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新列車制御システムATACS

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世界最先端の列車制御システム、業界基準へ“発進”

JR東日本が首都圏で初採用

産経新聞 11月10日(日)20時22分配信

100年以上続いてきた鉄道の安全運行の仕組みが転換期を迎えようとしている。JR東日本は平成29年秋に無線を使った列車制御システム「ATACS(アタックス)」を首都圏で初めて導入する。列車同士の衝突を防ぐ信号機や自動列車停止装置(ATS)などが不要になり、保守点検費用も削減が見込めるという。

同社が目指す変革の成否は国内外で注目を集めそうだ。

1.無線で位置把握

「無線による列車制御システムは海外でも研究や導入が進められているが、ATACSが最先端を行っているのは間違いない」

ATACS「Advanced(アドバンスド)Train(トレイン)Administration (アドミニストレーション)and(アンド)Communications(コミュニケーションズ)System(システム)」の略称。JR東日本は10月、埼京線の池袋~大宮間で導入する計画を公表した。

同社でこのプロジェクトを担当してきた電気ネットワーク部の馬場裕一課長(45)は、安全運行システムの開発競争では“世界のトップランナー”であると自負する。

従来の列車制御システムの多くは、レールに電気(微量)を流して列車の位置を検知し、信号機で後続列車の運転士に走行可能な区間と速度を指示する方式を採用。これに対し、ATACSは無線利用による車両-地上装置(基地局)間の双方向通信で列車の間隔制御を実現する全く新しい方式だ。

まず、列車自らが線路内に設置された小型装置により位置情報を認識し、沿線の地上装置に無線で送信。線路上の全ての列車位置を把握した地上装置は、それぞれの先行列車との間隔を計算して各列車に情報を送り、運行を総合的に制御する仕組みとなっている。

2.障害招く地上設備

線路上で列車を検知する従来の方式は1873年に米国で初めて使用された。日本では明治37年に現在の中央線で登場して以降、100年以上の歴史がある。なぜ、長年定着している方式を変更するのか。

大きな理由は、線路の周りに多数ある信号機や専用回線などの地上設備を減らすためだ。制御システムを支えるこうした機器はときに故障や不具合に陥り、運行ダイヤを乱す要因にもなっている。実際、平成15年9月には中央線で配線ミスによる信号トラブルが発生し、400本以上の列車が運休する大規模な輸送障害を招いたこともあった。

馬場課長は「安定稼働を確保する上で、地上設備をいかに減らすかは長年の課題だった」とし、ATACS導入によるメリットをこう続ける。

「各種設備のスリム化で保守点検費用のコストダウンが図られるうえ、機器のトラブルに伴う列車遅延なども減少し、運行への信頼性が高まる」

また、ATACS採用されればATSも不要となる。JR北海道の運転士がミスを隠すためにハンマーで壊したり、カーブ手前に設置されていれば脱線転覆は回避された可能性があると指摘された17年の福知山線脱線事故(兵庫県尼崎市)のようなATSの有無に伴う問題も解消されるとみられる。

3.四半世紀の研究

列車制御システムの大転換となるが、実用化までの道のりは長かった。

最初は鉄道技術を研究する公益財団法人「鉄道総合技術研究所」(東京都国分寺市)が昭和60年ごろから基礎研究に着手。それをベースにJR東日本は平成7年に開発に踏み切る。インターネットなどにより無線通信技術が普及し、実用化に向けた開発環境が整ったことも追い風となった。

実証実験を繰り返した新システムは、平成17年に外部有識者による評価委員会で安全性が確認され、23年10月から宮城県の仙石線の一部区間で先行採用。2年間の運用をへて、首都圏輸送システムの変革に向けた第1弾として、埼京線での導入が決まった。

馬場課長は「新システムは海外からも注目されている。付加価値をつけて普及させていきたい」と意気込む。鉄道業界で産声を上げた“メード・イン・ジャパン”が世界に羽ばたく日はそう遠くないのかもしれない。



かつて、それまでのATS-Bに代わって大都市圏では、より高度なATCやATS-Pが開発され、使用されてきましたが、リスクを低減してさらに進化した制御システムが実用化されますね。