夏のとても暑い日、配達用のトラックには、エアコンが付いていない、窓を開けていても、車が止まれば、汗が吹き出る。
今は、田舎の細道をひたすら走ってきた、配達は、この一軒で最後、昼を少し回ったあたり、時間はとっても余裕がある。
積荷は、150Lの冷蔵庫、2人なので、楽勝のはずだった。
地図が示す住所は、ここのはず、でも家が無い?
近所の家、(このあたりはチョー田舎なので、近所といっても、隣の家は、数100メートルは離れている、でも田舎なので、数キロ先の家まで知らない人は居ないはず。)聞いても、そんな人は、いないと言う、又別の家を訪ねても、知らないと言う。
店へ連絡をし、客宅のヒントをもらった、耳を疑う内容であったが、それは存在した、言われた目印の所を曲がり、車が一台やっと走れる広さの道を数百メートル進むと、ただ木材を集めて、作られた巨大な塀?門?バリケート?この先に進めるの?
すると、目を疑うばかりの格好をした、原住民?が縄を引きその門を開いた。
おそらくエンジン音に気づき、門を開いたのであろう。
門をくぐると、そこには、1件の家?が、瓦屋根の平屋、そこまでは普通の農家の家、特質なのは、屋根の大きな穴?まぎれもなく穴、隕石に貫かれたような穴は、建物の6割は穴。
あまりのすごさに、たずねることもできずにいたら、なんか落ちてきて、穴開いちまったと家主。
家の中に通されると、150Lくらいの冷蔵庫が土間の中心に、ブロックが置かれ、その上に置かれていた。
その冷蔵庫は、とても汚いが、間違いなく新しい、つい最近まで売っていたモデルだ。
家主は、その冷蔵庫が、引取り品と言う、あまりの汚さに恐る恐る手を掛けようとしたその時、「気をつけて!」家主に大声を掛けられ、あわてて手を離した。
「水が出るから気をつけて」と家主、覚悟のことであった、冷蔵庫の引き取り品は、だいたい水が出るものだ、ましてやここは土間、汚れは気にならないだろう。
「大丈夫ですよ、慣れてますから」言った次の瞬間、泣きそうになった。
大丈夫と思い横にした冷蔵庫から常識をはるかに上回る水、どうしてこんなに入っているんだと思えるほどの水、浴びてしまった。
その水は、生ごみと、雑草と、ヘドロを混ぜたような臭いを放ち、しかも生き物が沢山入っている、動いているピチャピチャと、とにかくものすごくへこむのに十分なパワーが有った。
その後は、覚えていない、悪夢のようなその出来事は、きっと夢であったのであろう・・・
そして、時は経ち、夏・秋・冬・春・そして次の夏。
過去に見たような住所に、配達に来ていた、しかも150Lの冷蔵庫、まさかそこは無いだろう、と思い隣近所に行ってしまった。
まるで、デジャブのように、知らない、違うと言われてしまった。
わかってはいたが、やっぱりあそこ?
あい変らずの、細い道を行くとやっぱりの、バリケートと縄を引くオヤジ、夢じゃなかったのと、疑いながら、屋根のでかい穴を確認、見てると、「なんか落ちてきたんだよ」オヤジ談、知ってる!
