インド映画の“RRR”からガラッと変わり、今度はパリが舞台の花組公演。 昨年一番最初に退団発表を行った花組トップコンビのサヨナラ公演です
忘れない内に思いつくままサクッと。
ミュージカル
『アルカンシェル』
～パリに架かる虹～
作・演出／小池 修一郎
「パリは燃えているか？」 撤退を決めたドイツのフランス占領軍に、ヒットラーは首都爆破命令を下す。
ナチス・ドイツの侵攻に抵抗を続けていた人々は、その時如何にしてパリの街を護ったのか。フランスが生んだレビューの灯を消すまいと立ち上がった一人のダンサーを主人公に、パリ解放に至る過程をドラマティックに描き上げる物語。
宝塚歌劇ならではの絢爛豪華なレビューシーンを交えてお届けする、大作ミュージカル・レビューの誕生にご期待ください。
ナチス・ドイツ占領下のパリ。レビュー劇場「アルカンシェル」では、ドイツ軍の進駐目前にユダヤ系の人々が亡命、残された人気ダンサーのマルセルが、劇場を託される。看板歌手のカトリーヌと意見を対立させながらも、一座の命運をかけてドイツ軍検閲官のフリードリッヒと渡り合い、レビューの灯を護ろうとするマルセルは、密かにパリの街を取り戻すためのレジスタンス運動に加わっていく。
ある時ドイツ軍将校の執拗な求愛を退けたことで、追われる身となったカトリーヌを匿うこととなるマルセル。やがて二人は惹かれ合い、共に愛する祖国のために戦うことを決意する。
ドイツ軍の敗色が濃厚になる中、パリを爆破する準備が進められているとの情報を得たマルセル達は、何とかして街を護ろうと立ち上がるのだが…。
（公式より）
マルセル・ドーラン 柚香 光
（ミュージックホール「アルカンシェル」のスターダンサー）
カトリーヌ・ルノー 星風 まどか
（「アルカンシェル」の看板歌手）
フリードリッヒ・アドラー 永久輝 せあ
（ナチス・ドイツの文化統制管。演劇担当）
イヴ・ゴーシェ 聖乃 あすか
（現代のニュージックホールの若き歌手。ペペのひ孫）
ペペ 一樹 千尋
（「アルカンシェル」のコメディアン）
コンラート・バルツァー 輝月 ゆうま
（ナチス・ドイツの文化統制管。ヒトラーの親衛隊SS大尉）
マダム・フランソワーズ・ニコル 美風 舞良
（「アルカンシェル」の劇場主）
コーエン/ギヨーム・ブラン 紫門 ゆりや
（「アルカンシェル」の演出家/レジスタンスのリーダー）
ジョルジュ 綺城 ひか理
（「アルカンシェル」のスター歌手）
ロベール 帆純 まひろ
（「アルカンシェル」のダンサー）
ポール 一之瀬 航季
（「アルカンシェル」の稽古ピアニスト）
ピエール 侑輝 大弥
（「アルカンシェル」のダンサー）
ダニエル 希波 らいと
（「アルカンシェル」のダンサー）
シルヴィー 美羽 愛
（「アルカンシェル」のダンサー）
アネット 星空 美咲
（「アルカンシェル」の歌手）
ダンスが得意でショースタータイプの柚香さんが1本物のお芝居で退団公演というのは勿体ないなぁ・・・
というのが当初感じたことでしたが、“アルカンシェル”という劇場がメインのお話だったので幕が開いてからすぐのシーンは
「あれ？１幕はショーだったっけ？」
と錯覚を起こすぐらい普通に宝塚のショーが始まったようでした。なので1本物のお芝居よりもショーが観たい！！という方にも観やすい舞台だと思います。
カレーちゃんが下手側に捌けるタイミングから手拍子も始まって、銀橋渡りもあって・・・と最初の１０分くらいは本当に宝塚のショーそのもの（笑）
舞台セットの真ん中からいかにもトップスター！という感じのライトを浴びて登場した柚香マルセルが最初に手を取って踊るのは星空美咲さんでした。そこから背の高い美女が集まった？と思ったら男役の女装軍団ですね
合間合間にこうして陽気な歌とダンスでショー要素のある作品だったので暗いシーンはありつつも暗すぎて辛いということもなく、明るいラストに繋がっていてホッとしました。
