今回の梅小路展示会では、ラジコン戦車障害物レースを展示させていただきました。

実際にリモコンを用いて、ラジコン戦車を操縦してもらう企画で、大変好評をいただきました。

多くの方の素晴らしい作品を拝見でき、今年もとても楽しく参加させていただきました。

主催のかう゛ぇ様、来場いただいた皆様、ほかの展示者の皆様、ありがとうございました。

今回は、共同制作者であるPunikov氏との対談形式で振り返っていきます。

 

(冒頭写真1:コース全景)

(冒頭写真2:拙作の突撃砲、kou君のヘッツァー、Punikov氏のやわらか戦車)

(冒頭写真3:イベントに際し用意していただいた解説パネルとレース障害物の列車)

 

 

【共同制作者のPunikov(ぷにこふ)氏とは】

2012年頃からインターネットで活動しているレゴファン。古い時代の兵器が主な制作ジャンル。

陸海空軍から兵站設備・軍用鉄道まで幅広く、クオリティの高い作品を数多く世に送りだしている。

代表作に航空母艦、列車砲などがある。

 

 

 

上:彼の代表作の列車砲

 

──梅小路展示会には2人とも長年参加させてもらっていて、最近だと去年(2024年)は富山展示をやったね。来場者にはお子さんが多いイベントだね。

 

(写真:2024年の富山展示)

 

──そして今年は、ラジコン戦車を操縦して遊んでもらうという自分たちの中では前例のない展示となったね。始めてのことが多かったけど、どうだった?

 

Punikov(以下「ぷに」):今回の展示は大成功だったねぇ。大勢の人たちに遊んでもらえて「楽しい」「面白い」と言ってもらえて、もうね嬉しかったよ。

 

──たしかに、お子さんを中心に大人気だったよね。楽しんでもらえたというのは、製作者冥利に尽きるよね。

 

ぷに:中には何度も遊びに来てくれる子もいて、それだけ自分たちの作ったものが面白かったんだと思うと、作って良かった。

 

 

コースについて

(写真:コース全景(再掲))

──ここからは、各論に移りたいと思う。まず、レースのステージとなるコースについて見ていこう。

 コースは右手前がスタート、左端がゴール。

 緑色・白色のエリアがぬぬつき担当、灰色のエリアがPunikov担当。

 ぬぬつき部分は、列車や飛行機といった動き物を避ける必要のあるアクロバティックゾーン、Punikov部分は、街灯や戦車といった障害物を避けながら進む、比較的ゆるいゾーンとなっています。

 

(写真:ぬぬつき担当部)

 

(写真:Punikov担当部)

 

──個人的には、変化を付けて、楽しめるコースだったと思うけど、コースレイアウトについてはどうかな?

 

ぷに:コース内の線路には列車、空には飛行機が飛び回り上も下も見た目が華やか。これで動く障害物としても活躍しているのだから、このコースよく出来ている。
 高い所をくるくる回る飛行機を見た子供が「飛行機!」と言って、駆け寄って来てくれたこともあったね。

 

──トレインや飛行機といった「動きもの」は広告塔としても機能したよね。

 

ぷに:ただ、動く障害物がコース前半に集中して難しく、後半は簡単だった。これは逆にした方が良かったと思う。

 

──たしかにレイアウトは逆でもよかったね。特に、飛行機は障害物として難易度が高くて、後半はただの飾りに落ち着いたね。

 

(写真:

 手前は回転式の障害物として投入した艦載機改造の飛行機。これを避けるのが難しかった模様。

 奥は往復運転の列車で拙作ディーゼル機関車+Punikov氏作装甲列車。

 

 

車両について

(画像:車両。展示に用いたシートのデータ。)

 

──車両についてはどうかな?僕は突撃砲、Punikovはやわらか戦車を作ったね。

どちらも走行性能は比較的安定していて、遊びに耐える強度だったのがよかったね。

 

ぷに:履帯が外れるトラブルはあったけど、概ね実用に堪えるものにできたと思う。

 

──狙ったわけじゃないけど、リアルな車両とかわいい車両があることで、幅広い層に興味を持ってもらえたというのはありそう。

 

ぷに:やわらか戦車にしたのは別のレゴビルダーさんの提案で、雰囲気を異にする2台から好きな方を選んで遊べたのは良かった。それに片方の戦車にトラブルが起きても、もう片方で回せる冗長性も確保できた。

 冗長性と言えば、長距離移動の冗長性のためにも北陸新幹s(以下略)

 

──はいはい。ところで今回は、直感的な操作ができるように、通常の2レバー式操縦ではなく、ジョイスティック風のリモコンを新規開発したね。

 

(写真:ジョイスティック風リモコン。ハンドル一つで前後と回転をコントロール可能。)

 

ぷに:ハンドルを回して操作できる新鮮さがみんなの心を掴んだと思う。プレイしてくれた人達はコントローラーを手に取った瞬間、童心フルスロットルでラジコンの世界に没入してくれた。

 

──そうだね、小さい子に楽しんでもらえて良かったと思う。ただ、やや動作が甘かったな、という反省もあると思うけどどうかな?

