隠しきれない光


甘い

あっ、果皮がいろんな色に見える

虹みたい"隠しきれない光"だわ』


洋美は素直な感想を述べた。


『波に揺られて見える角度が変わるのか「時の流れ」も見方を変えれば…

流れが…変わる…アレ❓️

なんか違うな…流れと波…同じ❓️』

蔵人は混乱していた。


『クロちゃん、この数字なんだかわかる❓️』

小野ユキは何やら計算して紙に書いて蔵人に見せた。


『"45,440,870,400" 一、十、百、千、万……よんひゃくごじゅうおく⁉️

なんですかこれ❓️

僕の資産もここまではありませんよ』

蔵人は逆説的な金持ちアピールを控え目にしてみたが誰も気にも留めなかった。



『そういえばあんた今日、誕生日でしょう還暦よね

言うの忘れてたわ、おめでとう』


『えっ、そうなんですか⁉️

還暦、おめでとうございます』


『おめでとうございます。還暦ですね』

洋美と志乃が慌てて祝意を表した。


(還暦には喰い付くのか)


『そう60歳よね

その数字はねあんたの人生が休むことなく上映されてる映画だとしたら

その映画のフィルムのコマ数よ

60年は1,893,369,600秒

1秒間に24コマとして

45,440,870,400コマ

すごい数でしょう

だから何って言われたらそれまでだけど

この"隠しきれない光"をいただいて

ちょっと思いついたから言ってみました

以上』



『先生も3日前がお誕生日でしたね

さっき見せていただいた免許証に記載されてました

おめでとうございます』


『洋美さんありがとう』


『おめでとうございます

100歳ですってね

お嬢様から伺いました』


志乃はサラリと言った。


『志乃さんありがとう

やっぱりあなたはわかる人なのね……』


小野ユキは嬉しさのあまり涙を抑えきれなかった。


『私も先生と同じですよ

このことについては、後で、お客様がお一人いらっしゃるようですので

その方がいらっしゃってからお話しますわ

お二人かも知れませんが…』


『そんなの聞いてないわ。私の知ってる人❓️』

洋美は少し動揺した。志乃はそのことには答えずただ微笑んで話を続けた。


『先生、フィルムのコマというのは水杯でお別れした「時の流れ」を創り出している、一瞬一瞬のことですね

たしか10のマイナス18乗分の1秒だったかしら❓️刹那とかいう…』


『そうそう映画も時の流れも観たり流されたりすることしか出来ない自分と決別して

編集したり、新しく創ったり出来る存在になるって宣言でしょ水杯は❓️』


『そうですわ流石ですね先生』

と言いながら志乃は、次のカクテルを創る準備を始めた。


『次は蔵人さんのための一杯です』

志乃は、棚の奥から重みのあるオールドファッションドグラスを取り出す。  

指先で縁をなぞり、グラスの温度を確かめる。  


シェリー酒のボトルを持ち上げる。  

液体がグラスに注がれると、琥珀色が静かに広がる。  


次に黒糖焼酎。  

志乃はほんの少しだけ注ぎ、  

グラスを傾けて、底に馴染ませる。  


ほうじ茶リキュールのボトルを開けると、  

焦げた茶葉の香りが立ち上る。  

志乃は一瞬だけ目を閉じ、  

その香りが蔵人に届くかどうか、確かめるように息を止める。


メープルシロップを一滴。  

志乃の指先はその重さを感じている。  

それは、時間の中にあった優しさの重み。


最後に、干し柿の薄片を取り出す。  

ピンセットで縁に添える。

ただグラスの中の時間を見つめている。


そして、グラスの縁を布で拭い、  

指先で軽く回す。  

液面が静かに揺れ、香りが整う。


志乃は両手でグラスを持ち、  

蔵人の前にに差し出す。  

その動作は、差し出すというより、  

“預ける”ような静けさを帯びていた。


『"7/45,440,870,400"でございます』




つづく



 

 



 

 



 

 



 

 



 

 



 

 



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