イルカやキャベツのようなパワーワードは今回はなし。
ストーリーテラーが全部解説する為難しい部分が少な過ぎはしますがやっぱり明るい作品は良いです
曲も好みで特に《たゆたえども沈まず》という歌がとても印象に残りました。ショーで流れている音楽は全部何処かで耳にしたような曲が多かったのも作品を楽しめた理由だと思います。
それから衣装替えがたくさんあって華やかなのも退団公演としては見応えがありました。カレーちゃんのスタイルの良さが際立つキラキラした衣装も多いし、ショースターの集まる劇場が舞台なだけあって登場人物全員が髪型もオシャレ
それにしてもイケコ（演出家の小池修一郎先生）は「アビヤント」と一発芸のある下級生が好きだなぁと思った舞台でした。
暗転しながら盆が回る中フラフープを首で回す芸をしていた下級生へのシュールな笑いが忘れられません（笑）
マルセル・ドーラン役の柚香光さん
幕が上がってすぐのショーシーンを終えて一人ピエロの格好で登場して踊るカレーちゃん。恋した女の子にお花を落とされてショボン。とする表情がとっても繊細で綺麗でした。
ブカブカのピエロ衣装が可愛いのですが途中衣装を脱いでピエロのつま先も取ったらその線の細さと割と踵高めのブーツでビックリ。踊れる人は本当に何を着ても履いてもクルクル回るし踊りますね。こんな細い体のどこに？と思う位力強くてしなやかなダンスにうっとり
ターンするたびに短く刈った上に乗る後ろ髪が綺麗に揺れてキラキラ輝いていました。刈り上げ好きの私にはたまらん髪型（笑）
私が初めて花組を観た時には既に３番手の位置にいたカレーちゃん。あの頃はまだまだ初心者で宝塚の人の見分けがつかなかった中唯一どのシーンどの衣装でも「あ！」と気が付くくらいの華があって、顔も名前もすぐに覚えられたことを思い出します。
それからお芝居も上手だけど私が好きだったのはお芝居の中での笑い声ですね。本当に笑っているみたいでこっちまでつられることが何回もありました(笑)
退団されたらどのような道に進むのだろうか？と寂しいながら楽しみなスターです。
カトリーヌ・ルノー役の星風まどかさん
まどかちゃんのカトリーヌは最初はマルセルと対立するけど次第に心惹かれ合うという王道の相手役でした。
少しですがピアノを生演奏するマルセルに合わせて歌声を披露するシーンがあってアイコンタクトを取りながら歌う二人の姿を見られて嬉しかったです。こっちゃん（星組トップの礼真琴さん）に「９５期のピアニスト」と言わしめたカレーちゃんのピアノ演奏と歌の上手なまどかちゃんのコラボは見ていてテンションが上がるシーンのひとつ。
「あっち！あっち！」のコントも可愛かったなぁ
フリードリッヒ・アドラー役のひとこ（永久輝せあさん）
暗い角度やその表情から神経質な芸術家を思わせるスチール写真を先に見たらこんなに中身が陽気な人って思わないよなぁ
なんて急に劇場でジャズの素晴らしさを説いて歌う姿に驚きました。これはもはやスチール詐欺。
それから次期トップコンビ推し推し？な星空美咲ちゃんとのやりとりも結構びっくり。
街ですぐにアネットだと気づいて声を掛けた辺り最初から一目惚れしてたのでは、と疑っている私ですが
「私をあの連中と一緒にしないでくれ」
なーんてホテルでドイツ兵の事を言いつつ思わずキスしちゃった後に
「・・・フランス人はもっとキスが上手いんだろうね」
と照れくさそうに言うフリードリッヒの表情がめっちゃ可愛かったです。いや本当に突然だったもんね（笑）
けどそのぎこちなさと去り際にドアを閉めながら見せた気まずそうな表情にフリードリッヒ本来の生真面目さが現れていて良かったです。
