お仕事でモンキーBAJAのお相手 | 退職してバイク電装屋

退職してバイク電装屋

自分のDUCATI SS900ieやKATANAⅢ型カタナのメンテ,お仕事のバイク電装作業中心のブログ。
バイクのほか車,家族,趣味のネタを掲載してます。

仕事でホンダ モンキーBAJAのお相手をしました。

 

モンキーBAJA

ワンボックス搭載でご来店されたお客様。

 

小さいので、ラダーフレームも使わず車体を降ろし、店内へ。

 

息子さんのバイクらしいのですが、モンキーを数台所有され、

息子さんとロングツーリングに行くのだとか。

 

で、ご依頼の内容ですが、「急にライトが暗くなり、ウィンカーも正常に

機能しない」との事。

 

配線図やマニュアル、スペアパーツ類も持ち込まれています。

 

車体はメンテナンスを考えて極力ストリップされていて、

すぐに手を付けられるようにしてくれました。 助かります。

 

では、配線図と実車を見比べて、どう手を着けるか考えます。

 

車体はバッテリーレスで、純正12V仕様です。

 

でも、配線図には「バッテリー」と書かれている物があります。

 

モンキーマニアならば知っている方もいるとは思いますが、

エンジン始動前にニュートラルランプを点灯させる目的で、

2Vの(12Vじゃないよ)ランプ系バッテリーがあるんです。

 

ニュートラルランプ以外は、すべてAC12Vで使用しているので、

不具合個所を調べるうえでは、ちょっと楽かな?

 

ジェネレーター

このモンキーのジェネレーターは、保安装置用は非接地のコイルを

使用しています。

 

コイル途中で接地したりすると、発生電圧が下がるので、まずコイルのメガー(絶縁抵抗測定)から。

 

参考に測ったコイルの両端抵抗は0Ωで問題無し。

 

が、メガーの50Vレンジでは”0MΩ”で、絶縁不良です。

 

う~ん、、、念のために測ったメガーがダメだと、ジェネばらさなきゃ

ならんな。(;^_^A

 

アース間抵抗

フライホイールを外し、コイルの両端をアース間で抵抗測定すると、

白/黄側は125Ω、緑側は4Ωほどです。

 

どこが接地しているんだろう?

テスターで抵抗が測定できるぐらいだから、見ればわかるハズ。

 

保護チューブを外して

保護チューブをズラしてみても、傷などは無いし・・・

 

バラしたけど不具合無し

結局、コネクターを外して、保護チューブを全部取って目視しましたが、悪い所は見つからず。

 

元通り組付け直ししたら、絶縁は問題無い値(100MΩ以上)に

なっちゃいました。

 

なんだったの??

 

気を取り直して、エンジン始動でAC電圧を測定します。

 

アイドリング付近で8V、アクセルを少々開けても9Vぐらい。

マニュアルの記載だと13~15Vと書かれているので、

非常に低いです。

 

古いバイクだと、コイルや各配線がクタビレて、電圧が出ない事は

多々ありますが、

 

このモンキーは新しいので、コイルが原因では無いでしょう。

 

電圧を制御しているのは、

ACレギュレーター

このACレギュレーター。

 

ホンダ系では、内部に整流用のダイオードを内蔵した、4端子の

レギュレーターをよく見ますが、電圧制御機能だけの物を

私は初めて見ました。

 

これを外して、エンジン始動すると13V以上出力します。

 

これが原因ですね。

 

実はこのACレギュ、持ち込み前に症状改善を試み、別車両の物と

取り替えたらしいんです。

 

で、元々付いていた物がスペアパーツ内にあり、取り替えてみました。

 

エンジン始動すると10~11Vぐらいと低く、ウィンカーは回転を

上げればなんとか点滅するぐらい。

 

レギュを外した状態ならば、ウィンカーは正常に点滅。

 

ご依頼の不具合は、このレギュを交換すれば治ります。

 

ほかに不具合が無いかと調べると、ニュートラルランプが

点灯しません。

 

球切れかな?と思い、電球を調べるも、球切れではありません。

 

電源は先に話した2Vバッテリー。

 

2Vバッテリー

レギュの奥に隠れているコイツです。

 

エンジンを始動すると、バッテリー両端は2V程度に上昇しますが、

エンジンを停止するとmV単位に落ちます。

 

バッテリーがダメですね。

 

で、バッテリーを切り離し、バッテリー配線のメインハーネス側に

直流発生装置の2Vを印加してみます。

 

が、ニュートラルランプは点灯せず。

 

ん?? なんで???

 

ランプを外すと、

ニュートラルランプ

薄暗~く点灯してます。

ランプがメーターケースについた状態では点灯しているようには

見えません。

 

2V系のプラス側は、電圧は問題無し。

 

アース側のニュートラルスイッチ回路は、テスターで抵抗を測ると、

200kΩ以上あり、この抵抗値では電球が正常に点灯しません。

 

配線図だと、ニュートラルスイッチ側には何も付属回路は無い

のですが、

 

回路を追いかけると、途中で配線色が変わっているので、

何かあります。

 

ニュートラル回路ダイオード

あったのはダイオード !

 

ニュートラルランプとイグナイターのインターロックに使うための

ダイオードです。

 

ダイオードって、ダイオードがONになるための「順方向電圧」って言う

のが必ず伴います。

 

ONになるために、この電圧分だけ電圧降下を起こします。

 

今回のダイオードは、順方向電圧が 0.5 V 程ありました。

 

って事は、その他の接触抵抗などの抵抗値がゼロであっても、

0.5 Vは確実に低下するって事です。

 

2V系のバッテリーで駆動する、2V定格のランプを点灯させるのに、

ダイオードで 0.5 V低下するんだから、ランプに掛かる電圧は

1.5 Vって事です。

 

ホンダはバカなんでしょうか?

 

ダイオードが必要ならば、バッテリーを3Vの物にして、

2Vの電球を点灯させれば良いのに。

 

しかも、ニュートラルスイッチは油中のスイッチだから、

接触抵抗はかなり大きい。

 

ニュートラルランプが全点灯する訳、無いですよね。

 

で、エンジン始動前は、回路が健全でもニュートラルランプは

半点灯で見えないので、

2Vバッテリー切離し

バッテリーは有っても無くても同じだから、接続しない事になりました。

(垂れ下がっている緑,赤の線が、バッテリーに接続される線です)

 

ここまで来たら、ACレギュレーターを交換すれば修理は完了ですが、

ACレギュレーターはお客様でも交換できますので、

 

この状態でお引渡しをして、お客様側でACレギュを交換する事で

話がまとまりました。

 

長々と書きましたが、作業時間は1日。

 

交換部品は無しです。

 

これなら修理費用が安いですからね。 お財布に優しい。

 

 

 

 

 

 

 

おしまい