個体と共同体の連続世界 | クラスタ民主主義システム研究室

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☆学習とディベート☆ ☆ネットワークデモクラシーを夢みて☆ 
☆教育ディベートを推進しよう☆ ☆「complex system」で思考してみよう☆「ネットワークデモクラシー(Demoex)研究室」からタイトル改題しました。 

人は、コミュニティ(共同体)を創ります。個人が集まり自治会をつくったり、個人が集まって企業を営んだり、市民が集まって国家を形成したりするわけです。


さらに、企業という個体が集まって経団連をつくり、国家という個体が集まって欧州連合(EU)のような共同体をつくることもあります。これは、企業という個体が集まり共同体をつくり、国家という個体が集まり共同体を運営しているわけです。


こうした観点から社会をみると、人は、個体と共同体が連続した世界の中で生きていることに気付きます。


人は家庭という共同体に属し、企業という共同体の中で生計を立てると同時に、国家という共同体の中に組み込まれ、地球という共同体の一員でもある…。このように社会を認識すると、ローカルな個体とグローバルな共同体が連続していることが判ります。


いま、私たちは日本国という共同体で暮らしています。日本国民の年収の中間値は420万円前後ですから、年収100万円から300万円の人々は低所得層の範疇に入ります。しかし、ミャンマーの平均年収は4~5万円、ベトナムの平均年収は8~10万円ですから、新興国の立場から見れば年収100~300万円は高所得層ということになります。


例えば、自由経済の中で部品のネジ一本を同じ品質で造るのであれば、当然ながら賃金が安い共同体で造ることになります。安く造れる企業、安く造れる国で造る…。計画経済ではなく自由経済の中に身を置くのであれば仕方ないことでしょう。


地球というグローバルな共同体から見れば、日本の雇用が減り平均年収が低下している現状は、地球規模で低所得層に賃金が移動し、ワークシェアリングが発生しているのでしょう。


そんな中でアメリカ、日本、EUといった共同体(個体)は、様々な方法で共同体(個体)内の平均年収を維持するために工夫しています。アメリカが戦闘機などの兵器を開発して販売したり、各国が国債を発行して貨幣の増刷を行ったり、サブプライムローンといった詐欺的金融商品を開発したり、戦争してドルの信用を維持したり、投機的運用で利潤を上げたりして、各共同体(個体)は維持されています。


それでは、いま一度、日本国内に目を向けてみましょう。日本世界も、医者という共同体、土建業という共同体、官僚という共同体、公務員という共同体、経団連という共同体、議員という共同体などで構成されています。こうしたローカルな各共同体(個体)は自分たちの平均年収を維持するために、グローバルな日本国という共同体におけるワークシェアリングを拒んでいる事になります…。


さて、アフリカや中東といった発展途上国も含めた地球全体の共同体でワークシェアリングしていくのか、日本に存在するローカルな村社会という共同体の垣根を越えてワークシェアリングするのか、大都市と町村といったローカルな地域共同体を越えてワークシェアリングしていくのか…


あるいは、各国、各職域、各地域といった共同体の利権を閉鎖的に守っていくのか…




優劣や善悪に基いた各個体間、各共同体間の競争と淘汰を行いながら、強者(勝者)と弱者(敗者)のふるい分けを行いつつ、弱者のセーフティネット構築も行わなければなりません。。。


EUという共同体の中で、ギリシャやスペインといった弱者(敗者)の個体を、如何にして援助するのか…


アセアン(ASEAN)+3という共同体の中で、ミャンマーやフィリピンといった弱者(敗者)の個体を、如何にして援助するのか…


日本という共同体の中で、低所得層や生活保護といた弱者(敗者)の個体を、如何にして援助するのか…




グローバルな地球規模の共同体(コミュニティ)を視野に置きつつ、ローカルな個人と地域共同体(コミュニティ)との関わりから構築し直す必要があるのかもしれません。


こうしたローカルな地域コミュニティの一要素として、ネットワーク・コミュニティも重要な役割を担うような気がします。