五〇式対空戦車 甲型
同 乙型
五〇式対空戦車(秘匿名称:タソ)は皇国陸軍の対空戦車である。
①前史
陸軍は自走式の対空兵器として四七式自走高射機関砲を運用していた。しかし、同車は装輪(タイヤ)式で機動力が劣り、25mm機関砲では威力が低いので後継車輌が求められた。
そこで
i)不整地走破性が高く戦車に随伴可能な装軌(キャタピラ)式
ii)主武装は37mm機関砲
iii)空輸が可能なサイズ
の3つの条件の下で新型の対空戦闘車が開発され、「五〇式対空戦車」と名付けられた。なお車体は五〇式砲戦車(ホツI)の転用である。
(乗員は操縦手、車長兼射手、装填手、観測手の4名。)
②性能
イ)武装
・対空戦闘
主武装は初期モデルである甲型で37mm機関砲、改修型の乙型で20mm双連機関砲で、いずれも90度近い仰角を取ることができる。
レーダーの類は装備されていない。
・対地戦闘
本車両は対地戦闘を前提としていないが、長砲身37mm機関砲ないし20mm連装機関砲は高い攻撃力を持ち、若干の俯角も取れるため、遭遇戦における対地攻撃も不可能ではない。
また、副武装として7.7mm機銃を車体前面に装備している。
ロ)防護
車体部分は派生元のホツIと同等の防御力をもつ。機関砲の四方には展開式の装甲板が配され、移動時は起立させ、戦闘時には展開し足場として使用する。
ハ)機動
機動力は母体となったホツIと同等である。
(機甲部隊に追随する本車輌。よく見ればちゃんとサスペンションが稼働しているのがわかる。)
③乙型
2017年には改良型の調達が始まった。これは乙型と称されるほか、大きく外形が異なるため五〇式対空戦車改とも呼ばれる。
なお、それ以前の37mm機関砲装備車輌は甲型と呼ばれる。
甲型から乙型への変更点
・主武装を単装の37mm機関砲から双連の20mm機関砲に変更
・転輪間隔の修正とそれに伴う車体の短縮
・操縦手ハッチの位置変更
・前照燈の設置
・エンジンを車体中央部へ移動、元あった空間は予備弾入れとして使用
各部の変更により全体的な性能が向上したと言われる。
特に37mm機関砲(単装)を20mm機関砲(双連)に変更したことで、1発あたりの威力は低下したが、時間あたりの発射数は増加した。
四七式自走高射機関砲の25mm機関砲は威力が低いとされたのに、その後継である五〇式対空戦車の最新型の乙型は20mm機関砲となったのは矛盾している。
その背景には、陸海軍の共通装備である五一式二十粍高射機関砲やその他の20mm機関砲の弾薬の方が安価にかつ大量に調達できる、という陸軍の思惑があるという。(甲型が使用する37mm砲弾は優先的に五〇式軽戦車やらむ号砲に回されているらしい。)
(乙型に搭載された五一式二十粍高射機関砲の地上設置タイプ。)
④派生型
・特型対空装甲車 タツ
本車輌と同じ機関砲(防楯を含む)を、後部を平面にした特型半装軌装甲兵車(ヘル)に搭載した急造対空戦闘車(写真右)。
・急造対空戦車 タネ
タツ車と同様に本車輌の機関砲(防楯を含む)を、五〇式九糎自走歩兵砲(ホヰ)に搭載した急造対空戦車。
=皇国陸軍の対空装甲戦闘車両の系譜=
-あとがき-
ドイツのメーベルワーゲンを目指して2016年の夏に製作した対空戦車です。
箱型のシルエットが好き…(笑)
防楯をうまく楔形にできたのもよかったです。つくりがよかったため他の作品にのせてもそれっぽくなります。
以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました~~
甲型について追記しました。(17/04/06)
操作部を細かくつくれたと同時に防楯の形も維持でき、かつ機関砲と機関砲の間にも装甲板を入れることができて良かったです。
甲型では転輪の間を狭めましたが、これは履帯数の節約のためであります。
防空部隊に配備されるため無理に迷彩にする必要がない以上、この車輌はずいぶんと長生きしそうです(笑)
来るべき丙型もお楽しみに。