堂山物語 第105話

モンスタープロに復帰して仕事が、

休みの時は何処かのモンスターを攻める生活リズムになった。


当時、4年勤めていた中華の基本給が19万に満たなく

残業代も、ほぼ無いので手取りは少ない。


いわゆるサービス残業？と言っても自分が勝手に早く行ったり

残って仕事をしていたので当時は、サービス残業とは思わなかったが

22歳になっていた僕は

「年齢の万円」は給料欲しいなぁって思っていた。



モンスターの戦績は

大雑把に行くと2万くらい負けるか

7～8万勝つかの好成績だったと思う。

ただ毎日は攻めては、いない。



モンスターの収入は月20万前後だったと思うが

生まれて元来、貯金が下手な人間なので、お金持ちにならない。



遮那王の新店のバイトは学生が多く厨房のメンズで童貞の子が何人かいたので

そのうちの

「逝きたい！」という3人をつれ

信太山新地でまとめて筆おろしをさせた事もあった。



信太山新地？と大阪の人間でも一般人は思うかもしれない。

北新地の新地のソレと違う○○新地という

本番ありというか本番のみが行われる街が

大阪に存在しており飛田新地が全国区で名を馳せている。


堂山時代に同じ？色商売の人間として学んだ知識は

誰が名づけたか大阪五大新地が大阪府下の東西南北に配置されており



飛田を中心とすると西は松島新地。九条新地とも言われる。

東は今里新地。在日コリアンの街、今里にも新地が存在していた。

北は超マイナーな滝井新地。

京阪電車の超短い駅区間の　土居⇔滝井　の　滝井は

この新地の為に作られたというのはウソだ。きっと。

さらに噂で滝井は松島新地の出張所みたいなモンと聞いたことがある。



さぁ飛田の南に位置するのは、信太山新地。

その他の新地の全ての店を調べたわけじゃないので

断言は出来ないが

大阪府下の新地で最短、最安だ。


僕が初めて信太山に行った高校２年か３年の時は

6500円だったが、それからスグに7500円に値上がりし

多分、現在も変わっていない？


しかし何せと遠いのだ。我々、北大阪在住の者からすると

淀川と大和川の2本ものの1級河川を渡らなければならない。


僕達が勤めていた商業施設の最寄りのJRの駅から

大阪までも190円くらいだったか…

信太山なんて600円ちかくするミニ旅レベルの遠征だったのだ。



しかも僕が連れていくのは金の無い

湿気たチェリーボーイ三人。

風俗代は奢ってやっても電車賃までも

面倒みてやるのは、どうかと思う。


バイトA　「堂山さん、信太山まで高いっすよ！」

チェリーAが最寄りのJRの駅の改札で文句を垂れる。

堂山　「アホか！とりあえず120円の一番安い切符買え！」

バイトB　「そんなんで行けるんですか？」

堂山　「向こう着いたら教えたる！」


こうして僕達4人はJRに乗り大阪で環状線に乗り換え

天王寺で阪和線の快速に乗り

鳳で普通に乗り換え

ようやく信太山駅についた！


バイトC　「堂山さん、改札ココですよ？」

堂山　「ええから着いてこい！」


信太山駅は和歌山向き方面にしか改札が無いのに

僕は地下道を歩き再び天王寺方面のホームに

チェリー達と歩いて行った。


堂山　「ココからな？」

もうお分かりだと思うが

ホームの柵を乗り越え駅の外へランデブー


堂山　「ええか？JRなんて、その気になれば120円で
　　　　何処でも行けるねん！」


チェリー達　「'`ｨ (ﾟдﾟ)/」


こうして僕達は線路沿いを歩き、信太山新地へと向かって行った…

堂山物語 第104話

中華の仕事が休みの日に


モンスターを攻めたのは某チェーン店のとある店舗。


モンスターハウスが1BOX設置されていて


過去は看板コーナーだったんだろうなって感じだった。


堂山町を離れて約2年。


カワシマさん譲りの体感器と2個打ちで


モンスターに座るのも２年ぶりで、ちょっと緊張していた。


なんせ、隣には頼りになる兄貴文はおらず


店や他のプロとトラブルになって時には


すべて自分ひとりで対処しなければ、ならない。


モンスターハウスがズラッと並んだ島の真ん中に


打つ台を決める。


これはカワシマさんの鉄則で角だと店員や他の客も


立ち止まり易いので目立つからだ。


この日の投資額は記憶には無いが４万円以内に


確変を引いた事は確かだ。



僕のスタンスとして1日勝負出来る日でも4万まで


半日勝負の日は2万までと投資金額を決めていた。


モンスターの連チャンに置き換えると


1日勝負の日は、8連チャン。


半日の時は、たった4連チャンさせれば元だという理屈。


たしか10連チャンを超えた辺りから


僕の後ろを店員がうろちょろするようになった。


（うっとおしいな…）と思いつつもヒラ打ちにせず


2個打ちで攻めていた、その時！



店員　「お客様？」



キタ！



店員が声を掛けて来た！



僕はカワシマさんがそうであったように


それでも、2個打ちで店員の声に耳を傾ける。


急にハンドルから手を離す方が不自然だ。



店員　「お客様。恐れ入いりますが…」



ドックン！



ちょっと、僕はドキドキしていた。



このまま事務所とかに呼ばれるのかな？



この店員が注意するだけで終わるのかな？



出した玉は交換してくれるのかな？



いろんな妄想をしながら



堂山　　「はい？」



すると店員が



店員　　「お客様、固定遊技はお断りさせて頂いております」



ﾏﾆｭｱﾙｷﾀ――(ﾟ∀ﾟ)――!!



