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堂山物語 第124話

そういえば、リーダーになってすぐに交通事故にあった。

 
 
ひとり暮しの僕は、店から家までの国道沿いに何軒か深夜マイメシ屋をキープしていた。
 
 
その日は、うどん食って
 
原付で帰っていたら、
 
起きたら病院だった。
 
 
警察曰わく、左折に巻き込まれたらしいのだか、
 
 
僕の帰宅ルートを考えると、その区間は
 
信号と信号の間でフルスロットルでギリギリ青→青でイケル区間なので
 
僕の方が左折しようとしている車に原付フルスロットルで特攻したに違いない。
 
 
けど未だに、その時の記憶はなく、
 
駆けつけた警察と救急隊員に対して
 
僕はパニックになって殴りかかり、
 
ひとりの警官は鼻血を出してしまうくらい暴れたらしいが、全く記憶にない。
 
 
僕が今後、記憶障害を起こすとしたら、この事故が原因だw
 
 
次年度、新卒が入ってくる時に新任社員研修をする委員会になっていた。
 
当時の新卒が15人も入ってくる年だったので、
 
入社前に新入社員の合宿にも参加させられた。
 
 
合宿、最終日に新卒を5名3班に分けて、社長、常務以下、店長連中の前で
 
プレゼンテーションをする催しがあり、そのプレゼンを作り上げる為に
 
3日間合宿をして、交流を深めようという目的だった。
 
僕は3年目のMリーダー(タメ)に一緒にやろうと指名された。
 
 
指名されるのは、過去の経験から慣れているがMリーダーは店舗は
 
違えど、一瞬でど真面目でおもんない組みと分かってしまう。
 
 
堂山 「いーんすか?僕みたいなモンで」
 
と受け持った班のプレゼン作りを、ど真面目のMリーダーに全部任せて
 
4月からの風適法研修の勉強をして、合宿中は遊んでいた。
 
初日にMリーダーが考えてきたプレゼンを見せてもらった。
 
うわぁぁぁぁ、おもんなぁぁぁぁぁ~(;´Д`) と思いつつも
 
堂山 「めっちゃ、細かく良く出来てますね。僕には、こんなん書けないですよ」
 
Mリ 「あ、ありがとうございます。これでアイツ等を仕込んだら良いプレゼンが出来るとおもうんですよ」
 
僕は、こんなん書けないですよの意は、こんなおもんないの書けないし見てもおもんないやろって、口に出さず先輩でもあるMリを立てて合宿をこなしていた。
 
 
すると、僕らの受け持った班の5人の中にひとり、オタクみたいな奴がいて、どうも馴染んでいないし、プレゼンの練習でも、そのオタクが浮いてるのがバレバレだった。
 
 
堂山 「Mリーダー?あのオタクが、浮いててしまってプレゼンうんぬんよりも、あの浮いてる感じが班としてアカンのじゃないですかね?」
 
 
Mリ 「でも、あの子は自分の受け持ち分の説明もしっかり暗記してるし・・・」
 
 
堂山 「Mリーダー?でも、おもんなくないですか?」
 
 
Mリ 「えっ?」
 
 
堂山 「僕に任せてもらいません?あのオタクも、まぁまぁなオタクにデビューさせますから!」
 
 
こうして僕は、Mリーダー企画のプレゼンを140度くらい方向転換し
 
題材の「梅田の大東洋とガイアの接客の違い」を
 
まさかのショートコントに仕立て上げて5人に夜な夜なレッスンさせた。
 
 
他の班が模造紙に表やグラフを書いて、指先をビシッとそろえてグラフを指して
 
暗記してきた内容を発表する素晴らしいプレゼンテーションを行い
 
場内はシーンとしたお通夜状態、Mリーダーの不安がる中、
 
大トリの僕らの班は、
 
まさかのパイプ椅子一つで行う
 
ショートコント風、大東洋VSガイア
 
ネタ終了後、
 
場内はお通夜から結婚式の余興後くらいの雰囲気に変わった
 
 
 
僕は人事のS室長から遊び過ぎと相当怒られたが、
 
あのオタクもしっかり芸を覚えたし
 
堅物で知られる社長も店長連中にも、ウケていたので
 
僕はMリーダーに言った。
 
堂山 「やっぱ、おもんないのアカンでしょ?」
 
Mリ 「堂山リーダー、すげぇよ」
 
 
うん、おもんないのは罪だ!
 
