戦車射撃の種類
先の記事に関連して戦車射撃の種類について説明する。
戦車の射撃には次の種類がある
① 停止間の射撃
② 前進間の射撃
③ その他の射撃
■ 停止間の射撃
停止射は前進間の射撃が出来ない場合、またはその必要がない場合に行う。
待ち伏せや射撃支援などで使用するが、一地点での長時間の射撃は行ってはならない。
■ 前進間の射撃
前進間の射撃には「躍進射」と「行進射」がある。
前進間の射撃は先に敵を発見して速やかに撃破したり、敵の射撃等を受け速やかに応射し撃破する必要がある場合に行う。
躍進射は停止直後、速やかに射撃する。直ちに停止し射撃する場合と射距離や地形の状態を判断して車体遮蔽などができる有利な射撃位置に停止するよう操縦手に指示する場合がある。
行進射は、躍進射では間に合わない場合や停止することなく前進する必要がある場合などに行う。
直行行進射、斜向行進射、横行行進射、蛇行行進射、後退行進射などがある。
■ その他の射撃
「稜線射撃」「夜間射撃」「戦闘照準射撃」及び「間接照準射撃」がある。
稜線射撃は丘陵等の地形の特性を生かした射撃要領である。稜線後方の全体遮蔽位置で射撃準備を行い、砲塔遮蔽位置で敵を確認したならば速やかに車体遮蔽位置に前進し射撃を行うものである。姿勢制御のできる場合は俯角の増大を図る等、有利な射撃姿勢とする。
夜間射撃は暗視照準装置を使用した射撃方法であり、それぞれの暗視装置の特性に応じた射撃要領となる。
照明弾により敵位置が照らされている場合は昼間射撃と同様である。
戦闘照準射撃はあらかじめ指定された距離を照準器に設定しておく射撃方法である。
米軍射撃教範「TANK GNNERY(ABRAMS)」では戦闘照準(Battlesight:バトルサイト)は1200mと指定されている。
間接照準射撃は水平方向(方向角)を設定できる方向角指示器及び垂直方向(高低角)を設定できる象限儀(しょうげんぎ)を用いて砲に射撃方向及び射角を設定し視程外目標を射撃する方法である。