歴史と視点―私の雑記帖―(新潮文庫) | 軍曹!時間だ!…

歴史と視点―私の雑記帖―(新潮文庫)

戦車の操向装置について調べていたら

司馬 遼太郎 著書の『歴史と視点―私の雑記帖―』

という本に行き当たった。

 

例の

「三式中戦車の装甲はヤスリで削れた」

「避難民をひきコロせと命ぜられた」

というアレだ

とりあえず熱帯雨林の金ドルで購入して読んだ

戦車に関するものは

・戦車・この憂鬱な乗り物

・戦車の壁の中で

に記述されている。

 

素直に感じたことを語っているにすぎず

ヤスリの件については削れたことは事実であり

それについては「当たり前」の感想しかない。

それを、「軍は三菱にふつうの鉄を使え(要約)」

と言ったのだろうという想像上の記述をしている。

「避難民をひきコロせと命ぜられた」件は

そのような命令が出たわけではなく

単なる司馬氏の疑問に窮した上級将校の

捨て台詞のようなものだった。

 

私としては中々面白い読み物だった

特にハンドルを転把(てんぱ)と言うのだと記述されているが

私も砲塔制御装置の俯仰ハンドルは

「高低転把(こうていてんぱ)」

旋回ハンドルは「旋回転把(せんかいてんぱ)」

と教えられたので疑問にも思わなかった。

旧軍呼称が残ってたんだなと懐かしかった。

 

読み方によっていろいろな解釈もできるが

私が感じたのは

 

<司馬遼太郎は戦車将校であったが

「若手の戦車素人」以外の何物でもない>

 

しかしながら帝国日本陸軍戦車を語るには

是非一読しておくべきだろう。

特に自衛官で戦車乗員である者、あった者は

思わずニヤッとするに違いない。

 

なお、同じ新潮文庫から15巻発売されている

『司馬遼太郎が考えたこと』の第6巻にも

同じエッセイが掲載されている。