ま、4月からの新入社員研修の風適法が僕の持ち授業だったので
 
パチンコは7号営業(当時)のくだりで
 
2号営業の飲食店は飛田新地とかピンサロとかだ!ウチらと同じように料金の表示してる!
 
ソープは性風俗特殊営業と言って、我々の風俗営業とは隔てられていると
 
無駄な知識をも詰め込み、人事のS室長から、また怒られた。
 
 
クソ!おもんないのは罪だ!

堂山物語 第123話

入社半年でリーダー職に昇格したケン兄と僕。

 

 

一応、言っておくと僕たちが優れているんでなく、フツーにやってればリーダーなんて誰でも上がれるんじゃねぇのって思っていた。

 

なんせ、おもんない組が多い(´Д`;)

 

 

当時、僕らの配属店舗では残高カード泥棒の常習犯がいた。

 

 

勿論、カメラで追って、犯人の顔は特定出来ているので

 

もし犯人が現れたら

 

(゚Д゚)ノおい!コラ

 

って言ってしまえば良いのに

 

この会社は、現行犯じゃないと・・・万が一人違いだったら・・・とお決まりのお堅いお触れ込みがあった。

 

僕は、この類の犯人の対応をするのが好きなので

 

犯人の顔写真をアタマに叩き込んで

 

さぁ来い!さぁ来い!

 

と楽しみにしていたのに

 

マンが悪い事に僕の勤務と逆番の時間帯に犯人は現れ、

 

おもんない組みの先輩社員達が何回、何回も取り逃がしていた。

 

しかも、おもんない組みのTリーダーに至っては

 

おもんないT 「来たのは、わかってたけど交換ラッシュで目を離している時にやれれちまってさぁ」

 

堂山 「そんなん、来た時点で、ちょっとお話があるんですけどーって外連れてって、もう来んな!って言ったらいいじゃないすか!」

 

 

おもんないT 「そんなん、万が一人違いだったら、お客様をひとり減らしてしまうやんか!」

 

 

と全く僕の育ってきた国々と違う言葉?なのか意思疎通が出来ない(´Д`;)

 

 

はっきり言おう!

 

おもんないは罪だ。

 

 

「変えなければ!」

 

 

オバマより数年先に掲げていたテーマだ!

 

 

この頃の僕のテーマを胸に、次の店休日

 

 

僕はケン兄と、6月入社の下僕にしたヘタレNと店の外でポスター貼りをしていた。

 

ポスター貼りと言っても、作業が早い僕らは瞬殺で終わらすので

 

店の外でヘタレNに水責めをして遊んでいたような時だった。

 

 

店の前の商店街に、あの写真の犯人が歩いてるじゃ、あーりませんか!

 

ヘタレN 「ケン兄さん!犯人歩いてますよ!あいつですよ!」

 

ケン兄 「ほんまやなー、クソー、どうする?」

 

とケン兄は僕にジャッジメントを預けてきたので

 

堂山 「ウフっ任せといて!」

 

 

と僕は人ごみでごった返した商店街を歩く犯人の後ろにびったりつき

 

 

「ちょーもーカード、パクらんといてなぁぁぁあああああ!」

 

「もう!バレてんねんでぇぇぇぇえええ!」

 

「みなさーん、この人ねぇ!ウチのお店でカードパクってくんすよぉおおおお!」

 

「ちょーカード、ホンマにパクらんといてなぁぁあああ!」

 

「今日、ウチ休みやから、どこにパクりに行くん????」

 

 

 

と大声で連呼する。

 

 

顔を真っ赤にして、その場を立ち去る犯人。

 

店の前で笑い転げているケン兄とヘタレN。

 

 

こうして、おもんない組み先輩社員達が長引かせていた

 

カード泥棒常習犯は、瞬殺でウチに来なくなり

 

平和な日々が訪れるのであった。

 

 

おもんないは罪だ!!

