大変ひさしぶりの更新となってしまいました。
かまたきみこ「KATANA」の感想です。
物語は…
鎌倉時代から続く刀鍛冶の跡継ぎとして生まれた高校生:成川滉は、刀の持つ魂魄を見て交流することのできる特技を持つ。刀鍛冶職人として人間国宝である祖父の跡継ぎにはなりたくないものの、刀たちとふれあい、その卓越した「研ぎ」の技術によって刀たちやその持ち主の抱える様々な問題に関わっていくことになる…
というものです。第一話だけは、もともと読み切りで描かれていたもので大学留学中であったりと設定が多少違いますが、2話からは高校生として物語が始まっています。
「刀」が魂魄として見える、という設定。
面白いですヽ(゚◇゚ )ノ
花嫁に持たせる守り刀として作られた刀は花嫁姿の美しい娘だったり、拵えに龍をあしらい名前に「龍」の字をあてられた刀は竜の姿をしていたり。その刀の歴史、生まれ、用途の違いが端的にキャラクターとして表されているのが、わかりやすく新鮮です。また、その物語も、その刀達のキャラクターを活かし、刀ひとつひとつには本当に様々な物語が秘められているのでは、と思わせてくれて楽しめます。
日本刀は今では「美術品」か「歴史の遺物」という認識でしかない現代ですが、この作品を読んでいると、刀が普通の人々にとっても身近で歴史のあるものであったことを改めて認識させられます。一口に「刀」と言っても、その目的や作られ方、その長くこの世に存在していく中での変遷など、その境遇は様々です。神事にも使われ、神聖なものとして崇められた存在もあれば、戦で何度も人を斬った刀もある。こんなにも人の生活に深く関わってきたこの器具が、今ではほとんど目にすることがない、ということが、この作品を読むとむしろ不思議に思えてきました。
ある話では、映画の小道具用に用いられた刀の魂魄が女性だったことから、「この刀は‘なぎなた’なおしの刀」と推測する場面もあり、そんな風に刀自身形を変えて生き続けているのかと知るのも興味深いものだったり。刀そのものについての基礎知識や、「妖刀村正」などの名刀妖刀と呼ばれてきた刀のことなどもわかりやすく登場したり、ちょっとマニアックではあるものの、「刀」の面白さを再認識できる作品となっています。
刀との交流がメインですが、この主人公をとりまく人間関係も、コミカルに描かれていて、読んでいて楽しめます。主人公はちょっとヘタレ気味な、刀も人も放っておけないところのあるお人好し。破天荒な友人とのやりとり、うまくコミュニケートできない親子の葛藤、その親子をハラハラ見守る優しい祖父と母。物語の着地点は今のところ分かりませんが、刀との交流を通して、成長していく彼らをもうしばらく見守っていきたい、と思わせてくれる作品です。
興味が湧いたらぜひ読んでみてください。
作者の「かまたきみこ」さんの作品はこれが初めてでしたが、こちらも面白かったです。
「レジェンド・アカデミー 」 (アイズコミックス)/ホーム社
※「伝説の男」へと「帝王学」などを教えてくれる学校と信じて入学したこの学校は「伝説を学ぶ」学校だった。あくまでも「金」「ビジネス」思考である主人公の少年は、学校で浮きまくりながらも、ファンタジックな出来事に巻き込まれ、馴染んでいく…