私が御幼少の頃に手掛けた鉄人プラモは、焦げ茶色・紺色 のものと 金色のリモコン鉄人 の 3 種類でした。この中でもリモコン鉄人はヤフオクなどでは高値で取引されています。私の知る限りでは 組立済み・外箱・組立説明図・全パーツが揃っているもので、最終落札価格は ¥189,000.- という高額でした。そんな大金をプラモに払えませんので、鼻カケ  フランケン鉄人 を 自称 敷島博士 が修復し組み立てました。

 

 

 

完成した本体

 

 

【 現状把握 】

 

1. プラスチック素材の状態

 

 ヤフオクで格安で入手したリモコン鉄人は、約 60 年も前のプラモデルですが、直射日光に長期間さらされていたりしなければ、プラスチックが劣化して脆くなるというような事はありません。むしろ錆が発生する金属よりも劣化しないように思います。

 

2. リモコン鉄人の特徴を示すパーツの確認

 

 ① 前部ボディ → 胸の窓がない事 赤丸

 ② 後部ボディ → 背蓋なしでロケット直付け 青丸、お尻に小さなコード用の穴 黄色丸         

         前後ボディのネジ止め構造 緑丸

 ③ 両腕の手甲    紫丸

 ④ リモコン部の正太郎  なし

 

 前部 後部ボディ・両腕・電池蓋 1 ヶ・足部の電池蓋止め金具 1ヶ・止め金具固定プラパーツ 1ヶ・ギヤボックス・目玉用電球 2 ヶ・電池受け金具 3 ヶ・マブチ 15 モーター は当時物に間違いありませんでした。

 

入手した当初の状態 電池BOXは動作テストのためのもの

 

3. 鼻欠け

 

 鼻が欠けていました。前に倒れると真っ先に鼻が当たるので、硬い床面に勢いよく倒してしまったのでしょう。

 

 

鼻欠けの状態

 

 

4. 不足パーツ

 

 ① ロケットパーツ 4ヶ

 ② 足部の電池蓋 3ヶ

 ③ 足部の電池蓋止め金具 7ヶ

 ④ 止め金具固定プラパーツ 7ヶ

 ⑤ 電池受け金具 1ヶ

 ⑥ 歩行金具 2 本

 ⑦ ネジ 3 ヶ

 ⑧ トサカ プラパーツ

 

 下の写真は不足パーツを復刻版のパーツ( 復刻版のギヤボックスが欲しくて手に入れたボロボロ鉄人 )を使って代替してみた写真です。

 

復刻版パーツを代替え使用

 

 

【 修理・塗装・リモコンの接続 】

 

1. 修理・修復

 

 鼻欠けの修理は、欠けた部分が段違い状になっていたので、少し基部の方でカットしてその補修部品として復刻版の鼻を長めにカットし、慎重にヤスリで削って合わせ込み、二液性エポキシ接着剤を使って接着しました。

 

 

 

 

 マブチ 15 モーター はリード線が破断しかけていたので、ハンダ付けし直したところ動かなくなってしまいました。すぐに過去の経験から原因が推測されました。古いモーターですので ブラシ( 青丸 )と コミテーター = 整流子( 黄色丸 )に付着した グリス や 油汚れ のようなものが、ハンダ付けによる熱のため固着してしまい、電通不良が発生したものと考えられました。

 

マブチ 15 モーター のツメ( 赤丸 )を起こして分解

 

ブラシに付着した黒い汚れ

 

コミテーター = 整流子( 黄色丸 )に付着した汚れ

 

 そこで分解してみたところ、 ブラシ と コミテーター は真っ黒なものが硬く固着していました。接点復活剤を綿棒に付けて除去して再組立てをし、動作テストをすると元気に回りました。

 

 電池蓋は他の当時物とも復刻版とも異なり角ばっており、復刻版を使用しましたが加工が必要でした。また、歩行金具も長楕円穴を少々削る必要がありました。

 

 

2. 塗装・リモコンの接続・完成

 

 塗装の前に目玉部分に塗料がかからないように、コンテ・木炭 等のデッサン用の ねりゴム( 消しゴム )でマスキングをしてから塗装します。

 

 

 

 サーフェーサーはマホガニー色のものを吹きました。仕上げのゴールドは本来の純正色より明るいものにしました。

 

 

 リモコンはラジコン化したため使用されなかった戦車用の 2 ch リモコンを利用し、前進・後進 と 目玉の電球の ON-OFF ができるようにしました。ラジコンのプロポを模したようなリモコンですが、真っ黒なだけで淋しいカラーリングなので、操作レバーとその周辺を塗装しました。マスキングテープをサークルカッターでカットしてマスキングしました。

 

 

 

 やっと完成しました。電池は本来は足の電池ボックスに単二が入るのですが、リモコンに単三が入っています。安定歩行のために、重りとして電池を入れる必要があるかとも思っていましたが、その必要はなく安定して歩行できました。