八時半に銀座に到着。デビュー前最後であろう面会に、九ヶ月前の彼女との出会いを思い出す。それでも四時間はおもむろに過ぎて、日は彼女を照らすかのように顔を出す。
別れとお礼を告げて、ふらりと入った岩戸という割烹やさんで穴子天ぷら定食をいただく。望月を懐かしみながらも、超過していく現実にやけどをした。
今日の主役はジョルジョ・モランディ。彼の描く静物はもはや彼自身でしかなかったと思う。筆をとるたびに変わる自らの心情や空気、遠近感、それらがヴァラエティーに繋がっている、並べられた器は最初から自画像にしか見えなかった。
晩年に近づくにつれ輪郭が薄くなっていく絵画たちは、より一層具体化されていっているようで、見たまま描くことに魅力を感じていたモランディは、重きを置いていた本質を隠せなくなっていたのかもしれない。
日本画を観たかったのだが、思いの外モランディで長居してしまったため諦めることにした。代わりに、そこまで惹かれなかったが、入場無料のオートクチュールを観ることにした。期待通り、おもしろさがわからず、いろいろ思うことはあったがここに書くのはやめておく。
そのまま丸の内KITTEで買い物をし、オアゾや新丸ビルも立ち寄り、大手町から三軒茶屋へ。久々にスカイキャロットへ登り、楽園のカンヴァスの世界にどっぷりと浸る。なんでか泣きそうになる文章を追っていたら、人を間違えられ余計に泣きそう になった。
飛行機雲が平行してあるように、今日の東京駅のように孤独を尊重してゆきたい。