知らない子はもういない
"檻の中の少女"と玉に書いてコネコネしていると、玉が黄金色に輝きだし、少女を閉じ込めていた檻が一瞬光って消滅した。
『お姉ちゃんだぁれ❓️』
少女が話しかけてきた。
『私は沙織よ、あなたはだぁれ❓️どうして檻の中に入れられたの❓️』
『わかんないの、私は誰なの❓️どうしてここにいるの❓️』
『お父さんやお母さんは❓️』
『わかんない』
『困ったわねぇ、お友達は❓️』
『ミナモトくん』
『ミナモトくんってミナモトクロウドくん❓️』
『そう、一度もお話したことないけどミナモトくんしかわからないの』
『ミナモトくんのこと好きなの❓️』
『……………』
少女は真っ赤な顔をして下を向いた。
幼なじみというほど親しいわけではないようだが、苗字で呼ぶのは同級生❓️
少なくとも蔵人に好意を寄せているようだ。
『ミナモトくんに会いたい❓️』
少女は黙って頷いた。こんなに可愛い子が蔵人の目に留まらないわけがない。
この少女を蔵人に、どうしても会わせたくなった。でもどうやって❓️
沙織は蔵人と同い年だということを思い出した。おそらくこの少女もそうに違いない。
『ねぇヒデキ、ヒロミ、ゴロー三人の中で誰が好き❓️』
当時のアイドルをぶつけてみた。
『みんな嫌い、マリちゃんが好き』
蔵人以外の男性は眼中にないのだろう。
しかし沙織の読みは満更でもなかったようだ。
『マリちゃんのどんなところが好き❓️』
『わかんないけどなんとなく…そんな気がしたの』
沙織はもしかしたら感情が記憶を甦らせるのではないかと思いついた。
玉を両手で包みながら、静かに歌い始めた。
♫口笛吹いて …
『この歌知ってる❓️』
少女は首を傾げた。
沙織は、歌の最後の一節をもう一度そっと口ずさんだ。
♫ 知らない子はもういない…
少女は、はっとして沙織を見つめた。
どうやら思い出したようだ。
沙織は少女に問いかける。
『ねぇ……知らない子は、どこへ行ってしまったんだと思う❓️』
『……どこへ……❓️』
『あなたがミナモトくんにとっては“知らない子”だと思ったでしょ❓️』
少女の瞳に、涙が浮かんだ。
『私はずっと、知らない子は友達になろうとしたのに、みんなに無視されてどこかへ行ってしまったと思い込んでた、あなたもそう思ったんじゃない❓️』
少女は黙って震えていた。
『でもね、知らない子はどこかへ行ってしまったんじゃなくて、友達になったから知らない子じゃなくなったってことなのよ。紛らわしい歌よねぇ。』
少女は堪えきれずに笑い出した。
『お姉ちゃん馬鹿なの❓️そんなのちゃんと聴いてたらわかるじゃないの。
でもありがとう、よくわかんないけどミナモトくんとこんな風に笑ってお喋りできたらイイなぁ』
沙織は小っ恥ずかったが少女の笑顔に希望が見えた。
『きっと会わせてあげるわ』
沙織の言葉を聴くと少女は一瞬輝いて笑顔のまま消えていった。
つづく




