基本設計(12)グルーピングの境界線 | クラスタ民主主義システム研究室

クラスタ民主主義システム研究室

☆学習とディベート☆ ☆ネットワークデモクラシーを夢みて☆ 
☆教育ディベートを推進しよう☆ ☆「complex system」で思考してみよう☆「ネットワークデモクラシー(Demoex)研究室」からタイトル改題しました。 

梨木果歩著の「西の魔女が死んだ」を読んでみた。

評判がいいベストセラー小説だと以前から題名は知っていたが、なかなか好い本だった。

{A2050CAB-22E8-4D01-B0EB-46BF271D4D53:01}

この本のなかで主人公は学校で孤立しアウトサイダーになる。そして、西の魔女のところで修行することになるのだが、アウトサイダーとなった主人公の方が人間らしい繊細さを持っている…という設定だった。

しかし、その思春期で多感な少女の中にも未熟で足りない要素があるわけで、その辺りを丁寧に描いている点が共感を呼んだのだろう。

この小説の中にクラス内でのグループ形成の解説が出てくる。このグループ形成すなわち人間の集団化は学校に限らず人間社会全般で類似した動態を観察することができる。

今回のISISによる人質リンチ事件も同様の構図であり、グループ形成によってできた集団の対立なわけだ。根源は「欧米」対「反欧米過激派」と「反イスラム差別派」対「イスラム」のグルーピングに日本人も自ら積極的に加わっていると言える。

この作者はグループ形成の動機は人間の不安だとしていた。ヒトは仲間に入らないと不安になり、自己の判断や行動に自信がないと孤独に耐えることができないのだ。また、孤独に堪えるためには能力や自活する力も必要になる。

正しい判断を下すためには、何でも一人で決めることが大切になるし、周りの雑音に流されず、自分の短慮が招く感情の暴走にも流されない修行が求められる。

敵を捏造し敵と決めつけてしまえば、力学的にグループ同士が協力したり同盟したりしやすくなるので、様々な手練手管で画策してしまうのが人間と言えるだろう。

グルーピングの境界線が、全てを左右していく…

人間は各自の直感で決めつけてしまうわけだが、短絡的だったり独断的だったりして誤った決断を下していることも多い。そして、一度下した判断は自己擁護のために翻すことは極めて困難になっていく。

だからこそ、正しい直観力を整える修行が重要なのだろう。

そのためには、安息の地を常に心中に持ち、見聞きする対象を選り分け、孤立の不安に打ち勝ち、一人で決めることから始めるしかないと思う。

全体を納得できれば導きもでてくる様になっているのだろうし…