玄関を開けると有った俺が去年置いた冷蔵庫、前は、酷い事が有り、よく中から穴を見れなかったので覗いてみた、いい天気だった。「星も綺麗なんだぜ」オヤジ談、だろうね。
雨の日はとは聞けなかった。
やっぱり俺が前に納めた冷蔵庫は、引取り品だった。
ゆっくり・ゆっくり冷蔵庫のドアを開けた、そこは、宇宙が広がっていた・・・
その日もとても暑く、仕事後のコーラはサイコーであった。
それは、一台のラジカセから始まった。
そのラジカセは、一見おとなしそうな女の子に持ち込まれた。
彼女は、このラジカセを直してほしいと言う。
見ると、壊れているところが気づかない、聞いてみると、彼女はテープの取り出しボタンを指差した。
押してみると何も起こらない、つまりテープの取り出しボタンでは、テープのふたが開かないのだ、しかし、手で開けることは、可能であり、テープを入れてあれば、取り出しボタンはちゃんと機能し使える、果たしてこれは壊れているのかも、判断に困る。
おそらく使っている彼女が言うので、壊れているのであろう、物は見た目比較的新しいものに見え、非常にきれいな状態であった、特に修理でお預かりして問題ない無いだろう、そう判断し、お預かりすることになった。
一つ気になったのは、今まで見たことの無い機種であった事。
又彼女は、最後に必ず直してください一言言って帰った。
数日後、ラジカセがメーカーから戻り、彼女がラジカセを受け取りに来た。
無事受け渡しを終えたかに思えたその時、彼女があわてた様子で戻ってきた、「直っていないんですけど」とラジカセを渡された、見ると預かった時と同じ状態何も直っていない。
修理明細を確認。
すると、な・な・なんとラジカセは、20年前の製造で部品の入手が不可能、修理事態が出来ないと、メーカーから戻ってきたのであった。
気づかなかったとは、言え確認すべき事、素直に謝罪し興奮気味の彼女を、操作は問題なく出来ることを伝え、なだめることで何とか納得していただき、返っていただく事になった。
申し訳ない気持ちが残ったが、何とか帰っていただき、自分も安心していた。
数分後、何とも言えないわめき声で、女性が怒鳴り込んできた、よく見るとラジカセの彼女ではないか!
一直線にレジカウンターへ「このうそつき~」と怒鳴りながら、カウンター越しに女性店員のむなぐらをつかみ、一撃ストレートパンチ、崩れるように座り込む女性店員に、マウントポジションをとる彼女、数発顔面を殴った、あわてて彼女の両腕を羽交い絞めにし取り押さえた。
なおも彼女は騒ぎ立てる、しかし日本語ではない、英語らしきもので叫んでいる、分かったのは、ヘルプミーとポリスメン、後、キャー痴漢! 最後のキャー痴漢で動揺してしまい彼女を離してしまった。
すると彼女は走り出しビデオテープの山にダイブ、手に取るビデをテープのパックをめちゃくちゃに投げつけている、商品がめちゃめちゃにされてゆくのを見て、再度取り押さえるが止まらず、その一つが私の顔面を強打、鮮血が走る。
店内が騒然となる中、パトカーのサイレンが響き、玄関に止まる、駆けつけた警官が取り押さえるものの、更にそれを振り切り、更に暴れまわる、更に4人の警官が応援に入りやっと取り押さえられ、外に連れ出された。
残ったのは、怪我をした数人の店員と商品の残骸が、カウンター前にあふれていた。
その後、彼女の両親が、謝罪に現れ一件は終わったかに見えた。
数日後、開店の準備が整い、玄関を開けると、「おはようございまーす」大きな声とともにラジカセの彼女が現れた、みんな動揺を隠せないで居ると、一言「ここに荷物を置かせてください」とサービスカウンターに大きな巾着を置き、雑巾と手袋を取り出した。
なぜか、店内の整理整頓及び拭き掃除をしている、しかし動揺し誰も声を掛けられないで居る。
2時間後、「お昼をいただきます」と言い、サービスカウンターに座ると、巾着から飲み物とパンを取り出し、食事を取っている。
更に1時間後、午前中と同じように、作業を始めた、そのまま彼女は居続け、とうとう弊店の蛍の光、すると彼女は、「お疲れ様でした」と帰っていった。
それを、毎日、約一ヶ月、まさしく雨の日も風の日も、毎日やって来た。
はっきり言って、よっぽど社員より働く、でもあなたは何しているの?恐怖で声を掛けられないで毎日が過ぎてゆく。
一月を過ぎたころ彼女が言った一言は、「すいませんお給料が振り込まれないんですけど」私は、あ然としたが「あなたを雇った覚えが無いのですが」と返したら彼女は、帰っていった。
もう少しで、夏休みシーズンに入るころでした。
