私は知り始めたばかりなので、ランボオについて、ランボオの類まれなる才能について、まだそれ程知らない。


 詩の詞の一節一節を理解しようとするから、ある一節を何度も繰り返し読んでいるといったところである。



 偶然ではあるが、私の師事する文学解説者のチャンネルにて、最近ランボオについてクローズアップされた解説があり、「母音」という詩のことについて触れていた。


 それによると、ランボオは「超感覚」を持っていたのではないかという考察が成されている。

「超感覚」とは所謂超能力のことであるようだが、この「母音」において、アルファベットから色を起草し言語化しているのである。


 例えば「A」は黒で、悪臭に集う銀蝿の胸といった感じで、発音という「音」から具体的な「色」が見えているようなのである。


 先日の「地獄の季節」にはこの詩が収録されてなかったので、早速いつもの古本屋さんにいつものように何年も並んでいた堀口大學訳の「ランボー詩集」を私の手に収めた。50円であった。


 長年古本屋さんの本棚に陳列されていたのだが、時を経て自分の感覚が変わり、本の方としては長年代わり映えなく待ち続けていたものを、恰も新しい発見のように、最後に自分の手元に収める。

これだから読書はやめられない。


 話は戻り、早速捲った「母音」は文庫でいうと約一頁程度のごく短い詩篇である。



 最初の一節から、母音を恰も生き物のように見立てているように思えてくる。


 今も繰り返しこの短い詩を読みながら、ランボオが如何にして「音」から「色」をつけているのかを想像してみるのである。