気もそぞろで読書に身が入らないときは、間に詩のひとつを挟んでみるのもいいかもしれない。


 話は脱線するが、今はラディゲの作品を読んでいて、以前読書中であったフォーサイスの「ジャッカルの日」がどこ吹く風のようになっている。

 島崎藤村の「夜明け前」同様、停滞中の一作になったが、勿論完読を諦めていない。


 申し上げたかったのは、いずれもカバーが赤基調ということだけだったので、特に重要なことではない。



 ─閑話休題。

シュトルムは「みずうみ」で小説家のイメージが強いのだが、ロマンチックな詩人でもあるようだ。



 以前に揃えたこの詩集の210ページに、たった四行で心切なくさせる「めぐりあい」という詩篇がある。


 内容は決してめぐりあいのことではなく、シュトルム本人の切ない片想いの終わりを告げる詩である。


 なぜそんなことがわかるのかというと、この詩集親切にも詩について詩よりも長い解説が付いているのである。


 これは読んだ詩へ更に情感を乗せられるので、読者にとって嬉しい特典ではないか。


 かつての知り合い同士が、時を経て何事もなくすれ違う、そんな誰でも経験があるような思いから、切ない想いに移乗させてくれるのがこの詩最大の魅力であると思う。