 

ぷに:一方、操縦にクセがあったのか、遊んでくれた人の多くは操縦に苦戦していて、まっすぐ進むのも難しそうだった。

 自分でテストした時は操縦性は悪くないと感じたけど、それは製作中何度もテストするうちに操縦に慣れたのか、それとも製作者としてリモコンの構造を把握していたからなのか……。

 いずれせよ、初めての人でも簡単に扱えるように改良する必要がありそう。

 

 

その他運用など

 

(写真:スタート地点に並ぶ戦車とリモコン)

 

──遊べるラジコン対応は、従来の静態展示・トレイン展示とは違った対応が必要だったね。常時、卓に張り付いて、説明したり、レースのサポートをしたね。

 

ぷに:これまでにない変わった趣でスタートした今回の展示は、面白かったけど大変でもあった。来場者への声掛け、ルールの説明、ラジコンの修理、コースの調整などなど…なかなかハードだったねぇ。

 

──そうだね、見てもらうだけでなく、説明などが必要だから、常時卓にいる必要があったね。これはこれで、来場者の方と交流できて楽しかった。

 作品やルールを紹介するシートも作ったし、リモコンを触る前の消毒に必要な資材もしっかり準備したね。

 

(画像:ルールを示すシート。事前に作成し、印刷して持参した。イラストはPunikov氏。)

 

──他になにか、今回の展示にあたり工夫したことはある?

 

ぷに:基本的に全てのものをかなり頑丈に、かつすぐ直せるような構造にしておいたのが一番かな。コントローラーと戦車は特に注意したねぇ。

 

──さっきも話にあったね。今回は実運用を念頭に制作を進めたよね。

 

ぷに:動き+高い強度+分かりやすさが求められるという、普段と違う方向性のビルドで苦戦することもあったけど、みんなの喜ぶ顔を想像したらもう苦にならなかった。盛り上がる会場を想像しながらいそいそと準備していたのが懐かしいなぁ。

 

──あとは、作業進行に際して、オンライン上のノートにやりたい/やるべき事柄をリストアップし、随時更新して進捗を管理したのは効率的だったね。

 

ぷに:細かい管理は自分がやると億劫になりがちなんだけど、それをぬぬ氏がうまくやってくれて助かった。

 それから、石川旅行が偶然にもちょうどいいタイミングやったね。

 

──そうそう、前週の石川旅行で、他のレゴビルダーにテストプレイをしてもらって、問題点を洗い出したのは良い試みだったかもね。

 

ぷに:その時のテストプレイで得られたノウハウや皆んなの意見がなければ、本番はあそこまで上手くいかなかったと思う。本番は勿論、テストプレイで遊んでくれた皆さんにも感謝です。

 

 

 

今後について

 

(写真:裏からコースを見た図。既存作の非ラジコン戦車もコースに配置した。)

 

──今回の展示で反省点はなにかある?

 

ぷに:一番は操縦性かなぁ。慣れた人ならスムーズに動かせるけど、不慣れな人や子供でも動かしやすいようコントローラーを改良したいところ。

 

──そうだね、コントローラーは改良の余地ありだね。

 操縦の難易度が高く、左右転が難しそうだな、という印象が一つある。このことから、今後は、「1次元」のゲームにするというのはありな気がする。

 

ぷに:悪くないと思う。ただ、1次元だと単調かもしれないから、横スクロールアクションめいた上下移動とか、射撃とかの要素を入れるのはアリかもしれない。いや、自分の感性には外れが多いので、全くの見当違いかも知れない。悪しからず。

 

──たとえば、装甲列車が様々な障害を避けながら前に進むというスタイル。この点についてはどうかな?

 

ぷに:鉄道スタイルがどういう形で実装するかはまだ思いつかないけど、これが実現すれば、今回よりさらに面白いものができるような気がする。次は装甲列車を主役に据えて、うんとレトロチックにやろう。

 

──車両については直したいところある?

 

ぷに:自分のやわらか戦車は履帯周りのトラブルが多かった印象。走るにつれて一部の履帯がどんどん接続が弱くなってきてたのかも。本物の戦車と同じく、ラジコン戦車にも予備履帯は必須かもねぇ。

 

──実用的な予備履帯というのは中々興味深いね。

 

ぷに:やわらか戦車と違って、ぬぬ氏の突撃砲は履帯外れが少なかったね。

 やわらか戦車は速すぎて足回りに無理な負荷がかかったのかな。それとも足回りの違い?

 

──戦車として走行性能は下がるけど、突撃砲はサスペンションを割愛して常に履帯を張っていたのが良かったのかもしれない。

ぷに:あーなるほど。それもありそう。
 

最後に

──反省点はあれど概ねうまくいって良かったね。来年は何しようかまた考えるのも楽しそう。お疲れ様でした!

ぷに:お疲れ様でした。

 

(写真:Punikov氏のレトロなビル。屋上にはkou君作の対空機銃。)