「一代茶聖利休」(邦画題名「利休にたずねよ」)
映画の中の1シーンに茶会で障子が開けられ、
風と共に天井に配された櫻の花びらが碗に舞い落ち、
客は歓声をあげます。
「久方の 光のどけき 春の日に しずこころなく 花の散るらむ」
利休が茶人と成る前に心惹かれた朝鮮の女性が服毒自殺を図ります。
死の直前に彼女は
「ムクゲの花は短い命であるが、生かされた命の喜びで咲き誇る」
と利休に伝え、「あなたは生きて下さい」と伝えます。
ムクゲとはハイビスカス。中國語で「木槿/木槿」(ムーチン)、
韓国では「무궁화」と言われるそうです。
一般的には桜の花よりも長く咲きますが、このシーンでは
『無常』を伝えているように思えます。
秀吉は最後までそれを認めず利休に切腹を命じた。
一服の茶の中に、「今 生かされている喜びを発見せよ」
と伝えてくれているようでなりません。
日本人であることを再発見させてくれる味わい深い作品でした。