メイクの中でも得意なのが、
その人の本当に心からなりたい自分にするメイクで、
男性にメイクをして女性のようになるってことも手伝っています。
専門のお店を経営していて、
わたしの他にも専門家のスタッフがいます。
最近、そのお店でうれしいできごとがあったから、
聞いてほしい。
お店に来てくれるお嬢様たちは、
はじめてお化粧をする人だったり、
ベテランさんだったりと様々。
その日、現われたのは、
20年ぶりにお化粧をしたいと思って来店したお嬢様だった。
ま、お嬢様といっても、見た目は男性ですが。
でさ、その方が、お店に置いてあった雑誌を見てこういうんですよ。
「
これ、わたしが載ってます」お店には、メイクや美容の本。
ファッション雑誌の他に、女装の雑誌が置いてあるんです。
指を差してたのは、女装専門誌。
それもお客様のひとりが寄贈してくれた
20年前の女装専門誌だったのだ。
「
ええーーー!!!!」って、話を聞いてみたら、
20年前に通っていた女装サロンが
その雑誌に載ってたのね。
着物を着た美人オーナーさんと、
おしゃれして並んでる女装した方たちの写真があって。
並んでいる中のひとりが、ご本人ってわけ。
わたしも、女装メイクの仕事をしてから、
いろんなお店の話を聞いてきたけど、
はじめて聞くお店だったから、
すごく興味でちゃってさ、いっぱい質問した。
名古屋駅の近くにあったお店で、オーナーの女性の他に、
メイクを教えてくれる男性がいたそうです。
そのお店ってのが、
みっともない格好や女性らしくない所作をしてると、
バシっと怒られたりとかしたらしい。
「あなた、もう少し痩せれば、もっとおしゃれが楽しめるわよ」
とか。ズバリ。
20年前にもそんな美意識の高い店があったとは!
目からウロコが落ちたわ。
わたしがお店をマジメにやりだしたのは
美しいことを楽しむってことを
女装してる人にも知ってほしいよなって、
気持ちもあったんだよね。
当時、そういうお店ってあまりなくて、
世の中には、女装じゃなくて、
それ仮装だろー!(怒)っていうお嬢様もよくいる。
でも、わたしは思ってた。
ハゲで鼻毛がぼーぼー出たその顔でセーラー服を着て、
町を歩かないでって。
パンティが見えるミニスカートから、
もじゃ毛の太ももを出してがにまたで
デパート行くとかマジやめてって、
マジで。
周りをよく見ろ。
目のやり場に困りすぎてるだろ。
でも、ほんとにたまにあるのだ。
「セーラー服を着て放課後の時間に駅前を歩けば、女子高生になれますよねえ?」
っていう問い合せが。
なれませんから!!!
ねえ、想像してみて。
わたしがセーラー服を着たって、女子高生にはみえないでしょ?
それと同じで、ハゲで鼻毛が出てるじじー。
あなたも、セーラー服を着たからって、
女子高生になる魔法はかからないんですよ。
女子高生が、かわいくてまぶしくてキラキラしてるのはね、
服の魔法じゃないの!10代だからなんだよ!!!
あ、ごめん。
小林秀章氏のことか!?と思ったかたもいるだろうが
違います。鼻毛出てないし。
名駅前のXXXを歩いてたおじーさんのことです
ま、小林さんも女子高生にはみえませんがね。
20年前の雑誌にもさ、こんな一文があった。
あなたが大好きなアイドルが、
いつまでも、10年前に流行ったドレスでテレビに出たらいやでしょ?
って。
おしゃれ格差や、身だしなみ問題は
20年前も今も同じようにあるのね。
テキトーなままで自分にOKだしちゃう
女装の人って多いのねって、
女装業界をはじめて見たとき感じてたけど。
美意識高く持てっていう方針のお店もあったってことだ。
そんな素敵なお店があったことを知ってよかった。
彼女に会わなければ、知らないままだった。
まあ、いちばん驚いたのは、
20年ぶりの自分に再会した彼女だろう。
20年ぶりにお化粧をした彼女から、
次の日からの仕事が、
いつもよりはかどるようになったんですってメールがあった。
ほほえましかったけど、
わたしがなによりも嬉しかったのは、
そんな美意識を持ってる人が、
わたしのお店にまた来るねって言ってくれたことだ。
昔の名前は古風だから、
新しい名前をつくりたいって言っていて
「
あゆみにしようかな」っていうから、
「
あゆのがいいんじゃない?」って言ったら、気に入ってくれました。
「
じゃあ、バレンタインがあゆの誕生日ってことで、よろしくお願いします」って。
彼女が再びおしゃれを楽しめる自分になって
出会いが増えて行くのを見るのが楽しみ
新しいお友達ができた気分。

