前回は、補助投影を使って直交しない面の投影図を図面内に配置する方法を説明しました。

 ここで改めて機械工学分野の図面についての大原則として、図面を作成する際には、製品・部品を必要かつ十分で、できるだけ簡潔に表現することが望ましいということを思い出して下さい。

 そのため、必要以外の図は省略したり、できるだけ意味の無い部分は記載しないノウハウがポイントになります。

 今回紹介する部分投影や次回以降に紹介する局部投影、対称図形の省略画法などのテクニックを利用して、それを実現して行きましょう。それにより作図の工数も減らし、簡潔な図面により理解を容易にすることもできます。

 

  例えば、軸の端だけの形状が違う場合

 項目タイトルにあるように軸形状を表現する際に、片端の形状だけ違う場合、まともに全体を投影してしまうと次のようになります。

  

 形状的にはよく分かりますが、実際の図面では寸法を記入するため、平面図(上から見た図)は、右端の切り欠きの部分の寸法を記入する事にしか使いません。

 

  必要な「部分だけを投影する」、部分投影を用いると

 右端の切り欠き部分だけの形状を上からみたいので、「部分投影」を用いると次のように描く部分を大幅に節約できることになります。

  

 

 

  部分投影を使用する際のポイント!

 部分投影を使用する際のポイントは以下に示すように、破断線を用いて省いた部分との境界を明記することが重要です。特に、破断線は必ず外形線から開始して、外形線で終了するように描いて下さい。また、外形線などと区別するために手書き図面の場合はわざとフリーハンドの実線で表現します。(CADの場合はアプリで用意されている破断線ツールを用いて下さい。)

  

 なお、形状の煩雑さによっては、対応関係を明らかにするために基準線を用いて投影図と部分投影図の対応関係を明示する場合があります。(※従来は基準線を描くことが基本でしたが、近年のJISの部分投影では基準線を用いてつなげない手法が基本になっています。)