 

堂山物語 第122話

日本最底辺の合宿を教えた僕達2人は、それぞれの道を歩む。

 
 
ナガイワさんは、兎我野町の人妻ホテヘルの店長で迎い入れられ業界復帰を果たし
 
 
僕は、地元のパチンコ店の会社にペーぺーからで就職し業界復帰を果たす。
 
 
ちなみに、この会社は僕が中2の時にヤクザのオッちゃんに連れられて春夏秋冬を初めて打った縁のある会社だ。 
 
 
ちょうど入社が4月だったので、数名の新卒社員と数名の僕を含む中途社員で、入社式から新入社員研修とお堅いカリキュラムが数日本社で続いた。
 
 
この時、思ったのが
 
 
超お堅い会社に入社してしまった(´Д` )
 
 
僕は、以前大手チェーンとはいえ、とんでもメンツが揃った店舗でパチンコ業界デビューしていたので、研修中に
 
 
多分、この会社じゃ
 
 
事務所で、男同士でキスしたり
 
 
裏ビデオを貸したら、借りパクされたり
 
 
早番で帰ってきたら、先輩が僕の部屋でオナニーしてたり
 
 
金庫室では、その先輩と障害者のモノマネで奇声を発し続けたり
 
 
奇声を発せず二人で真面目に金銭業務していたらマネージャーが静か過ぎて心配になり見に来たり
 
 
プシューでジュースやメシを賭けたり
 
 
遅番終わりで、メシ行って、ホテヘル行って、そのまま早番行ったり
 
 
 
無いんだろうなーって想像できてしまうくらい堅そうな会社だった。
 
 
実際に前で研修してるヒトも
 
配属された店舗で指導してくれた先輩も
 
派遣アルバイトも
 
なんか面白くなさそーなメンツが多かった。
 
 
元来、人見知りの気がある僕は、一週間くらい孤立していたように思う。
 
 
あきらかに僕より、おもんなさそーなヤツがリーダーとか主任とかでイキっていて
 
 
配属して、しばらくは
 
 
「お疲れーーっす」と似たような、おもんなさそーなヤツが出勤してきて
 
 
僕は、その度に
 
 
うわ、こんな感じもおんねんやー
 
 
って連日思っていた。
 
 
 
しかし僕は、思い出す。
 
 
飛田新地の百番裏にあったK組事務所横のお地蔵さんに
 
 
ナガイワさんと誓った事を!
 
 
這い上がるんだ。
 
 
当時、いろんなパチンコ店の会社がダークのイメージを変えようと
 
業界を変える!とかキレイ事を言ってた時代だったが
 
僕は僕で
 
「変えなければ!」
 
とこの、おもんない空気をちょっとでもオモロくしようと立ち上がった!
 
 
まずは仲間探しを始めたが、すぐ見つかった。
 
同期で配属されたケン兄。
 
僕より1つ上だったが、なんと社長の次男。
 
 
店舗のスタッフは勿論、店長もちょっと遠慮気味に接しているけど
 
 
僕は今でも社長の息子なのにペーぺーから始めた事を尊敬しているし
 
何よりも、同じ空気を感じる人間だったので
 
イク君の話(第54話参照)をしてみたら
 
イケる口だったので一気に僕の変えように賛同してくれた。
 
翌月の5月の飲み会で僕たちはディープキスを披露し
 
飲み会をノリと大声だけで笑いを取ろうとしてきた
 
店舗のおもんない組の連中は、僕たちにイキってくる事は無くなる。
 
 
きっと、レベルの違いを見せつけられ、大人しくしとこうと思ったに違いないw
 
 
半年後、ケン兄と僕はリーダーに昇格した。
 
おもんないと仕事が出来ないは多分、比例するww
 
今まで、普通じゃない環境で育ってきた僕は
 
お堅い会社に入って今更、学んだ鉄則だ!
 
 

堂山物語 第121話

まあまあ楽しい西成初夜を満喫した僕は、二度ココは泊まらんと決めチェックアウトした。 

 
 
2日目の夜は、1900円のドヤを選択する。
 
 
値段に比例して、まず部屋の鍵が良くあるプラスチックの透明で長四角い棒状のモノがついてる鍵で安心感が違う。
 
部屋の中もスライドの鍵がついてて頑丈そうだ。
 
 
これなら、マサやんにも破れそうにない。
 
そもそも、この宿泊金額は、マサやんに出せないだろうなって思うので、マサやんがいない安心感がハンパない。
 
 
この七日間、昼間は、もっぱらパチンコをしていた。
 
 
モンスター攻略には西成から出て、ダイイチか富士会館まで遠征した。(道一本渡るだけど、日本へ帰ってきた気分がした)
 
