奔放なオペラ歌手ジェーンの歌声に魅せられたヴァーノンは、婚約者のために一度はあきらめた音楽家への道を再び呼び醒まされた。それはまたジェーンへの愛の兆しでもあった。平凡な幸せを望む心とは裏腹に、二人の女性を愛し、音楽家としての野心に取り憑かれた天才芸術家の愛と苦悩を流麗な筆致で描く大河小説。
メアリ・ウエスマコット名義で書かれた、クリスティ最初の叙情小説(らしいです)。
なのでこちらにはポアロもミスマープルも出てきません
殺人も遺産を巡る事件もありません
ですが、普段のミステリ小説より長い
そして盛りだくさん
そして最後に思わぬどんでん返しも
このへんはさすがクリスティ。
こちらが書かれたのは1930年。
途中に世界大戦があり、主人公ヴァーノンも戦地へ赴きます。
これはどうやら第一次世界大戦のようで、残念ながらジョーが小説の中で予言したようにはならなかったですね。。
人間はこの残虐、悪に嫌気がさして、こんな愚かなことはもう二度と繰り返さないだろう、と彼女は言った。
それは引いてはクリスティの望みだったかも知れません。。
原題は「巨人の糧」。
巨人とは、天才に縛られもがく主人公ヴァーノン。
自分の望むと望まないとに関わらず、音楽に惹かれ、音楽を研究するしかない状態に苦しむ主人公の姿。
その糧となるのは。。
ふたりの女性であり、平凡だけど幸せな日常であり、苦しくも美しい愛情であったり。
いやあ、天才って大変なんですね