この記事を書いているのは9月の終わりです。

 

今週末にはTOKYO IDOL FESTIVAL 2021が予定されています。2年越しの現地開催でめちゃくちゃ楽しみなんですが、いまいち現実味がないのがとても怖いところです。

 

なんとか当日は非日常感を感じつつ楽しめるように、モチベを高めてゆきたいと思います。

 

 

こんにちは!!

 

 

※この後には映画のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ:

  • インド屈指の工科大学ICEに入学したファルハーン、ラージュー、ランチョー。
  • 3人は相部屋だったこともあって意気投合し、「3バカ」と呼ばれる
  • 中でもランチョーは好奇心旺盛で成績優秀であった、座右の銘は「うまくいく」
  • ランチョーは秀才さ多くの人に慕われるようになり、人気を得る
  • 大学の評価を上げることに執心する学長と、ランチョーは対立し、、、
  • 10年後、ファルハーンとラージューは主席を逃したチャトルに呼び出される
  • 「どちらが成功しているか」を確かめるため、3人はランチョーを探すが、、、
 

 

感想:

インド映画というものを初めて観ましたが、日本映画や欧米の映画に観られない、独特の雰囲気でした。
 
 
 
この作品自体は3時間近くある長編であったものの、前評判通りとてもおもしろく、いっきに結末まで観てしまいました。
 
 
 
物語の舞台となるのが工科大学であるということもあり、エンジニアとしてはとても好奇心を刺激させられる部分がたくさんありました。
 
それだけでなく、学生時代の10年前と現在を行き来しながら、ランチョーがなぜファルハーンとラージューの前から姿を消してしまったのかという謎が解き明かされてゆくストーリー展開は、引き込まれてゆくものを感じました。
 
 
 
その中でも印象に残った点が3つあります。
 
 

1. 恐怖に打ち勝つ呪文「うまーくいく」

 
この映画の題名にもなっていて、ランチョーの口癖でもある言葉です。
 
 
ランチョーという人間が、先輩のしごきにも、先生や学長からのいじめにも屈せず、ヒロインのピアに告白することもできたのは、恐怖を乗り越えて行動する「勇気」を持っていたからだと思います。
 
恐怖を感じないということは、人間の脳のプログラムが書き換えられない以上不可能です。しかし、それを克服することは訓練によって可能であるというのがランチョーのメッセージです。
 
有名な話ですが、「心配事の96%は起こらないか、起こっても余裕で対応できる」という研究さえあります。

 

 

 

だから起こってもいないことをクヨクヨ嘆いて心配するのではなく、それが起こらないように行動する、もしくは起こったときのために準備をしておくほうがよっぽど建設的なのです。

 

 

作中では、ラージューが魔除けの指輪をたくさんはめて、いつも何かに怯えていることをランチョーが説教するシーンが印象的でした。

 

ランチョーの思考はただの楽観主義ではなく、心理学的にもとても妥当なことであるという事が言えます。

 
 

2. 何のために学問を学ぶのか

 
工科大学を舞台にしていると言いましたが、この作品を見れば工学の知識が身につくのかと言えば、そういうわけではありません。
 
 
でもそれよりも大事な、「学び方」を学ぶことが出来ます。
 
 
とにかく工学というものが大好き、成績よりも優秀さを追求するランチョーと対立する存在として、ここではICEの学長が登場しています。
 
 
「人生とは、競争である」と学長は説きます。
 
とにかくトップにならないと意味がない。その一心で大学の権威をインドのトップまで高めたプライド高き男に、ランチョーはやり込められるどころか、自ら教壇に立って一泡吹かせてしまいます。
 
 
何のために勉強するのか?それは、家族の期待に答えるためでも、先生に脅されたからでも、いい会社に就職するためでも、同期との競争に勝つためでもない。
 
 
 
ただ、新しいことを知りたいから学ぶのである。
 
社会人になってからの勉強は何かと実益を求めがちです。でもその根本には、「昨日よりも新しいことを学んで、成長したい」という欲求があるはずで、それを大事にしなければいけないなと気付かされた一場面でした。
 
 
 

3. インドの階級社会と「エンジニア」

 
こんないいことばかりを教えてくれる映画ですが、インドというIT大国の負の側面も映し出しています。
 
 
それが、高い若者の自殺率です。
 
この作品では何かと、将来の不安と自殺を関連付ける場面が目立ちます。それどころか作中で一人留年学生が死を選ぶシーンさえあります。
 
これは、インドが日本よりも色濃い階級社会であり、そこから抜け出すもっとも効果的な手段として「エンジニア」になることがあるからなのです。
 
そして、高給取りになって生活を一変させてほしいという家族の期待は、工学系大学に通う若者の肩にずっしりとのしかかるわけです。
 
 
 
これは捉え方によってはとても皮肉なことだと思います。
 
なまじエンジニアや医者になれば、階級制度に関係なく裕福になれる事が分かったから起こってしまったことなのです。
 
若者は努力を強いられ、やりたいことも我慢させられて、やりたくもない工学を学ぶも身につかず、結果として死を選ぶのです。
 
何ならエンジニアというセーフティーネットを知らない方が、彼らはどんなに幸福だったのでしょう。
 
しかし、知ってしまったからにはもう努力を重ねるしかない。そんな人間として逃れることのできない欲望がそこには反映されています。
 
 
 
そんな世の中があるからこそ、「それでいいの?もっと純粋に学ぶことを楽しもうよ」というランチョーのメッセージがこれほど響くのかも知れませんね。
 
 
底抜けに明るいながらも、考えさせられる内容もふんだんに含まれたとてもいい作品でした。
 
 
以上、また書きます。