 
一日だけ経験の為に三角公園横のパチ屋でも打ってみた。
 
 
ゾンビ達が
 
ギンパラの玉が出ない!とヘソの賞球がない事を延々と説明を受けていたり
 
玉ちゃんファイトの足がべっこし開いてるけどヘソのポッケが5回に1回くらいしか開かないとか、我が国の雰囲気で無い事がそこら中で発生していて、
 
こんな店で働きたくねーなーって思っていた。
 
 
宿題の飛田にも行ってみた。
 
 
僕の飛田の遊び方論は、飛田嬢に失礼な言い方だが
 
可愛い子のオマンマ ンを借りてオナ ニーをする様なもんだと思ってる。
 
 
 
よく飛田に関する情報で、好みを見つけらた即入らないと、売れてしまい、
 
何周も回らないとダメになって結局、決めれなくなるという解説をよく目にする。
 
 
僕もこの意見には、賛同するけど少しプラスアルファがある。
 
 
まず、最初の1週目で好みがいなかったら撤退する勇気(コレ大事)
 
この鉄則を踏まえて
 
1週目で何としてでもイイ女を見つけようと思って歩く。
 
 
そう遊びにも自分でルールを決めないとダメだ。
 
 
コイツだ!
 
 
と思ったら即、上がらないで、
 
 
そこから最短の1週だけ見て回る。
 
 
この時に、さっきココロに決めた子よりも
 
ブサイクばっかりじゃん!と思いながら見て回り
 
あの店で待ってる自分の彼女が世界一だみないな感じで
妄想を膨らませて気持ちを高め、さっきの子に入ると気持ちよく遊べるような気がする。
 
 
もし売れてたら、おばちゃんに聞いて、さっき座ってた子って言えばイイだけだし。
 
 
こうして2度とやる事のない女の子との短時間勝負を自分なりに工夫して遊んでいた。
 
 
そんなこんなで超ダメ人間七日間最終日にナガイワさんと予約していた
 
飛田の端っこの鯛よし百番で報告会をする。
 
 
この鯛よし百番は遊郭時代の建物が現存している料亭?らしいが
 
それだけで料理の味は白木屋くらい。
 
 
ナガイワさんが、百番の娘が、やしきたかじんさんのマネージャーの嫁で家族に反対されてハワイで逃げるように結婚して百番からは、おばあちゃんしか参列しなかったと言う本当かどうかわからない豆知識をこの時に教えてくてたのをよく覚えている。
 
 
僕は、初日のマサやんとの遭遇や三角公園のひとり鍋の店が美味かったなど報告し
 
 
ナガイワさんは、教祖様らしく人生論をアツく語ってくれた。
 
 
西成のゾンビ達も、ここの飛田の女達も、おばちゃん達も、ちゃんと生きている。
 
 
色んな過去や闇とか抱えてるかも、しれんけど、この街に住んでみたら、そんな事どーでもイイやん。
 
オレらは、たまたま同時期に裏切られたような感じでプラプラしてるけど、失敗したらココに戻ってきたらイイやん。
 
 
そう思ったら何もこわくないし這い上がるだけやろ。
 
 
みんな失敗して強くなれんねから、ココの住人達はオレらより強いで!きっと!
 
 
教祖の演説は僕のココロにストンと落ちるもんがあった。
 
 
そうだな、自分だけが被害者と思ってたら何も始まらん。
 
 
また一から這い上がってやるわよ!
 
 
こうして、僕たち二人はオモテ社会で、頑張って行こうと百番の裏にあったヤクザの事務所の横のお地蔵さんに誓ったのを忘れない
 

堂山物語 第120話

日本の中にある、ほぼ外国で、1人暮らしをする事になった僕は、とりあえず今日の宿を探した。

 
宿は、無限にあるので人生何事も経験だと、思い初日は一泊950円のところを見つけ挑戦してみた。
 
この時は、玄関入って泊まりたい事をつげるも、名字だけノートに書いたら、鍵を渡された。
 
黒いヘアゴムに白の丸札に鍵が付いている。
 
よく昭和な銭湯の靴箱で見る鍵がここでは、部屋の鍵だ。
 
 
 
全部泊まってないんで、一概に言えないが西成のドヤは、基本ひと部屋3畳。
 
渡された鍵の鍵部分は、ドラクエの様な鍵で不安になる。
 
大丈夫か!?
 
 
親切にも14型テレビが置いてあった。(無料)
 
 
部屋には、これのみ。
 
 
トイレ?
 
 
共同です!勿論!無料!
 
 
洗面所?
 
 
勿論!共同ですよ!無料!
 
 
安心して下さい。トイレと洗面所は、各階に配置されてますから!
 
 
お風呂?
 
