今日のエピソード
「西郷隆盛~思い通りにならない辛さ~」
江戸時代後期、見たこともない蒸気で動く異国船が突如、日本に現れました。
鎖国をしていましたので、みんな大パニックです!
異国船は打ち払うべしという攘夷論者と、戦うなんて無謀だから国を開いてまずは国を強くしようという開国論者がいました。
西郷隆盛32歳のときです。
政権を握っていた徳川幕府に開国論者たちは意見を述べました。
すると幕府は「そんなことを言うなどけしからん!」と開国論者たちを次々と処刑していきました。
世に言う安政の大獄です。
当時、西郷どんは薩摩藩主の島津斉彬の命で、京都で政治工作をしており公家とよしみを通じていました。
薩摩藩と公家とをつなぐ、月照という清水寺の僧も幕府から追われる立場となってしまいました。
そこで京都のとある公家から、月照を安全な場所に連れて行ってほしいと西郷どんは頼まれます。
西郷どんは、このお方は必ずやお守りしなければと思い、危険を承知で迷わず引き受けました。
月照を京都から、薩摩藩まで送り届けることとなりました。
月照をカゴに載せ、隠し道を急ぎ進みます。
京都の街はずれまできたとき、街道のお茶屋に幕府の役人が待ち構えていました。
普通なら、見つからないようにイソイソと立ち去ろうとしますが、西郷どんは違いました。
何事もないように、そのままカゴを進めると、茶屋の縁台にどかっと座りました。
そしてのんびーりとお茶を飲み、周りを気にせず堂々とふるまったのです。
おかげで役人たちに怪しまれることなく、危機を脱出できたのです。
二か月ほどの旅の末、ようやく月照を薩摩藩まで連れてくることができました。
ところが!藩の上層部はおたずね者である月照をかばう気はありませんでした。
西郷に月照を国境に連れていき藩の外で始末せよと命じました。
その晩、冬の港を西郷と月照は船に乗り出発しました。
「藩士である以上、藩命には従わなければならない。しかし、このお方を守ると誓ったではないか・・・」と西郷どんの心は揺れ動きます。
そんなとき、月照は歌をしたためました
「曇りなき心の月も薩摩潟 沖の波間にやがて入りぬる」
この歌を聴き、月照はここで死ぬ覚悟なのだと西郷は悟ります。
すかさず、西郷は月照とともに凍てつく真冬の海に身をなげました・・・
自分の信念を曲げることも貫くこともできない。
追いつめられた末の行動でした。
ふたりはすぐに引き上げられました。
しかし、月照は絶命してしまいます。
奇跡的に西郷だけが息を吹き返したのでした。
凍てつく真冬の海に身をなげるほど、心の葛藤をした若き日の西郷どん。
実直であるから、辛さも大きくなってしまったのでしょうね。