ファミコンで少年時代を過ごしてきた私にとって、その当時から存在が気になっていたものの、自身も周りの友人も誰も持っていなかったソフトがある。


 きっと「それ」は、アクションゲーム真っ盛りの小学生にはちと異質で路線がシュール過ぎるので、どちらかというと大人寄りのソフトだったのだろう。


 ファミコン初のアドベンチャーゲームと銘打たれた「それ」の、左隅に男女が描かれたシュールなボックスアートは、もうあれから30年以上経った今でもハッキリと思い出せる。


 そして今さらながら驚いているのは「それ」が、あのドラクエシリーズのイメージが強い「エニックス」から発売されているという意外性である。


 さて大分勿体ぶった書き方をしてしまったが「それ」とは、前述のドラクエの生みの親、堀井雄二氏が手掛けた推理ゲーム「ポートピア連続殺人事件」である。


 ファミコン児だった私は、本など何らかの情報源によって、犯人が誰かを当時から知っているのであるが、話の筋や事件の動機などは、プレイしたこと無いのでまったくわからずじまいである。


 

 しかしながら、近頃観ているユーチューブチャンネルで少年時代を思い出させてくれるような配信内の影響で、俄然当時のあそび道具への関心が再燃しつつある。


 それが先日の「ファミコン10年!」を取り揃えたのに繋がっているのはもう蛇足かもしれない。


 さすがにゲーム機を買ってまで当時に浸ろうとは思ってないが、ファミコンソフトのゲームブックなる本が当時発刊されていたことにフと辿りつく。


 しかも当時のゲームブックは絶版している関係か、どれも取引価格がべらぼうに高い。

ゲームブック一冊でゲームソフトがひとつ軽く買えるぐらいはする。


 しかし怯まず調べてみたのは、「ポートピア連続殺人事件」のゲームブックの存在で、ネットのあらゆる調べを入れてみると…


 あるではないか!「ポートピア連続殺人事件」のゲームブックが。

が、しかしそのままだと、到底手が付けられない販売価格ばかりである。


 ちょっと無理か…諦めかけたところ、某フリマサイトのバイヤーさんが初版本を割引してくださり、そのご厚情のおかげを持って入手に至ったものである。



 カバーアートは、ゲーム中で事件の捜索をしている主人公の部下「ヤス」だろうか。


 この神妙な面持ちの「ヤス」を見て、コレ絶対持っておこうと決心したと言っても過言ではない。


 実は同じく堀井雄二氏監修の推理アドベンチャーゲーム「オホーツクに消ゆ」のゲームブックも存在しており、「ポートピア…」と同じく高額取引になっている。


 しかも「オホーツクに消ゆ」に至っては、今夏任天堂SWITCHで復活するとのことで、もうゲームをしてない私でもちょっと関心が高まるところである。


 何より最大の謎は、当面最後と課した私の蒐集癖がこのまま収まるかどうかである。