一階に大浴場がありますよ!無料!
 
湯船に3人くらいしか入れない、洗う所も2基しかない大浴場が!
 
 
 
とりあえず、歯ブラシとかタオルとか晩ごはんをコンビニに買いに行った!
 
 
そうです!コンビニあるんですよ!便利な世の中です!パラダイスですよ!
 
 
 
新今宮駅近くのファミマでお弁当とお茶買って、5階の部屋に戻る。
 
エレベーターもあります!無料!
 
 
大浴場とやらに行ってみよう!
 
なんとシャンプーとボディーソープまで完備されている。
 
本当にパラダイスだ!
 
アタマを洗ってみようとシャンプーを使ってみた!
 
どこまでプッシュしても水と遜色ないくらいに希釈されているw
 
ボディソープに至っては、もはや色がついてる水だ。
 
湯船のお湯は、きっとバスクリン的なモノじゃないであろう
 
ほんのり色がついているw
 
 
パラダイスだ(iДi)
 
 
さぁ、お風呂も入って、この時、4ちゃんで
 
たかじんONEMANの涙の料理
 
僕がハンバーガーを食べないわけを見て泣きそうになり
 
さぁ!寝るか!
 
 
僕は、どこでも寝れる方なんで、西成生活初日の疲れもあり
 
いつの間にか、眠ってしまっていたら、
 
 
ドーン!ドーン!ドーン!と
 
部屋のドラクエの鍵で開けた木のドアが鳴っている!
 
ドーン!ドーン!ドーン!
 
しかも普通はドアの鍵に加えてスライドする鍵もついてるのが普通だが
 
ここの宿は超昭和w
 
小さい輪っかに、もう一方から先にくの字で引っ掛ける細っそい鍵w
 
 
ドーン!ドーン!ドーン!
 
 
明らかにドアの向こうで誰かが攻撃している!
 
 
僕は飛び起きて必至にドアが蹴破れないように全身で押さえた!
 
 
1分くらい攻撃が続くと、その衝撃波は、どうも隣の部屋に移ったようで恐る恐るドアを開けて隙間から覗いてみると
 
「まっさっやん!でーーーーす!」
 
と酔っ払っているのかオッサンが各部屋に順番に頭突きをしていた!
 
「まっさっやん!でーーーーす!」
 
ドーン!ドーン!ドーン!
 
「まっさっやん!でーーーーす!」
 
ドーン!ドーン!ドーン!
 
 
「じゃぁかぁしいんじゃぁ!ぼけんだらぁ!」
 
とまさやんは隣の隣くらいのおっさんにボッコボッコにされてしまった!
 
こうして僕は地球の平和を確認でき床についた。
 
 
次の朝、洗面所でハミガキしていたら
 
顔面ボコボコのおっさんが
 
「おはようございます!まさやんです!」
 
と礼儀正しく挨拶してきた。
 
僕は知ってるよ!と思いながら無視してチェックアウトの用意をする。
 
西成生活の初夜は、なかなかドキドキしたものだw
 

えっと ※追記あり ※さらに追記

堂山物語 第119話

西成に着いた僕とナガイワさんは、イキナリ立ち飲み屋に入った。

 

萩ノ茶屋商店街で賑わっていた、もりたという店だった。

 

 

時間は10時頃だったので、立ち飲みスタイルから丸椅子スタイルになっていた。

 

僕もナガイワさんも実は酒は強くないし、そんなに好きじゃない。

 

けど朝の10時から酒を飲むなんて、した事がなく

 

周りを見れば、もうグダグダだし

 

このもりたという店は魚料理がやたら美味かった記憶もあるし

 

何よりも強烈な自由感というか非現実感というか虚無感というか脱力感が二人を襲う。

 

 

 

「もー別になんも、せんでもえーかー」

 

 

 

この街のおっちゃん達は労働者?が多いが基本は日雇いが多いらしい。

 

けど今日の雨露を凌ごうと思えば1000円あれば十分で、メシも1000円あれば

 

まぁまぁ美味しいモンにありつける。

 

 

当時のパチンコで1日に2000円勝つなんで余裕なような気がして

 

ましてダイイチを始めとする新世界のパチ屋には、未だモンスターハウスが

 

残っており、僕は体感器も持って合宿に入っていたので

 

下手に4~5万勝ってしまうと、それだけで1ヶ月暮らせてしまう。

 

 

 

なーんもせんで良い。

 

なーんも考えんでも良い。

 

