしてるんだよね(T . T))
高校生ラッパーの上位に君臨する戦士達
現状のスキルで○平君が、この人たちと戦ったら.......
こってんぱんにやられるやろな〜ーー笑!!
とりあえず、明日、レペゼン北摂!○平!(ラップ名聞いときゃよかった)、等身大の自分で頑張ってこい!!
おまけ
去年の暮れからの私のお気に入りチューン
私の専門はもっぱら岡村靖幸さんですが、ライムスターもかっこいいです❤️
(○平よ、先生の実際のヒップホップの好みはこの辺りまでなんだよ!)
おまけのおまけ
SHINGO★西成さんの胸熱live
