Q.コピーライト表記は意味がないものなのでしょうか。



A.今日現在、基本的に意味がないものになっておりますが、カンボジア・ラオスで著作権保護を受けたい著作物がある場合にのみ意味を持ちます。









前回「コピーライトについて~著作権の発生方式 」の続き。



著作権の発生方式により、それぞれの国での著作権の発生の仕方などが異なるということをお話ししました。




そして、発生方式の異なる国で著作権保護を受けるには、都度手続きが必要だとすると大変煩わしいので、国際条約というものの存在がここで出てきます。






【著作権に関する国際条約】




著作権に関する条約は主なものとして2つあります。



・ベルヌ条約

・万国著作権条約




日本はベルヌ条約及び万国著作権条約の両方に加盟しており、その他欧米の諸外国等もほとんどがベルヌ条約に加盟しております。




で、それぞれの違いを著作権の発生方式に観点をおいて説明・・・・




ベルヌ条約

加盟国に対して、著作権の発生方式を無方式主義にすること義務付ける

・加盟国は、他の加盟国の著作物に加盟国内の著作物と同等以上の権利保護を与える




万国著作権条約

・加盟国に対して、その発生方式を、方式主義・無方式主義のどちらでもよいとしている。要は、義務付けがないということ。




ちなみに、日本のようにベルヌ条約と万国著作権条約の両方に加盟している場合、ベルヌ条約の規定が優先されます。




よって、ベルヌ条約の加盟国は、有無を言わさず著作権の発生について無方式主義となり、著作物を創作した段階で著作権が発生することになります。そして、加盟国間においては、特に何等の手続きを要さず、その著作物につき著作権が発生します。



この条約のおかげで、たとえば、日本で創作された著作物は同じくベルヌ条約加盟国であるフランスにおいても著作権保護を受けることになります。








【万国著作権条約】




その点、ベルヌ条約に加盟しておらず、万国著作権条約に加盟している国で、その国が方式主義を採用する国である場合、その国で著作権保護を受けるにはどうすればよいか。




今日現在、カンボジア・ラオスはこの条件に該当する国です。



ここで、万国著作権条約第3条が出てきます。



この中で、外国の著作物であっても、コピーライト表記を該当する著作物とともに表示していれば、方式主義採用国においても著作権保護を受けることができるというような記述があります。万国著作権条約加盟国はこれを守らなければなりません。




よって、今日現在、コピーライト表記は、カンボジア・ラオス等の、方式主義を採用する国で、且つ、ベルヌ条約には加盟しておらず、万国著作権条約に加盟している国で著作権保護を受けたい場合に意味を持つということになります。




前回の記事で、アメリカさん云々といいましたが、実は、20年ほど前、アメリカはベルヌ条約に加盟しておらず、方式主義且つ万国著作権条約加盟国という状況でした。



よって、20年ほど前までは、アメリカで著作権保護を受けたい場合は、該当する著作物にコピーライト表記をする必要があったのです。



この辺りの理由により、日本においてコピーライト表記を著作物やウェブサイト等に行うという風習が定着したと考えます。



ですので、コピーライト表記は必ずしも必要なわけではなく、言ってしまえば、カンボジア・ラオスで著作権保護を受ける必要のない著作物は、みな、コピーライト表記をする必要はないのです。




今後、仮に欧米諸国等がベルヌ条約を脱退する等ということが起こらない限り、この辺りは基本的には変わらないと考えます。




ちなみに、コピーライト表記を行いたい場合の表記方法については、次回




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