10式戦車試作車の謎に迫ってみた
以前、当ブログで車体試作に4号車砲塔を乗せたものと推測した謎の試作車
http://ameblo.jp/type60mbt/entry-11149619362.html#main
「謎の試作車」【防衛生産・技術基盤研究会資料】資料②より
「軍事研究」や「PANZER」でも謎の試作車とされているが新たに判明した事項から推定してみる。
さらに、試作0号車(仮称)と呼ばれる車体番号99-0214についても推定してみた。
「試作0号車」
さて、試作車についておさらいしておこう。
試作車概要については以下のサイトに一戸 崇雄 氏の寄稿に詳しいので参考まで。
http://www.hyperdouraku.com/military/type10mbt/index.html
10式戦車の開発と試作車 文: 一戸 崇雄
上記では試作1号車が2006年1月となっているが自分が撮影した名盤による納入次期は以下の通り
試作1号車
車両番号:99-0237
製造年月:2008年1月
撮影:2011年7月 富士学校
試作2号車
車両番号:99-0238
製造年月:2008年1月
撮影:2011年10月 武器学校
車両番号:99-0239
製造年月:2008年4月
撮影:2010年8月 総火演
車両番号:99-0240
製造年月:不明。おそらく3号車と同時期
では試作0号車(車両番号:99-0214)とは?
モジュール装甲やサイドスカート等のデザイン細部の差はあるが
基本設計は試作1・2号車と差異は認められない。
何なんだろうか?と悩んでいたのだが、とある資料を発見
【予算執行事前審査等調書(平成22年度第4四半期)】
この中の機動戦闘車の項に注目した。
機動戦闘車の試作(その3)についての調書なのだが
調書中の試作品の構成内分けの図からあることが分かる。
機動戦闘車は試作(その3)で砲塔システムと車体システムを作り、試作(その4)で小隊単位の4両を作ることになっているが、試作その4で新造するのは2号車と4号車のみで1号車は試作(その3)の車体と砲塔を結合したものを改修流用し、3号車は試作(その2)の車体部を改修、砲塔部を新造するというものである。
10式戦車においても同様なことが行われたのだろう。
防衛技術ジャーナル2012年3月号の「10式戦車の技術試験」によると「実際に射撃も走行も形をなしたのは試作(その4)からである」と記されていることから、試作0号車(車両番号:99-0214)は試作(その4)における全体試作車ではないのだろうか?
機動戦闘車は試作(その4)で4両の試作が作られるようになっているが、10式戦車は前述の防衛技術ジャーナル記事においても4両の試作車が製造されたのは試作(その5)という記述があるので、10式戦車の場合は先行全体試作車として試作(その4)で戦車システムとしての全体試作車が製造されたのだろう。
このことから、件の6脚車体を持つ試作車車体部は試作(その3)における車体部試作の可能性が高い。
その車体に、11式装軌車回収車の試作車車体に流用され余った試作4号車の砲塔を載せたものであろう。
【追記】参照
真偽のほどは定かではないが現状で公表されている資料で謎の試作車について考察してみた。
個人的には何故このように試作車両を秘密にするのかが分からない。
ぜひ公開してもらいたいものである。
富士学校の装備品展示場に今年の夏には展示されていることを願ってやまない。
【追記】 (2012年7月16日)
11式装軌車回収車の試作車は新規開発ということで試作4号車は某所で現存するそうです。
ただし、砲塔は試作(その5)の砲塔を載せたものというこだが、試作(その4)は撃っちゃったから現存しないと聞いたので試作(その3)の車体に試作4号車の砲塔を載せたもののようです。