長年嫁を困らせてきた自己中ワガママ女王様気質のムスコン姑。

家族の世話とパートの仕事以外に生き甲斐がなかったムスコンは嫁を潰して嫁の役割を奪うことで承認欲求を満たしていた。家族の世話をする自分が大好き。そんなムスコンについにお迎えの時がやってきた。

 

 

~息子大好き!嫁大嫌い!孫は私の物よ!な食い尽くし系夫の産みの親ムスコン姑と私の闘いの日々~

 

最初から読みたい方はこちら

 

前回はこちら

 

 

 

その翌日、姑の妹がハイエナに電話をしてきた。

 

 

「お姉ちゃんが点滴の針を抜いて血だらけになった。今看護師さんたちが片づけてくれている。手を拘束してもいいかと言われたので同意書を書いた。看護師さんから着替えを多めに持ってくるように言われた。あとずっと上の子と下の子の名前を呼んで上の子と下の子は来ないの?と言ってるから今は子どもたちは連れてこないほうがいいかも知れない」

 

 

 

点滴の針を抜くとは実にあの姑らしい行動ですね。

 

 

この前も家に帰ろうと何度も言っていたからきっと点滴を抜いて歩いて帰ってやろうとしたんでしょう。

 

 

孫への執着もあの人らしい。

 

 

姑は孫に会いたいだろうけどまだ幼い子供たちにこの状況を受け入れろと言うのは無理だ。

 

 

私は姑宅に寄るのが面倒だったので子どもたちのスイミングの帰りに近くのイオン系のお店に寄って安い肌着を数枚買ってハイエナと子どもたちと一緒に持って行った。

 

 

しかし姑は「暑い!!!」と言って肌着を拒んで着なかった。

 

 

やっぱり姑にお金を使うのは無駄ですね。

 

 

そして姑は眠いと言ってそのまま寝てしまったので私たちは帰った。

 

 

その二日後の事だった。

 

 

その日はなぜだか子どもたちを連れて姑の所へ面会に行った方がいいような気がして

 

 

子どもたちを散髪に連れて行った後に「婆ちゃんの所に行く?」と聞いたら「行かない」と言うし私も夜の薬を持ってなかったので「ならいいか」と思ってそのまま普通に過ごした。

 

 

晩ご飯を食べてお風呂に入って8時には子どもたちを寝かしつけた。

 

 

私はリビングで一人でボーっとしていると8時半ごろに夜勤のハイエナから電話がかかってきた。

 

 

電話口のハイエナは酷く慌てていて

 

 

「母親が意識不明になった!!今から病院に行ってくる!!!」

 

 

「私も行こうか?」

 

 

「いや、ちょっと熱が出て寝ているだけかも知れないから来なくていいよ!!!あんたは寝てなさい!!!」

 

 

「でも」

 

 

「いいから!!それじゃ切るからね!!!」

 

 

ハイエナはすぐに電話を切った。

 

 

私は行かなくても大丈夫と言われたものの本当に行かなくてもいいのか疑問だった。

 

 

でも子どもたちもう寝てしまったから起こすのも大変だし大丈夫かも知れないと言うんだからきっと大丈夫だろう。本当に悪かったら今すぐに来いと言うはずだと思った。

 

 

いつもだったら9時過ぎには眠剤を飲んで寝るけどもしかすると何かあるかもと思った私は念の為に薬を飲まなかった。

 

 

いつ呼ばれてもいいように数日分の薬をポーチにまとめて入れた。

 

 

すると、10時過ぎの事だった。

 

 

突然リビングに姑の入院している病棟の匂いがしたと思ったら10分後ぐらいにハイエナから電話が掛かって来た。

 

 

「もう駄目だぁ~。今から来る?」

 

 

「分かった。すぐに行く」

 

 

私は子どもたちを起こした。でもなかなか起きないから「今から婆ちゃんが遊んでくれるよ」と言うと二人は起きた。

 

 

急いで着替えさせて車に乗った。

 

 

病棟の匂いがしたのは姑がここに来たということだ。昔から毒母がよく言っていた。死ぬ時には一番会いたい人の所に会いに行かせてもらえるんだと。

 

 

だから恐らく姑はもう死んでいる。最後に孫の顔を見たくてうちに来たのだろう。

 

 

今から急いで行っても間に合わない。

 

 

どうしてハイエナは8時半の電話で私には来なくていいと言ったのか。

 

 

この男の判断に任すといつもろくなことがない。ハイエナがいいと言っても支度して行くべきだった。

 

 

急いで行こうとしたもののこの時はなぜかトンネル工事をしていて長い距離の片側通行が3か所もあったのでなかなか前へ進めなかった。

 

 

看板によると夜10時から工事が始まったらしく、8時半の電話ですぐに行っていればこんなに待たなくても良かったのにとイライラした。

 

 

病院に着くと夜の11時だった。携帯を見るとハイエナが何回も電話をかけていた。

 

 

玄関に入るとハイエナと姑のきょうだいが座っていた。

 

 

ハイエナはふてくされたように怒っていて姑のきょうだいは悲しそうにしていた。ハイエナはずっと黙り込んで姑のきょうだいが話し出した。

 