あれこれ指図する事もされる事もない。

 

別に服もいらんし、

 

女が欲しけりゃ歩いて飛田に行けば

 

その日、自分が一番ええ女と思った子とやれる。

 

 

 

と今、自分たちが置かれた状況分析をしていけば、悟りをひらいたのか

 

ナガイワさんがいきなり言った。

 

 

 

ナガイワ 「おい!ココはひょっとして地球の最期のパラダイスでないのかい?」

 

 

僕も教祖の教義に感銘を受けてしまい

 

 

堂山 「はい!パラダイスです!何も望む事もないので、あります!しかし、このままでは腐ってしまいます!はい!」

 

 

僕みたいな人間は真剣な話をする時、照れ隠しでショートコント風にやってしまうけど、議論自体は真っ当な事が多い。

 

 

ナガイワさんも僕と同じ感性の人間で照れ屋なんで教祖風にコントをる。

 

 

ナガイワさんが教義を続ける。

 

 

ナガイワ 「よし、我々は、このままではホンマにダメなってまうから、一週間って区切りを付けけバラバラで合宿を張ることにします!」 

 

 

堂山 「ブラジャー!」 (了解→ラジャーの意)

 

 

ナガイワ 「しかし堂山君!必ず2回は飛田で女を抱くこと!いいかね!?」

 

 

堂山 「パンティー!」 (さっきのブラジャーから派生した了解→ラジャーの意)

 

 

 

この時、決めた事は

 

一、 七日間別々で行動すること。

 

二、 いわゆる飛田を含む西成から出ないこと。(パチンコで新世界はOK)

 

三、 最低2回は飛田に行くこと。

 

四、 最終日に鯛よしで報告会をすること。

 

 

こうする事で、僕らは社会の最底辺から、もう一回這い上がる為に七日間、西成で生活をはじめた。

 

堂山物語 第118話

西成

 

にしなり

 

NISHINARI?

 

 

日本中の人は勿論、大阪に住んでいても

 

怖いとか汚いとかのイメージがあるかもしれない。

 

 

おまけに通天閣がある新世界も西成と思われてるかもしれない。

 

ちなみに新世界は浪速区なので西成では無い。

 

 

西成区と言っても広いので

 

ミス花子の好っきやねんという歌の歌詞にある

 

♪原宿、六本木よりも天下茶屋の方がナウイ!

 

のナウイとされる天下茶屋も西成区。

 

 

その中でもディープな西成は一部分。

 

 

地名は、よく知らないが、あべのマルシェの最後(飛田の端っこ)から南海電車と

 

阪大病院の前の道(ダイイチJ&Zwの前の道)から

 

焼肉一斗(わたし豚だけど焼肉好きのシュール看板の店)の前の道

 

で囲まれた飛田新地を含む地域。

 

 

僕はココをいわゆる西成って言うんじゃないかなって思ってる。

 

 

 

その中でもデンジャラスゾーンは飛田新地じゃない地区

 

特にチンチン電車と南海電車で挟まれたトコらへんがベストオブニシナリ

 

 

一般社会から逃げ出した兄貴分のナガイワさんと僕が

 

合宿を張ったのは、その三角公園を中心とするデンジャラス地区。

 

ニュースでよく言うあいりん地区。昔の呼び名で言えば釜ヶ崎。

 

Googleマップで見れば、限られた一部だ。

 

 

僕がこの地区を表現するのに我ながら的確だと思っているのが

 

「リアルバイオハザード」

 

ゾンビの様に見た目ホームレスのような労働者(おっちゃん達)が

 

街中に歩いていたり、座っていたり、寝ていたりw

 

 

ただホームレスでない人が多いのはドヤがあるからだ。

 

ドヤとは宿(やど)の逆さ言葉らしく

 

上は1泊2000円から下は1泊650円くらいも多分あるw

 

 

少し日銭があれば、この街では雨露をしのげ暮らせるから

 

日本中から行き場を失った事情ありの人間が暮らしている。

 

 

この街では過去も問わないし身なりも問わないので外見とかどーでも良いから

 

9割のおっちゃんは黒くて臭いwww(多分、お風呂はたまにしか入らん)

 

 

今でこそ少なくなったが、ヤクザが多いし、事務所も多い。

 

覚せい剤の売人も多かったし、犬も多いし臭いwww

 

 

僕たちは、こんな街で何をしようとしたのか?

