教えてもらった本を二冊やっと読み終わりました。
一つは「データの見えざる手」
人間がウェアラブルセンサを身につけて人々の動態を解き明かします。
この場合、位置情報と活動度がデータとして入力されていますが、もう既に会話や視覚情報をデータとして解析することができる段階に来ているので、もう間もなく私たちが身につけたビデオカムを介して映像と音声の情報がクラウド上に蓄積されて解析されていく時代が始まるでしょう。
そうなると、どんなことを話したか?、どんなことに視線を向けたか?、そんな詳細がわかるでしょうし、私たち自身が想像もしていないことが私たちの行動に影響を及ぼしていることがわかるようになると思います。
どうやったら幸福になるのか?
どうやったら平和になるのか?
何が幸福や平和を破壊しているのか?
そんなことが簡単に解明されていくような気がします。
もう一つの本は「数理で脳を解き明かす」
脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス) 0円 Amazon |
この本が教えていることの先では、私たちの「心」を抽出してコンピュータ上でシミュレーションすることが可能になるんだろうと思います。結局は、この世は「多種多様な因子の繋がり」で出来上がっているわけですし、その因子を解明していくと、階層的なものとなっていき、それぞれの階層に共通した理(ことわり)で世界が動いていることがわかります。
因子、繋がり、引力、反力、親和性…、そんなことの繰り返し。
と考えていくと…
私たちの脳の中でも、実は、単純なことが繰り返されているに過ぎないんだと思うのです。
私たちは、膨大な量の知識の渦の中に生まれ出て、生きているわけですが…、日々やっていることは、実は単純なことであり、生物の脳構造に支配されている…。
その辺りの根源を考えてみると、次の二層を思いつきました。
一つは、出くわした「因子」に対する反応。脳がある「因子」に出くわすと、その「因子」を脳内に投影し、投影された「因子」に対して様々な想起がおこる…。それは、次のような感じかと。
ある「因子」に対して、正誤、好き嫌い、賛成・反対と認識していくわけです。
その「因子」に対して反応する際に、私たち生命が執る判断に多大な影響を及ぼす因子群は共通していて、次のようなものになると思います。
これらの相対的な位置関係や重みが一人一人違うんでしょうね。
つい先日に逮捕された俳優さんも普通の人間で、ただ単に脳の中で異性に対するウェイトが大きかったこと、その突出した異性という因子に対する抑制系が欠落していたこと、そんな状況を想像することができます。
ただ、私たち生命は、とても「異性」という因子に対するウェイトが高い!。その旧皮質における本能的な反射を、理性的な新皮質で抑制したり制御したりすることができないと、コグマを殺してメス熊に襲いかかる様な階層段階に沈んでしまうんでしょう。
ひょんなことから先日知った作家の高樹のぶ子さんが書いた「トモスイ」が川端康成文学賞を受賞しているそうですが、こんな精神世界を脳の中に構築して快楽に浸るか…、現実世界でクマのように動物的な快楽を追い求めるか…、そんな些細な生き方の違いでしかないように思います。
年下の、男の匂いのしないユヒラさんに誘われて、春まだ浅い夜、月光をかがり火がわりに夜釣りに出かけた。一度吸えば、もう死んでもいいと思うくらい美味しいというトモスイを探しに──。第三の性に寛容なタイ訪問を機に創作された川端康成文学賞受賞の表題作。バリの噎せ返る緑のなか、姉と弟の禁断の愛を描く「芳香(ハルム)日記」ほか、アジアのエロスと情熱を湛えた傑作短編十編。
トモスイ (新潮文庫) 464円 Amazon |
精力や脳が生み出す衝動を、どんな方向に向ければよいのか?
根源は同じでも、向ける方向で、結果は大きく違っていきますから、善用したいものですね。
追記:
脳の中を曼荼羅で書く時、この二層の上に、前に書いた次の階層を重ねると、上手くいきそうな気がしています。