2019年度富士総合火力演習(10TK射撃)
2019年度富士総合火力演習における
戦車等射撃の第2段!
10式戦車(10TK)射撃だ。
《蛇行射撃:D(デルタ)の台に一直線に飛んで行く徹甲弾(演習弾)》
【解説】
基本的にはMCV(16式機動戦闘車)と変わらないと言っていいだろう。
10TK登場時(2012年度)に披露されたのは小隊ネットワークを駆使した射撃方法を披露したわけだが、見た目に分かりにくかったのか、その後はスラローム射撃(蛇行射撃)と風変わりな射撃を披露するに至っている。
射撃の流れはMCV小隊と同様に2個班に分けた10TK小隊の攻撃前進要領だ
①1班の射撃援護下での2班の前進
・装甲車に対する1班の対戦車榴弾使用の正面射撃
・前進間に出現した戦車に対する徹甲弾(演習弾)を使用した2班の蛇行による集中射撃
②1班の射撃支援下での2班の離脱
・装甲車に対する1班の対戦車榴弾使用の正面射撃
・離脱前進間に出現した戦車に対する徹甲弾(演習弾)を使用した2班の背面行進射撃
MCV射撃とは異なり、敵装甲車には対戦車榴弾、敵戦車には徹甲弾(演習弾)の使い分けをしている
【使用砲弾】
10式戦車及び90式戦車は実弾演習において
2種類の砲弾を使用する
1つが戦車等の重装甲目標用の徹甲弾
1つが装甲目標及び榴弾的運用ができる多目的弾
徹甲弾は限られた射場でしか射撃できないため通常の射撃訓練においては必要距離までは徹甲弾と同じ弾道を持つ演習弾が使用される。その運用と形状から「演習徹甲弾」ともよばれる。
《手前が120mm戦車砲用演習弾(TP-T)、奥は10式装弾筒付翼安定徹甲弾》
■00式120mm戦車砲用演習弾
全長:950mm
重量:約18㎏
初速:1676m/s
飛距離:5000m以内
《JM12A1対戦車榴弾(HEAT-MP-T、黒い筒は収納容器(ファイバーケース)》
■M12A1対戦車榴弾
全長:981mm
重量:約23.3㎏
初速:1140m/s
次に、10式戦車の射撃をご覧にいただきます
10式戦車は第4世代の戦車で90式戦車をさらに発展させ
火力、機動力、防護力を向上させながら
運用が容易なように軽量、コンパクト化されています
また、ネットワークシステムを搭載し
戦闘に必要な情報を戦車相互に共有し
射撃の統制などを瞬時に行うことが出来ます
本日は、蛇行射撃及び離脱行進射撃などを行います
【10TK射撃その1:停止射撃及び蛇行射撃】
~1班の援護射撃下における2班の蛇行射撃~
《稜線後方で射撃準備態勢をとる1班》
《稜線に進出し警戒態勢をとる1班》
「こちら小隊長、1班射撃支援体制完了、2班の前進を援護する」
(2班への前進指示)
「こちら2班了解」
《1班の援護下で前進する2班、後方では1班が射撃位置へ移動している》
1班の援護のもと、2班が引き続き前進を開始し
蛇行射撃を実施します
目標はD(デルタ)の台です
《2班の前進援護のため稜線射撃を行う1班》
「3、4の台、装甲車、1班、対榴、撃て」
(1班長兼務の小隊長は1班に対し対戦車榴弾を使用した稜線射撃を指示、目標は3の台及び4の台に現れた敵装甲車)
「命中、撃ち方、待て」
(各々の目標に命中、撃破を確認した)
「D(デルタ)の台、戦車、徹甲、2班、集中」
「左へ、撃て」
《Dの台に現れた1両の敵戦車に対し徹甲弾を使用した班集中射撃を指示、「左へ」の号令で2班は左に旋回、「撃て」の号令で同じ目標に2両同時に射撃を行う。》
「同一目標、右へ、撃て」
《目標に命中しなかった、もしくは命中したが効果の確認ができなかった場合、同一目標に対し第2射を放つ》
「命中、撃ち方、待て」
(敵戦車の撃破の確認し射撃の停止)
【10TK射撃その2:停止射撃及び(離脱)行進射撃】
~1班の援護射撃下における2班の離脱行進射撃~
「前方、障害、2班、止まれ」
「小隊長、こちら2班」
「前方に障害を確認、別経路で前進する」
「こちら、小隊長、了解」
《対戦車障害を避け、退避行動に移る2班》
「A(アルファ)、C(チャーリー)の台、戦車、徹甲」
「2班、正面射、撃て」
(離脱中に発見した敵に対し射撃を指示)
《砲塔を後ろに向けたままの背面行進射撃(離脱行進射)を行う》
「命中、撃ち方、止め」
(撃破判定により射撃の終了を指示)
「3、5の台、装甲車」
「1班、対榴、撃て」
《3の台と5の台に現れた敵装甲車に対し対戦車榴弾の援護射撃をする1班》
「命中、撃ち方、止め」
「後へ」
(撃破を確認、移動するために射撃任務の終了を1班に指示)
《離脱する2班と、続行すべく稜線下に降りてきた1班》
10式戦車の射撃は以上である。
90式戦車に続く