 

それは

 

「ホンマに何もかも失ったら、ココに来たらええやん」

 

「だから、前向きに人生を思いっきり生きていこう」

 

「最低の社会を味わったら、あとはもう這い上がるだけだ」

 

 

落ちるトコまで、とことん落ちてやろーって事だw

 

 

たしか二月の寒い季節だった。

 

 

日本社会の底の合宿が始まった。

堂山物語 第117話

当時、付き合っていたケイコとゆくゆく結婚するつもりで

 

パチ屋を辞めた僕は、ケイコとも十三大橋の上で別れて

 

意味もなく無職の身になってしまう。

 

 

やる事がない僕は、とある中華の店でバイトする事になった。

 

当時、大阪は元より東京でもイケイケで通っていた飲食の会社で

 

梅田の店舗でバイトで入る事が出来た。

 

 

ナガイワさんも十三でオープンさせたセクキャバがバカ当たりし

 

梅田の阪急東通り商店街にも第2号店をオープンさせた。

 

 

時を同じくして、二人とも梅田で働く事になったのだが

 

二人とも同時期に人生につまずいてしまう事になる。

 

 

 

僕が入った会社は「気合、根性、仲間、アツく!」みたいな感じの飲食チェーンだった。

 

朝から晩まで働く事は当たり前だ休みも無いくらいに働くのが

 

当たり前で「俺たちは仲間だ!」みたいな朝礼が毎日あった。

 

結論から言ってしまえば、

 

僕はロッカーのカバンから35万くらい現金を

 

盗られて辞めた。

 

 

そんな現金を持っていた方が悪い。

 

休みなしで2ヶ月分くらいの

 

手渡しの給料をカバンに突っ込んでたままだったのが

 

失敗だった。

 

 

ただ、

 

僕は同じ金を奪う犯罪でも恐喝や詐欺、強盗の方が

 

僕は人間としてランクが上だと思っている。

 

恐喝、詐欺、強盗は人と向き合って金を奪う犯罪に対して

 

何も言わずコッソリ金をパクる窃盗は最低ランクの人間だ。

 

 

金を盗られた事もハラたつが普段、仲間!とか言ってる連中の中に

 

そんな最低ランクがいる事、自体が僕には耐えれなかった。

 

 

僕は店長に、

 

堂山 「この店で35万盗られたので辞めますと辞めさせてくれないなら、店の全員恐喝でも強盗でもして35万取り返します!この店に犯人がいる事は絶対ですから!」

 

 

堂山 「やってられるかぁ!」

 

 

飛ぶ鳥あとを思いっきり濁すな感じで中華のバイトを辞めた。

 

 

 

あんな社会の底辺のような堂山町のウリ専バーのロッカーでも

 

そんな事なかったのに、オモテ社会って怖いなって感じた。

 

「仲間だ!」と口走るのは、お前ら裏切るなよ?の裏返しじゃないのか?

 

って元来ひねくれ者の僕は思ってる。

 

 

 

ナガイワ 「ウチくるか?」

 

 

兄貴分のナガイワさんが、一緒に働かないか?と言ってくれ

 

僕も、ほぼ心を決めてた時に事件は起こる。

 

 

ガサだ!

 

 

ナガイワさんが十三と梅田とオープンさせた梅田の店にガサが入った。

 

 

容疑は「風適法違反(善良な風俗環境を乱している)」

 

 

内容は店名だった。

 

 

実名は避けるがチュパローションみたいな店名と思ってもらって良いと思う。

 

この「チュパ」と「ローション」が風俗環境を乱していると

 

天下の曽根崎署に立ち入られたのだった。

 

※実際には チュパ ローション よりももっと柔らかい単語

 

勿論、十三管轄の淀川署はオールOKだったのに・・・

 

 

こうしてナガイワさんは責任を取らされ

 

破格の4階級降格の平まで落ちて会社を去る。

 

 

ナガイワ 「やってられるかぁ!」

 

 

同じセリフを吐いて無職になったダメな2人の兄弟分は

 

行くあても無く、なまじ金は持ってるのでダラダラとパチンコをしたりして過ごしていたが

 

このままやったらアカンなぁと思い

 

これからの人生で失敗した時の為にも

 

とある合宿生活を2人で敢行する事になる。

 

 

合宿場所は、大阪市西成区ありりん地区。

 

 

僕らは日本の底辺を覗きみる合宿生活。

 

 

僕らの七日間釜ヶ崎戦争が始まった。

 

