昨日は、ミュージカル メリーポピンズ観劇。
末っ子次男と観劇予定でしたが、バトンレッスンがあり急遽、長女と。
その後は長女のバレー用品や服選びに付き合いました。
割と、一緒に服選びに行きます。
いや・・・行ってくれています、かな。(笑)
末っ子次男は長女と入れ替わりで、本日、観劇メリポピです。
その後は、もちろんバトンレッスン。
さて、かなり前にエレキギターのPUの磁石の磁力を測定するために、ガウスメーターを作るという話をしていましたが、その製作はログには残していませんでした。。
実は現在入手できるホール素子の測定レンジが狭く、PUのマグネットの表面磁力が直接測定できず、4mmのスペーサーを挟んだ状態での測定にしていました。
使用したかったホール素子はA1326で、測定感度が2.5mV/Gですので、5V入力(静止出力電圧2.5V)とすると、測定レンジは1000G=100mT。
ギターのシングルコイルPUの上面の磁束密度がおおよそ~100mT前後ですので、これでも測定レンジはギリギリだと思っていたのですが、入手できませんでした。。
入手できたのはA1324で、測定感度が5mV/Gですので、5V入力(静止出力電圧2.5V)とすると、測定レンジは500G=50mT。
どうにも測定レンジが不足します。
参考サイト
http://www.ne.jp/asahi/o-family/extdisk/A1324LUA-T/A1324-5-6-Datasheet_JP.pdf
で、考えたのがスペーサを挟んで測定し、表面磁束は計算で出す、と言う方法。
先ずはホール素子を動作させるための設定。
・購入素子はA1324、UAパッケージ(3足が下向きに出ている)。
・足ピン1:Vccと、ピン2:GNDには5V入力、並列にセラコン0.1μFを挿入。
(A132X系のデータシートに記載されている代表的なアプリケーション例を参照。)
・ピン2:GNDとピン3:Vout間の出力電圧をテスターで測定 → これに感度の定数をかけて磁束密度を算出。
・5Vは微調整できる様に安定化電源で供給し、磁束0(ゼロ)の静止出力電圧が2.50Vとなる様に調整。
この状態で直接シングルPUのポールピースの上面を測定すると、やはり4.7V(S極)でレンジオーバー。
ここで、スペーサーを考えました。
円柱型磁石の表面からの距離と磁束密度は、一般的な近似式が磁石メーカーから紹介されています。
精度はかなり誤差があるとのことですが、概ねの傾向なら測定でき、かつ決まった測定方法でデータを蓄積すれば、相対比較はできると考えました。
参考サイト
中段の「磁束密度の算出式/吸引力の算出式」を参照。
最大300mT程度まで測定することを考え、スペーサーは4mmにしました。
2mmのプラ板2枚を接着し、そこに素子を接着固定。
リード線も断線し難い様に樹脂系接着材でしっかり固定。
安定化電源で磁束0(ゼロ)の静止出力電圧が2.50Vとなる様に調整。
実際はテスターの0点誤差がありますが、それは計算時に補正。
(単にゼロ点ズレ分を足し引き。)
アルニコ5のポールピースのN極を実測。
今回の構成では、2.5Vを中心に、S極は電圧が+に振れ、N極は-に振れます。
同じポールピースのS極測定。
S極は3.03Vですので、2.50Vとの差は0.53V。
この素子A1324の感度は5mV/Gですので、106G=10.6mT
ポールピースのサイズはφ5mm、L17.6mm で、先ほどの磁束密度計算式から逆算すると、表面磁束は72.19mT。
アルニコ5のポールピースならあり得る数値です。
因みにもう少し詳しく解説すると、残留磁束密度Brは測定するポールピースが減磁などによりフルに着磁されている状態では無いため、そのBrを測定磁束密度と距離4mmにて逆算し、その算出結果のBrを用いて距離0(ゼロ)=表面磁束密度を同じ式を用いて算出しています。
なお、先にも書きましたが、この一般的な近似式は誤差が大きいらしく、数社の磁石メーカーのWebサイトに、式の紹介や、計算までしてくれるアプリまであるのですが、製品毎に形状や磁石の特性に応じて補正の工夫がされている模様。。
形状と誤差についても調査しかかったのですが、さすがにそこまで研究するつもりもなく・・・
結局、誤差が気になって、2000mTまで測定できるテスラメーターを購入してしまいました~!(笑)
まあ、1万円程度のものですので、この計測器の精度誤差はどうか?と言う面もありますが、そもそも磁束の測定はセンサーの当て方や位置で非常に振れが大きく、磁石側も同一面内で磁束の偏りがあったりしますので、まあ、u-takのギター部品検討用であれば、そこそこの精度で十分です。
今回、ログに残そうと思ったのも、これを購入して、手作り計測器の精度が分かったというところもあります。
早速、同じポールピースを測定。
先ずはN極。約77.5mT
続いてS極。約66.6mT
手作り磁束密度計測の補正計算では、S極72.19mTでしたので、+8.5%と誤差はあれど、オーダーレベルは捉えられています。
他の種類、サイズの磁石でも試してみましたが、精度は+10%からΔ36%程度までバラバラで、形状、磁石の種類でかなりバラつくことが判りました。。
±15%程度なら良いな、と思っていたのですが、残念。
そう簡単ではありませんね。
そして、テスタメーターを購入したので長年気になっていた、「アルニコ磁石が衝撃により減磁する」を実験してみました。
磁力を帯びない真鍮ブロックの上で、ハンマーにて衝撃を加えます。
結構カンカンと数回衝撃を与えてましたが・・・
N極、約70.6mTでほぼ変わらず。
S極も約65.7mTで、ほぼ変わらず。
ギターに搭載された状態で、これ以上の衝撃が加わることは考えにくく(木製のギター本体が壊れます・・・)、衝撃による減磁は通常使用やPU交換時に机から落っことした程度では、ほとんど起こらないと思われます。
アルニコ磁石は衝撃に弱く減磁する・・・と言うのは、電子のスピン配列が乱れて磁性が失われるくらいの外力が加わると言うことですので、アルニコ磁石の母材である金属組織にダメージがあるくらいの大きな外力が加われば発生すると考えられます。
そういう意味では、恐らく影響が小さくて出難いだけで、厳密に言うとハンマーで叩いた表面部分では金属組織がダメージを受けて減磁していると想像されますが。。誤差範囲と言うことで。
エレキギターのPUにおけるアルニコ磁石の減磁は、熱による減磁もキューリー温度が850℃前後と高く、100℃以下の自然な温度帯ならほぼ発生しないため、やはり保持力が小さいゆえに発生する、自然な減磁が主要因なのだと結論します。
そう考えると、良いと感じられるビンテージPUの現在の音を再現するためには、数十年かけて減磁した磁力も再現する必要があり、それはそれで面白そうです。
長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただき有難うございます。
では、また。
u-tak