ドラマ「関ヶ原」~前田家の不運~ | ♪ DEAR MY LIFE ♪

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琵琶湖畔で、水面の煌きを眺める父と子。
二歳の時、母を亡くしている隼人に、来年、夏が終わり、
そして、生きていれば、を連れてくると告げる三成



阿国と共に踊る初芽に手裏剣を投げる謎の男。
手にした扇で手裏剣を受け止める阿国。
男の後を追う、阿国の情夫・名古屋山三



>この日、秀吉の未亡人・北政所は大坂城の西の丸を引き払い、
>京都に移った。その意図が何であったかは謎めいている。(ナレーション)


そして、ついに、その西の丸に入った家康
「誰も止める者はいなかったのか?」と驚愕する淀君。
二奉行を前に、噂の「その後について」尋ねる家康。



家康曰く「前田がわしを殺そうというのは嘘」らしい。
安堵する二奉行。しかし、続いて家康の口から出た言葉は、
暗殺は手始め、真の目的は豊臣家への謀叛だと言う。
冬というのに戦仕度。暗に「前田討伐」を示唆する家康。

◆◆◆前田家と細川家◆◆◆
これまで、何度も自殺を考えたことのあるガラシャは、
人の命は神から与えられたもの。それを自ら断つのは、
最も大きな罪である~と教えられ、驚く。

信長公に謀叛した際、父・明智光秀を見殺しにした夫・忠興
そればかりか、光秀を討つ側の先鋒にたった細川家。

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その後、明智家との関わりを断つという理由から、
丹後の山奥に二年間、幽閉されたガラシャは、
どうしても、夫に心を開くことが出来ずにいた。

細川家の長男の嫁は前田から来ている。帰宅した忠興は、
前田家謀叛・家康の加賀討伐の知らせに焦りを隠せない。
「剣(つるぎ)を用いる者は、剣にて滅びる」
キリシタンの教えを呟くガラシャ。その胸元の十字架を見て、
御禁制の教えを信じるお前は、細川家を滅ぼす気か?と罵る忠興。



キリシタンを捨てねば斬る!とまで言う忠興だったが、
怯むどころか、我が身を投げだすガラシャ。
愛する妻を斬ることなど出来ない忠興は、
事の子細を前田に伝える為に部屋を出て行く・・・。

>細川忠興の知らせが加賀に向かっている間に、
>すでに面白い動きが起こっている。(ナレーション)


◆◆◆人質・芳春院◆◆◆
前田征伐の際には、是非とも先鋒を承りたいと願い出る、
加賀の隣国、小松12万石の丹羽長重(矢崎滋)

>なんとまあ、世間には尻尾をふるのが早い男がいるものよ。
>し、しかし・・、(正信)

>尻尾をふるのも才能の一つだと、
>この策略家の老人は考えている。(ナレーション)


丹羽の申し出に呆れつつ、笑みを浮かべる正信。
(これこれ、笑っている場合ではない)と、
トントン!と扇で畳を叩き、たしなめる家康。



七将を前にした際の家康は「パンッ!」と派手な音をさせ、
扇を肘掛けに打ち降ろし、台詞の中に快適なリズムを与えてました。
この場面でも、扇を使った正信との会話が「粋」です。

一方、加賀では、父の遺骸と共に帰国しただけなのに、
謀叛を疑われ、憤慨している前田利長(長谷川哲夫)
しかし大坂では、すでに家康が当家討伐の準備に入り、
その先鋒は、丹羽長重に決まっていると報告する家老達。

そこに、利長の母・芳春院(まつ)が部屋を訪れ、
そなたには家康殿と決戦する器量は無い。
前田家を如何にして残すか、それだけで精一杯でおわす~と告げる。



利長は「家康殿は誤解している」と口にするが、
誤解とは愚かな。下世話に言えばこれは「無法者の横車」。
謀叛人を仕立て、諸侯の様子を伺い、
勢いに乗れば天下様を狙う策略!と見抜いている芳春院

>そなたは、その囮に選ばれたに、すぎん。
>すぐさま家老を送り、八方、申し開きをするがよい。
>相手が如何に絡もうと、ひたすら謝るしか道は無い。
>利長殿、、そうなされませ。(芳春院)


その日のうちに大坂へ出発した前田家の釈明団。
利長の釈明書に目を通すように必死に訴える横山長知(横沢祐一)



>加賀の紙は、良い紙じゃの。ほれ。(家康)

書状を投げすてる家康。いわれの無き悪名と叫ぶ横沢。
たとえ利長が発狂して謀叛を企てたとしても、
我ら家臣、それを許すはずはない!と言い切るが、
それでは「謀叛を起こさない証拠」にはならぬと答える家康。

>我が前田家は、太閤殿下の恩顧をこうむり、
>まして、先君は五大老の一人!(横沢)

>証拠とは「かたち」よ。言葉ではない。(家康)

>かたち?ならば、我が腹を!(横沢)
>そちの腹など、かたちにならぬわ!(家康)
>ならば・・、どの様なかたちを??(横沢)
>そうよのぅ・・。(正信に目配せする家康)

>如何でございましょうか。利長殿の御母堂、
>おまつ様を人質になされましては・・・。(正信)


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この結果を利長に報告、ひたすら謝罪する家老。
「無体なっ、この世に正義は無いのかっ!」と嘆く利長。
「行きましょう。そなたは母を忘れなさい」と即答する芳春院。

>人質となった芳春院は、ただちに北国街道を大坂に向かうが、
>途中、北政所の隠棲している、京に立ち寄っている。(ナレーション)


書状に目を通すことなく、放り投げる森繁さんの演技は絶妙。
  また「加賀の紙は~」という台詞も爆笑もので、
  何とも言えない理不尽さが滲み出ています。

芳春院役の沢村貞子の台詞回しや所作動作も堂々としたもので、
  北政所の杉村春子同様、こういう老け役を見事に演じる女優さんは、
  今後、中々、登場しないかもしれませんね。

▼ドラマ「関ヶ原」 ~直江状~