前回までに,機械設計図面の投影図の基礎をお話ししてきました.

 しかし,形状の表現ができても,実際どのサイズで作れば良いのかはまだ図形だけでは分かりません.これに寸法を記入することで初めて機械設計図面が完成します.

 

  部品図への寸法記入の心得

 

 寸法は,それぞれの部分がどのような大きさになっているかを長さの数値で記入しますが,単に数値が入っていればいいのではなく,その部品の製作手順を考慮して記載する必要があります.

 ここでは,次の写真に示す万力の「ハンドル」の部品を例にしてみていきましょう.

   

 

 この部品に対して主投影図を作図して,寸法を入れたのが下図になっています.

 しかし,この図では寸法は入っていますが,異なる加工方法などがあるにもかかわらず直列寸法表記になってしまっています.

 

【悪い例】

   

 これでは,各作業工程に必要な寸法を現場で計算しなければなりません.

それでは実際に,この「ハンドル」部品を製作する手順をイメージしてどんな寸法が必要なのかみていきたいと思います.

 

  まずは素材の調達!

 部品を製作する際には,まずその素となる素材を調達する必要があります.

 このハンドルは,円柱形状の「丸棒」をベースに加工をしていくので,次のような素材を用意する必要があります.

 すなわち,品物の全長(外法)×直径が必要となります.なお,全長(外法)がカッコの(参考寸法)になっているのは,実際には,荒削り代まで考えて用意するためです.(この辺は現場の職人ベースで対応するのが普通です.)

 

     

 (※右側面図は,形状のイメージが分かりやすくなるように,あえて表記しています.)

 

 次回は,この素材を素に加工順序をイメージして寸法を付加して行きたいと思います.