おそろし 三島屋変調百物語事始
宮部みゆき 角川書店 1,700円
百物語である。
百物語とは、怖い話、不思議な話のことである。今でいえばミステリーかな。
続編、シリーズ物にする意図があると思われる。
※読売新聞にすでに連載されていましたね。
宮部みゆきの時代小説は好きである。
とても読みやすい文章でそれでいてひきつけられる魅力がある。
しかし、最初にタイトルを見たときに
「百物語」とあることにまず嫌悪感を抱いた。
百物語は、やっぱり京極夏彦であろう。
マネ感が否めない。そんなタイトルに入れなくても宮部作品だったら「売れる」はずである。
最初の印象が悪かったせいであろうか。全体として面白い話であったのだが、粗さが目立った。
宮部みゆきってこの程度だっけ??って。
P223魔鏡で出てくる
「帯びに短し、たすきに長し」をもじった例えは、いらなかった。蛇足で、余計な文章である。
作者は、着物を自分自身で着付けることないと思われる。
帯は、小さく結んだり、大きく結んだりすることはない。
着物には着付ける上で決まりがある。それは、わびさびにもつながる精神なのだが、1番美しく無駄のない所作が計算されつくしている上に成り立っているものなのだ。
小さく、大きく結ぶというのは、現代風の着物アレンジ感覚だ。
ただ、ここでの描写は、あくまで江戸時代の設定なのでふさわしくない文章であった。
また、作者は、花や木に深い興味はないようだ。
そこまで詳しい描写が宮部作品には必要ないだろうが、読んでいて人物は、はっきりと空想できるのだが情景は、もやもやしてハッキリと見えてこない。そこにこの本に深く入り込めないわけがあるのかもしれない。
登場する花や木では、桜、梅、ツバキ サザンカ つつじのみ。
庭に植えられた木は、「庭木」と「生垣」とひとくくりだし、木の表現が乏しい・・・
話の粗探しのようになってしまったが、
結局、最後登場人物勢ぞろいの中、良助だけが出てこず、成仏できなかったのではないだろうか。
この点が、気になった。