元々陽キャっぽいフリードリッヒのミラクルソングの声量も、最後にドイツ兵が降伏して歩いている時に兵士達が頭の後ろに手を置いて肘を横に張って堂々と去っていく中で、フリードリッヒだけがまるで恋人に情けない姿を見せたくないかのように肘を前に出しながら歩く姿も個人的には好きですね。あの腕の間でどんな表情をしているのか、下手側の席から見たくなりました。
イヴ・ゴーシェ役の聖乃あすかさん
ストーリーテラーなのは“バロックロック”以来？
この作品中唯一の現代人なので他の役との絡みは一切ありません。全体的にセリフも出番も多いですが滑舌が・・・
説明が多いので難しいお話ではない（むしろ説明し過ぎな所も？）ものの、時々セリフや歌で何を言っているのか聞き取り辛かったので頑張って
と心の中でエールを送りました。
ちなみに少年イヴ役の湖春ひめ花さんは聖乃あすかさん演じるイヴの祖父にあたる役ですが、不思議と二人の表情が似ていると感じることがあって面白かったです。歌も上手だし大人達に囲まれて表情がコロコロと変わる少年イヴも可愛い
コンラート・バルツァー役の輝月ゆうまさん
何かと同期痛め付けがちなまゆぽん（笑）
面白い役や温かい役も似合うのに専科に行ってからは悪役のイメージが強いです。
けどホテルで２回も鍵をかけるのにどっちも口説くの失敗するし、音楽を聴いている時の楽しげな口元を見るとまだとんでもない悪ではなさそうな気もしますが圧は凄い
それから最後に暴走する姿はドラマでも映画でもよく見る軍人さんの姿と重なり切ない気持ちにもなりますね。
レジスタンスのメンバーでもある「アルカンシェル」のダンサー達は最後に肩を組む時に一番上手に立っていたピエール役の侑輝大弥さんが目を赤くして大粒の涙を溢していたのがとても印象的でした。
舞台を再開させたい、自分達の国を守りたい、という思いが舞台人としてコロナ禍を戦った自分達と重なるのかなぁなんて思ったり。
フィナーレ歌唱はひとこの《たゆたえども沈まず》でした。
裾の長いマントのような衣装で迫り上がってきたひとこにライトが当たった瞬間に大きな拍手！
私はいつも背中を向けて立っていた男役がパッと振り返る演出が好きなのですが、今回の最初から正面を向いていてライトが当たった瞬間に手で持っていた裾が広がるという演出も素敵だなと王子様のようにキラキラな白衣装ひとこを見て思いました。
ただ背中向け登場が好きなのはきっと“エリザベート”で後ろ向きに迫り上がってきた美弥るりかさんに心奪われた経験からなので私はこれからもこの登場が一番好きなのは変わらないでしょう
可愛いロケットはハットに虹があって、衣装の背中リボンも虹柄でした。
そこからまだ「アルカンシェル」の世界にいるような錯覚を起こすジャズ調の《愛の讃歌》での群舞。
こちらもカッコ良くて衣装も素敵でした。まるでトップの引き継ぎのようにカレーちゃんとひとこが踊るシーンもありますね。
カレーちゃんが捌けてからの音楽は・・・「劇的ビフォーアフター」ですか？と聞きたいような不思議なリズムの音楽でした。ひとこはチアのように持ち上げられたりギラギラと踊ったり
そのすぐ後ろで踊るゆり（紫門ゆりやさん）のキラキラスマイルに心癒された瞬間です。
デュエットダンスは長めでキラキラとした空間を銀橋を渡ってからもう一度踊るれいまどコンビの姿を堪能しました。
その前に長く踊るシーンがあったのでトップコンビは一緒に捌けるのかと思いましたが、“カジノ”の真風さんのような一人ダンスシーン。
床に手を置く振りは真風は劇場に別れを告げるようだったけど、カレーちゃんは手を横に滑らせて虹を描いたように見えました。
エトワールは星空美咲さん。
お芝居でもかなり目立つ役でしたが、エトワールも彼女とは
お芝居同様に堂々とした歌いっぷりでした
階段下りは左から
希波らいとさん、帆純まひろさん、一之瀬航季さん
→美羽愛さん、綺城ひかりさん、
→聖乃あすかさん
→永久輝せあさん
→星風まどかさん
でした。
カレーちゃんの大羽根はなんとレインボー🌈
