陸自迷彩服の真実(月刊アーマーモデリングを見て思ふ) | 軍曹!時間だ!…

陸自迷彩服の真実(月刊アーマーモデリングを見て思ふ)

いまさら感もあるが

「月刊アーマーモデリング(2021年8月号)」

すでに、今月号(2021年9月号)が出ているかもしれないが、陸自特集の8月号を買い忘れていたのに気づき、慌てて南米熱帯雨林に頼んだものが今日届いた。

記事中の「ライド・オン・タンクス」という、フィギア作成のためのコーナーで気になったことがあった。

ひとつは、迷彩服と戦闘服に関する事項だ。

 

陸上自衛隊の被服(服装)には、個人に貸与される「個人被服」と部隊に貸与される「部隊被服」がある。また、装備品として「戦闘装着セット」がある。

 

個人被服は制服や作業服、半長靴のように隊員個人に貸与され、転属時にも隊員と一緒に移動する被服である。

部隊被服は部隊の特性により配属部隊(中隊)から必要により貸与される。戦車靴や戦車帽などがある。

装備品「戦闘装着セット」は「戦闘~」という名称が付く個人被服及び装着品になる。

戦闘装着セットと同等品の部隊被服は「弾帯2型」のように「~2型」と称するものが多い。

 

戦闘装着セット(1989年以降?)が採用されるまで、戦車乗員には貸与された個人被服であるOD色(おーでーしょく)の作業服(戦闘服と呼ばれていた時期もある)2着、半長靴2足に加え、配置中隊から戦車服兼整備服2着、戦車靴2足が貸与された(あくまで定数としての話)。

戦車服及び整備服は当初、米軍おさがりの物を使用していたが、作業服で代用するようになる。後に、迷彩服(現在通称、旧迷彩または1型迷彩)2着に変わる。

2着が定数なのだが、貧乏な我が国防軍である。私が新隊員の時は「お前のサイズはない(デカすぎ君)。1年待て」と言われた。2着揃ったのは数年後、陸曹になってからである。

ちなみに、部隊配置直後に駐屯地記念行事があり、戦車乗員として参加させられた。本番は迷彩服着用だったため、他中隊の隊員に貸与していた迷彩服を借り受け、名札、階級章を縫い直し着用した。もちろん、名札、階級章を元に戻しクリーニングして返却したのは言うまでもない。

さて、話がズレた。迷彩服は部隊で管理する物品である。戦車靴や戦車帽も同様だ。

1980年代末期に戦闘装着セットが採用された。

鉄帽や戦闘服が能力向上により高価になったため個人被服や部隊被服の予算では購入できないとして個人装備をセットとし装備品予算枠になったと聞く。

とは言え、結局のところ高価なので配備が遅々として進まない。そこで、部隊被服であった迷彩服と同様の生地を戦闘装着セットの戦闘服と同形状で同迷彩パターンとしたのが迷彩服2型である。厳密な「迷彩服2型」は試作に近いもので、ほとんどの隊員に貸与されたのは「迷彩服2型(改)」である。

 

戦闘服は難燃性生地と対IR(赤外線)偽装を施してあるが、迷彩服2型は通常の生地で対IR偽装がないため低価格に抑えられている。

また、戦闘服には一般用、装甲用、空挺用、航空用と形状の異なる種類があるが、迷彩服2型は「一般用の形状のみ」である。

 

上図が各被服をまとめたものだ。

各時期による組み合わせ

①70~80年代

「作業服」2着に「迷彩服」2着の計4着が定数

②90~2000年代

「作業服」2着に「戦闘服」又は「迷彩服2型」2着の計4着が定数

③2010~

「作業服、迷彩」2着に「戦闘服」又は「迷彩服2/3型」2着の計4着が定数

 

概ね上記のような括りになっている。

 

迷彩服は4型まで形式があるが、戦闘服は形状が開襟の2型仕様から3型仕様へ変わっても、名称は「戦闘服」のままである。

 

迷彩服3型から「同一迷彩なのに能力の異なるものは災害派遣を含む有事等の際に隊員の安全上好ましくない」という事で、全ての迷彩服は名称が異なるだけで戦闘服と同一の生地仕様(難燃及び対IR迷彩)に現在はなっている。

ただし、「戦闘服、装甲用」だけは、より難燃性が高く厚い生地を使用している。

 

迷彩服3型形状の新戦闘服のタグだが御覧のように「戦闘服,装甲用」の標記であり、2型や3型の型式はない。

 

迷彩服については以上の通りである。

 

もう一つはヘッドセットだ。

61式戦車以前で使用していたタイプが紹介してない。

と思って古い写真ひっくり返したら意外な事実が・・・・

私自身、その古いヘッドセットは装填手時代にしか使用しておらず、操縦手の時は新しいものを使用していた・・

てっきり、74式戦車の時に変わったと記憶していたのだが・・・

記憶って当てにならないな。

 

そうだ。現用の戦車帽(装甲車帽)は「繊維強化プラスチック製の帽体(略)防弾性は皆無に近い」と記述しているけど、帽体は「芳香族ポリアミド」いわゆる「アラミド繊維」製です。

「一応、防弾です」とメーカーの方には当時聞いたんですが、現用品は衝撃吸収のみになったのかな?