堂山　　「す、す、すいません」



と言ってたら僕の台は確変を拾ったリーチが掛かったので


ハンドルの100円玉（←ジンクス）を落ち着いて外し


その日は都合、18連チャンして即ヤメして


復帰、第1戦を勝利で飾ったのだった。



この日、僕の攻めるリストに


マニュアル人間が多そうな店　と加えられた。



一応、自分の職場の近所だったので


復帰祝いも兼ねてアルバイト達に


ビアードパパのシュークリームを6千円分差し入れて


僕がシュークリーム好きと店で間違った認知をされた日でもあった。

堂山物語 第103話

カワシマ   「モンスターは、まず大当りのポイントを探して、そこが確変なら、そこから飛ばさんように打ったら連チャンが続くんや」

堂山   「はい、アニキ！」 

堂山町時代の僕を連れ出していた、謎のパチプロカワシマさんが僕に教えてくれたCRモンスターハウスの攻略授業の1時間目は、こんなくだりから始まった。 

カワシマ   「パチンコは、ココに玉が入った瞬間に当たりか外れを決めてて、モンスターは、367分の1の確率や。大体、知らない人の誕生日を一発で当てるくらい、難しい確率やねん、実は」

このパチンコの確率論を僕は、後年新入社員研修でも如何にパチンコの大当りが凄い確率であるかの説明に使っている。   

カワシマ  「ええか、勿論最初から、この当たりポイントを探って、単発打ちしてもええ。けど、最初から目立って店とか他のプロにマークされたら、意味ないやろ？」

一般的にモンスターの攻略は、一コマ外れのリーチのちょっと手前を単発打ちで狙うのが主流だった。

モンスターハウスの367分の1の周期は、約1秒。さらに単発と確変の周期が変わりベンたんにやって来る。

つまり確変の大当りは、734分の1の確率だ。

カワシマ   「だから最初は、ヒラで打って普通の客と、一緒に確変大当りを目指すんや！けど、それまでの保留は、全部メモリーせぇ！」

ここからは、体感器の扱い方の説明だ

。体感器には、メモリーボタンがあり、スタートに玉が入った瞬間に、そのボタンを押す。そうポケットに手を突っ込んだまま打ってる奴は当時、体感器を使ってる奴がほとんどだった。

カワシマ   「メモリーは、こうやって打ったら目立たんからな」

カワシマさんは、ジーパンの前右ポケットにメモリーボタンをいれ、足をくんでさりげなく左足に、左手を置きメモリーボタンを押す事を教えてくりた。

カワシマ   「当たった時の保留の数を数えて何個前のメモリーか入力したら、完了や！」

たしかＢボタンを押しながらCボタンを保留の数だけ押してメモリーボタンとBボタンを押して完了みたいな感じだったと思う。

カワシマ  「さあ！こいつは運良く確変やから狙って行くぞ！」

この時の体感器は、メモリーを入力すると0.5秒刻みに

ビーーッ   ビッ  ビッ  ビッ  ビーーッ ビッ  ビッ  ビッ

と最初の1拍は、強バイブで後の3拍は弱バイブで動き始めた。

カワシマ   「ええか？モンスターは、確変になったら、この最初のビーーッから次のビッの間に玉を入れたら確変で当たる。この間に確変は当たりポイントが６つ増えとるから簡単やろ？」

 

堂山   「ココを単発打ちで狙うんですか？」

カワシマ   「そこやがな！ええか、逆に言えば3拍目から4拍目に入ったら単発終了って事は、わかるな？」

堂山   「はい、そこに入れん様に単発打ちしたら良いんすね！」

カワシマ  「ちゃうわ！最初のビーーッのちょっと前を狙って2発打ちで、かなりの頻度で確変を拾えるや！」

カワシマさんが僕に仕込んだモンスター攻略は、かなりの少数派の2発打ちだった。

実際に僕は、モンスタープロでこの打ち方を、見た事がない。

勿論、打ち出してから釘に絡む事でイレギュラーのバウンドもあり単発ゾーンに入る事も良くある。

単発打ちの方が安全と言えば安全だか2発打ちで打っていた僕達は、ヒラで打ってるおばちゃん達と同じくらいのスピードで確変中に大当りを当てていた。

そう単発打ちは、確変中にも関わらず、次の大当りまで時間がかかる。

他のプロが1回の確変を当てるのに1時間掛かっているのも見た事がある。

こうして堂山時代に仕込まれた、体感器と技で、僕は当時、設置が、少なくなり始めたモンスターを求めて、いろんなパチンコ屋を攻め始め、仕事のモチベーションをモンスターにシフトしていったのだった。