しかも外側から花月雪星宙になってる～白い衣装とも合っていて素敵だったし、舞台上のあちこちで虹モチーフのものが溢れていてとっても綺麗でした。
“カジノ”では緑色の服で「キャベツ」になってみせた私達ですが、次は客席が虹モチーフの小物で溢れかえるんだろうな
ご挨拶ではとにかく「こうして初日の幕が開いてお客様に会えたことが嬉しい」とお話してくれたカレーちゃん。
「舞台のセリフでもありますが、“君の手も熱い”が“君の目も熱い”みたいな」
と私達客席の視線の熱さを教えてくれました。
本当に幕が開くたびに「わぁっ！！」と何度も何度も嬉しさと感謝の気持ちを表現する柚香さんに対して、何かコメントをするたびに一人客席と同じようにひっそりとシャンシャンの後ろで小さく拍手をしていた輝月さんの優しさを私は見逃しませんでしたよ～(笑)
本当は仲良し９５期
恒例の公演ランチ♪
↑公演特別メニューセット 1、500円
↑スターバスケット 柚香Ver 1、000円
↑公演デザート 500円 ユズショコラ
初日は妹がバスケット、私は公演セットを食べました。
公演メニューの豚肉の煮込みは柚子ソースでさっぱり系。味ぽんみたい？お野菜と良い感じに馴染んでとっても美味しいですが、タレがたっぷりかかっている部分は味が濃くて酸味も強めです。
ジャガイモのスープは見た目の想像通りホッとする美味しさでした
ただ付け合わせのパンに加えて、煮込みにもサラダにもクルトン系のサクサクパンが乗っているのはちょっと重いですねチョコプリンは妹にプレゼント
優しさではなく自分がチョコ苦手なだけ(笑)
妹に少しだけももらったバスケットはこれぞ
柚香光（ゆずカレー）極まれり！！！
な見事な柚子カレーパンでした。これめっちゃ美味しい～
サーモンフライのサクサクも柚子もカレーも感じられて今まで食べたカレーちゃんシリーズで一番美味しかったです。
トーストしてたらもっと美味しいのでしょうがタルタル側に柚子が入ってる？からカレーの香りに柚子が負けずにどっちの香りも楽しめるんですね。次回はこれを食べなくては
たこ焼きは早くに売り切れだったようです。
そしてデザートのムースも柚子味(笑)
こちらも酸味たっぷりで底のホワイトチョコムースの甘みと絡める事で美味しかったです。
私のような柑橘系好きにはカレーちゃん（柚子）と咲ちゃん（雪組の彩風咲奈さん＝みかん）が退団することで公演メニューの楽しみが減ってしまうという事ですね。
ちなみに前回たこ焼きを食べた際にようやく値上げに気付きましたが、今回からはデザートメニューの友会割引もなくなっていますたこ焼きは値上げした分たこ焼きが１個増えたけど、友会割引分の還元は果たしてこれからあるのでしょうか・・・？
↑幕間には妹がジェラートを食べました。
私は甘いものを食べる気分ではなかったのでパス。見た目も可愛くて虹色のアイスもとっても美味しかったようです。
↑イニシャル付きの優しさに心が温まります
↑私が幕間に買いに行く頃にはもう限定のピーカンは売切れ寸前・・・開演前に来た時はまだたくさんあったから油断していました。
↑今回新発売のトップスターのクッキー缶も
今の並びが凄く好きなので今年３人も退団するのが寂しいです。
星組公演同様に花組公演も色んな角度で観るべくS席～立見と幅広くチケットを購入していますが、一番良い席は前々楽のS席超前方で、立見はソワレの前楽。本当に幅広く観劇出来そうで楽しみです(笑)
↑こちらはなかなかの破壊力・・・
↑本日はA席より。１幕は澄んだパリの空に希望に満ちた虹がかかっているのに・・・
↑２幕ではドイツの監視下に置かれ、どんよりとした空に虹も消えてしまっていますね。写真だと分かりづらいですが肉眼で見ると空は１幕よりもう少しくすんだ青色でした。
左右にかけられたナチス軍の旗にも重苦しさを感じ息が詰まります。
次の観劇は少し先になるのでこれからの進化が楽しみです。