「七海」は皇国海防軍の航空巡洋艦。航空艦隊の旗艦である。



○前史

 もともと二二艦隊計画において、砲艦「千咲」の後継として予定された艦である。計画時の名称は221号巡洋艦。
 その後、飛行機機重視の意見を取り入れ、中央から後半部を飛行甲板とした航空巡洋艦に設計変更された。

 

<長年にわたり艦隊の主力だった砲艦も老朽化が進んでいた。また、沿海むけであり遠洋航海には向いていなかった。>

 


<水上攻撃機を運用する特設巡洋艦「由比ノ丸」。海防軍は少しづつ航空機搭載の技術を積み上げ、信頼に足る程度には達していた。そして、それ以上に航空機の能力は魅力的なものであった。>

 


〇建造


 航空巡洋艦に計画変更されたとき、既に前部砲塔は完成していた。その後、後部に飛行甲板を設ける工事が行われた。煙突の排気が着艦を阻害しないように、何度も風洞実験が繰り返されたという。最終的に、左舷から大きく傾斜した煙突が設けられた。

 建造は順調に進み2022年1月に進水、翌2月に艤装が完了し就役した。艦名は「七海(ななうみ)」。初の本格的な航空機搭載艦であるゆえ、七つの海*に漕ぎ出してほしいという軍の意図が込められている。
 

*諸説あるが、北洋・南洋・大海峡・大南海・ルニアス海・中央海・氷海。

 




〇概形

<飛行機を搭載した様子>


 全長94凸、船幅20凸と皇国軍史上最大の艦艇である。前部に14cm砲塔が配置されており、その後ろは全て飛行甲板が占める。飛行甲板最前部の下(砲塔の真後ろ)は艦橋。艦橋の下は船室である。
 艦橋の後ろには格納庫が設けられ、戦闘機を格納、整備する空間が確保されている。また、格納庫直下は機関室となっている。格納庫は昇降機(エレベーター)で飛行甲板と接続されている。


〇武装
・14cm砲(連装砲1基・単装砲1基)

<↑艦首砲塔>

 

<↑艦尾の単装砲>
 主砲。前部に連装砲塔、後部に単装砲の合計3門が設置される。照準や指揮は艦橋で行わず、砲で行う。
 一見すると、飛行機と火力の両方を欲張った本艦は、中途半端であるように思える。しかし全体として艦艇数に限りがある中で、巨艦を飛行機を運用するだけに用いるのはもったいないのであった。また、この時代、必ずしも航空機搭載艦の運用方法は確立されておらず、砲戦に参加するのか否かといった点も定まっていなかった。
 なお、連装砲塔は砲艦に搭載されていた砲塔の強化型である。

・37mm高角自動砲


 中央部の張り出しに各1門が設置される自動砲。主に敵飛行機からの自衛用装備である。発射速度はそこまで早くない一方、弾は大きいので破壊力はある。また、俯角も深くとれるため(俯角だけに)、対水上射撃も可能。実質的に副砲である。
 もとは陸戦軍の高射自動砲のを艦載型としたもの。特設巡洋艦「由比ノ丸」の解役(民間船への再改修)にともない同艦のものが転用された。

<原型となった陸戦軍の37mm自動砲>

・20mm高角機銃


 前部、艦橋の両脇に各1丁が設置される。こちらも主に敵飛行機からの自衛に用いる。低威力だが発射速度が早い。元々、砲艦に搭載されていたものを転用。


〇艦載機

・〇四(癸)式艦上戦闘機(A6/11)


 本艦に搭載すべく新規に開発された艦上戦闘機。
 7.7mm機銃1丁を装備する単葉単座機。小回りが効き、迎撃、制空、偵察など役割は多岐にわたる。主翼は後方に折りたたみ可能である。2機で第71飛行隊を組成する。

<↑格納状態>

・〇四(壬)式艦上雷撃機(W3/21−B2)


 特設巡洋艦に搭載されていた〇二(庚)式水上攻撃機(W3/21)に車輪を装着し、艦上機としたもの。単発単座の複葉機。魚雷を搭載し敵艦に打撃を与える。自衛用に7.7mm機銃を1丁装備する。主翼を畳むことが出来ないため露天繋止(係止)される。2機で第72飛行隊を組成する。

〇舟艇
・8凸内火艇


 内燃機関で自走するボート。陸地や他艦艇との往来などに用いられる。左舷中央部に1隻を搭載。

・基本型救命艇
 海防軍で最も一般的な救命艇。艦尾に2隻を搭載。

〇機関

 蒸気タービンで航行する。

 

<飛行甲板、格納庫、機関室(最下段)の位置関係>

 

<主機。手前がボイラーで奥がタービン>

 

 

〇内部

<艦橋>

 

<艦橋2>

 

<作戦を立てる部屋は格納庫の下である>

 

(内装はもうちょっと作りたいですね……)

 


〇配備
 「七海」の就役と同時に南洋探索艦隊は航空艦隊に再編され、本艦は旗艦となった。


〈航空艦隊〉母港:隠港(新港)
・航空巡洋艦「七海」(旗艦)
 ・第71飛行隊
 ・第72飛行隊
水雷護衛艦「海薙」

 


<航空艦隊の母港は隕石湾の最奥に位置する隠港(かくしみなと)。同地は皇国鉄道の乗換駅でもある交通の要衝であり、なにより湾内なので海が穏やかで攻撃される恐れが少ない。ちなみに潜水艦隊は首都に近い縦須賀を母港とする。>

 航空巡洋艦の登場は、海を通して任意の地域で飛行機を飛ばすことを可能にした。結果、地域における皇国軍の存在感な地位は更に向上することとなった。

 一方で、近隣の青レゴ共和国・ツベキャキサラム共和国と友好的な関係が継続する平和な時代において、無用の長物であるという批判もあった。

 

<海防軍の主力戦闘艦。手前より潜水艦「日和」、航空巡洋艦「七海」、水雷護衛艦「海薙」>

 

 

◎製作過程や、エレベーターなど内部構造については、後日「解説編」にてご紹介します。