天野貴元『オール・イン ~実録・奨励会三段リーグ』を読んだ。
プロ棋士を目指す若者たちが人生をかけた戦いを繰り広げる「奨励会」。羽生善治を輩出した名門・八王子将棋クラブ出身で、小学生名人戦で準優勝した著者は、16歳で三段に昇段したものの、ついにプロ=四段になれず、26歳で年齢制限により退会を余儀なくされた。失意のうちに漂流していたその1年後、今度は舌がんの診断を受け、完全に将棋の夢が断たれてしまう。15年以上にわたる苦悩の青春と、当事者が見た過酷な奨励会の世界を本人が赤裸々に振り返る。
小学生名人戦で準優勝するということは並大抵のことではないらしく、優秀な成績を収めた人の多くの人がプロ棋士になっているらしい。
それでも著者がプロになれなかったのは、著者自身の分析によれば「遊びすぎ」だという。
酒と煙草とギャンブルという遊びを若いうちに覚えてしまい、将棋をサボってしまったらしい。
この著作の出版後、2015年10月27日に亡くなっている。
死後、ザ・ノンフィクションでも取り上げられており、2016年4月3日に「生きて 〜天野貴元30歳〜」として放送された。私も見た。
ザ・ノンフィクションでは最後まで力を振り絞って将棋に向かっていた様子が描かれていたが、それはツイッターとかブログでも分かる。
最後の最後まで力を尽くした姿は美しいし、立派で、味わいのある人生だったのではないかと思う。
アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』の中に好きな言葉がある。
「人間は負けるように造られてはいない。殺されるかもしれないが、負けはしないんだ」。
この本を読んでこの言葉を思い出した。