堂山物語 第116話

DVD盗難犯のカウンター嬢りさちゃんを

 

十三の風俗店で撃墜に成功した僕は、

 

その時に再会し、

 

風俗店の偉いさんになっていたナガイワ兄さんと交流を深める事になった。

 

 

 

ナガイワさんは京都の呉服屋かなんかの長男で

 

関大を出て、何故か今は風俗店の課長をしているキャリア?組だった。

 

 

 

ナガイワさんが十三で外を歩く時に必ず来ていた服が

 

ペプシコーラのベンディングジャンパーだった。

 

 

 

おかげでナガイワさんの名前を覚えてなくても

 

「ペプシの兄ちゃん」で名前と顔を売っており、他の風俗店に

 

スカウト目的で入っても、他店の嬢からもペプシのお兄さんが来たと

 

話題になりスカウトはバンバン成功していた、数々の風俗で

 

出入り禁止となっている強者だった。

 

 

 

ナガイワさんは、

 

派手な高価なスーツをイキって着るよりも

 

こんな服で町をうろつくと名前はともかく

 

顔を覚えてもらえてアダ名がついて可愛がってもらえる。

 

こんなん恥ずかしい服、着れるかーって変にプライドがある奴には無理やわなー

 

と言っていた。

 

 

 

実際にナガイワさんと十三のミスタードーナツに行ったときですら

 

知らないおばちゃんが「ちょっと!ペプシの兄ちゃん!」と

 

声を掛けて来たくらいだから大したモンだと尊敬していた。

 

ちなみに後年、このペプシジャンパーは僕が譲り受け宝物にしていた。

 

 

 

僕は生まれもってなのか、堂山町の経験なのか、ヤクザのお供をしていたからなのか

 

ナガイワさんのような、変な人の舎弟分みたいなポジションにつく事が多い。

 

 

 

間違いなく京都の呉服屋のボンボンのクセに

 

ペプシ着て、町のおばちゃんにも挨拶して、挨拶されて、偉そうにしない

 

そんな人柄が大好きだった。(念のため、ホモ的な好きでは無いw)

 

 

 

そんなナガイワさんも僕を舎弟のように使う?事がある。

 

ホンマかどうか知らないが、名古屋でひっそり流行っていた

 

セクキャバなる業態を最初に大阪に持ち込んでオープンさせたのが

 

ナガイワさんだった。

 

 

 

本店「B」の課長から新店舗「P」の店長としてセクキャバを立ち上げようと準備期間に

 

 

 

ナガイワ 「堂山君。あんな、店の音楽考えてくれへん?パチンコ屋さんて煽る音楽掛けてるやんかー」

 

と新店舗の音楽構成を部外者の僕に頼み込んできた。

 

 

僕は元来、よく言えば効率派、悪く言えば横着者なので

 

自分の店で掛ける音楽を考えようとなった時に

 

カウンター社員の酒井さんに

 

 

堂山 「酒井さん。店の音楽を朝からノリノリな感じでタイムテーブル作りません?」

 

酒井さん 「いーねー。みんなすぐ有線に逃げるから、良いの作ろう!」

 

 

と言いながら僕はナガイワさんのセクキャバ新店で流す事をメインで提案し

 

開店からお昼までは E-Rotic の曲でアハーン、ウフーンと喘ぎ声が入る曲を

 

選曲し酒井さんが採用してくれたので

 

こうして一時期、僕の働いていたパチ屋は

 

十三のセクキャバと全く同じ曲を流していた事を誰も知らない。

 

 

そんなこんなで僕はパチ屋稼業を満喫していたが

 

当時、九州に転勤になりそうな雰囲気を感じて退職した。

 

 

 

当時、付き合っていた子(ケイコ)の妹が障害者で結婚して

 

その妹の面倒も一緒に見ていこうと思って退職した。

 

 

しかし、その妹も役所の介助者かなんかにレイプされている事が発覚し

 

母子家庭だった3人は、大阪から一刻も離れることを強く希望し

 

母親の田舎の岩手へ戻るというので、僕とケイコは別れた。

 

 

二人で最後やからドラマみたいな別れ方をしようと言い

 

十三大橋の真ん中でキスをして

 

 

ケイコは梅田方面

 

僕は十三方面へと歩いて別れていった。

 

 

十三側でペプシを着た、ナガイワさんが待っててくれて

 

何も言わずに大富士のビフカツを食わしてくれた事は

 

今でも忘れず僕は感謝している。