 

「間に合わなかった」

 

 

そして意識不明になってから最後までの話を聞いた後に

 

 

「頭のMRIを見たら真っ白だった。それから2時間後に心臓が止まった。葬儀はね、舅さんと同じところにしたよ。少し遠いから来るのに時間がかかるって言われたからそれまでここにいていいって言われた」

 

 

姑のきょうだいは立ち上がりハイエナも歩き出して5人でエレベーターに乗った。

 

 

病棟に着くと、病棟は薄暗く静まり返っており物音ひとつ立ててはいけないような雰囲気だった。

 

 

私が入院していた病院とは違って廊下が狭く天井が低いせいか異様な圧迫感を感じた。

 

 

看護師が出てきて奥の方にある入り口にカーテンが引かれている部屋へ通された。

 

 

カーテンの隙間から隣の部屋に姑の妹夫婦が座っているのが見えた。

 

 

中に入ると顔に白いハンカチをかけられた姑が寝ていた。

 

 

看護師がハンカチを持ち上げた。

 

 

姑は少し口を開けて目を閉じていた。顔色は悪かった。髪の毛は根本は白かったが茶色く毛先がくたびれていた。フケはなかったのでちゃんと洗ってもらっていたんだろう。顔中そばかすだらけだった。

 

 

姑が死んだ・・・。これが姑の死に顔か・・・。

 

 

子どもたちは騒ぐこともなくじっとしていた。

 

 

看護師はすぐに姑の顔にハンカチをかけると

 

 

「荷物はどうされますか?全部処分しますか?」

 

 

と言った。

 

 

姑のきょうだいが「全部捨ててください」とキレ気味に言うと「分かりました。こちらで処分しておきます」と看護師は言った。

 

 

 

そして私たちを廊下に誘導したかと思うと

 

 

 

「今すぐ下に降りて下さい!!!!」

 

 

と突然鬼の形相をしてキレた。

 

 

へ?

 

 

と思った私は一瞬何が起こったのかよく分からなかった。

 

 

舅が死んだ時には病室にナースが入ってきて「落ち着くまでいて大丈夫ですよ」と声をかけてもらえたんですがこの病院は死に顔を見せたらさっさと追い出すんですね。

 

 

 

確かに私は姑が嫌いです。だけど夜遅くに突然もう駄目だからすぐに来いと連絡を受けて病院に着いた途端死に顔を見たらさっさと下に降りろって酷くないですか。

 

 

 

それに何でキレているのかもよく分からないし。

 

 

もしかして私が早く来なかったから怒ったんですかね。でも家族が必ずしも病院の近くに住んでいるとは限らないのでは?

 

 

ま、まさかとは思うけど自分の休憩時間が短くなるからさっさと追い払いたい、なんてことないでしょうね?

 

 

するとそこに姑のきょうだいがやってきて

 

 

「今葬儀屋に来てもらっている最中なんですよ。葬儀屋があと1時間かかると言うので葬儀屋が来るまではここにいていいとさっき言われました」

 

 

鬼ナースはそれを聞くなりまたまた鬼の形相で、本当にそうなのか確かめてやる!!!と言わんばかりに電話を取り出して誰かに電話をしてこれまた喧嘩腰な声で確認をしていた。

 

 

そんなにさっさと出て行って欲しいんですかねぇ。

 

 

鬼ナースは電話を切るなり「ここにいていいです」とやんわりとした声で言うと詰め所へ帰っていった。

 

 

一体何なのこの病院。

 

 

このナース、自分の親が死んだときに同じ対応を取られても平気なのかな。

 

 

すると姑のきょうだいが「りんごさんは子どもたちを連れて帰った方がいい。姑さんは家に帰りたがっていたからこれから家に連れて帰る。ハイエナが泊まるから大丈夫。また明日来なさい」と言った。確かに姑の家には私の布団はありませんからね。

 

 

ハイエナは「あんた眠いんじゃないか。大丈夫か」

 

 

とようやく口を開いたが「大丈夫よ」と言って「それじゃ悪いけど私は子どもを連れて帰るね。明日ムスコンさんの家に行くから」と言って子どもたちを連れて帰った。

 

 

子どもたちは車に乗ると寝てしまった。

 

 

姑が死んだことを分かっているようには見えなかった。

 

 

私は家に着くとすぐに眠剤を飲んだがその日は朝まで眠れなかった。

 

 

結婚してからずっと姑には悩まされてあんな糞婆なんかさっさと死んじまえと何度も思ったのになんでスッキリしないんだろう。

 

 

翌朝、子どもたちの学校と園に学校を休む連絡をしてから姑宅へ向かった。

 

 

姑宅について玄関を開けると、姑のきょうだいが台所で何かを話していた。

 

 

すると

 

 

なぜかそれに反応するかのような姑の話声がするのです。

 

 

姑は一生懸命何かを喋っていました。

 

 

でも姑のきょうだいは気づいていません。

 

 

そして私が「来たよ」と言って中に入ると姑の話し声はぴたりと止まってしまいました。

 

 

一体何なの・・・。もう死んだんじゃないの?

 

 

 

続く