おはこんばんちは~
Netflixの新着
「8 Vasandhalu」(2025年)
テルグ語映画です。
8つの春、8年にわたる物語になります。
日本のネトフリでは配信していないようなので
完全ネタバレです。
主人公の女の子が空手の使い手である、というちょっとインド映画としては珍しいパターン。
でも、空手映画、と言うわけではありません。
空手はストーリーをつなぐための素材?であって、本質ラブストーリーです。
真ん中辺にバリバリに強い彼女のアクションは入っています(私的にはこれが必要なのか疑問ですが、トリウッドは派手なアクション好きですからね)。
冒頭、主人公の女性(シュディー)が涙ながらに廊下を走ります。
そして、何かを見た瞬間、画面はとまり、そこから逆行していきます。
彼女の人生の出会い、過ごした時間…
どんどんさかのぼって行きます。
そして、
2013年 南インドにある静かな避暑地、ウーティにある空手道場から物語は始まります。
その入り口でヴァルンは練習中の生徒たちを馬鹿にしたような目で見ています。
彼はアメリカ育ちで、テキサス州のテコンドーのチャンピオンになったことがあるので、彼らの練習が軟弱に見えたのでした。
道場に入り込むと、「俺に勝ったら、このi-Podをやるよ」と言います(いわば道場破り)。
何人かの男子生徒が挑戦しますが、かないません。
いよいよ調子にのるヴァルン。
女生徒のアニタが止めに入ると、ヴァルンは格闘技は女のやるものじゃない、と言います。
それに対し、アニタは明日、同じ時間に道場に来てシュディーに会ったら、それが間違いだって分かるわ、と言います。
次の日、またヴァルンが来て、かかって来た男子生徒を負かしているところにシュディーが入って来ました。
シュディーはヴァルンを負かし、ヴァルンはi-Podを置いて立ち去ります。
シュディーはインド軍でスナイパーをしていた父親を亡くし、
その悲しみから立ち直るために本を書きました。
それが大富豪の目にとまり、次の本を執筆することとなります。
病気で入院中の空手のマスターの所に行って、
執筆には2年かかるので、むしろここに留まって黒帯をとる練習をしたい、といいます。
マスターは君が帰って来るまで、死なないから行きなさい、と送りだします。
2014年
シュディーの空手道場での友人カルティックの所にヴァルンが訪ねてきて
シュディーの書いた本が本屋で見つからないので、持っていたら貸して欲しいと言ってきました。
道場でしでかした失礼な行為をシュディーに謝りたい、とも。
彼はテキサスで高校を卒業。休みで帰ってきていました。
バイオリンを弾いており、作詞、作曲など音楽を続けたいと思っています。
彼の父親は不動産業をやっていましたが、若い頃夢だったマサチューセッツ州バークリー音楽大学にヴァルンが入ってくれることを望んでいます。
シュディーが執筆のための旅行からウーティに帰ってきました。
ヴァルンはアメリカ育ちなのでテルグ語の詩が書けないからと、シュディーに翻訳を頼みます。
最初は断っていたシュディーでしたが、ヴァルンの熱心さに負けて引き受けます。
本を仕上げるためにカシミールに向かうシュディーが翻訳した詩をカルティックに託します。
カルティックからその詩を受けとったヴァルンはすっかりシュディーに心を奪われます。
2015年
その歌でナイチンゲール賞の金賞を取ったヴァルンは、そのトロフィーをカシミールのシュディーの住まいの玄関先に置きます。
カルティックを使って、シュディーの母親から住所を聞きだして来たと言います。
それから毎週日曜日になると、ヴァルンははるばるカシミールまで訪ねてくるようになりました(飛行機で8時間)。
2人でデートを重ねます。
ヴァルンは両親にはチェンナイでクラシックのレッスンを受けると言って来ていると言います。
第10週目にヴァルンはシュディーに告白します。
シュディーは、毎週長距離を通って来たその熱意に感激します。しかし自分がヴァルンを愛しているかすぐ返事することはできませんでした。
ヴァルンが家に帰って、オンラインをチェックすると、
そこにはバークリー音楽大学不合格の知らせが届いていました。
一気に落ち込むヴァルン。
父親はヴァルンがバークリーに行くことを期待し、また大丈夫と言い続けている彼の言葉を信じて、インドにある全ての所有する物件を売りはらってマサチューセッツに行く準備をしています。
とても不合格だったなどとは言えません。
クリスマスの食事に招いてくれた伯父の家で、伯父からこっそり何かあったのか?とたずねられるヴァルン。
実はバークリーに不合格だったこと、とてもそのことを父親にはいえないというと、
伯父は、彼の義理の兄がマサチューセッツの州議会議員なので、裏口入学させてやる、そのことは父親にも誰にも言わない。
その代わり、卒業後は娘のマリカと結婚してくれ。彼女も、うちの家族も君のことを気に入っている。しかし、これは君次第だ、後で返事をくれ、と言います。
ウーティに帰って来たシュディー。ヴァルンの愛を受け入れようと思っていました。
しかし、あれほど熱心に会いに来て告白してくれたのに、ヴァルンからは何の連絡もないばかりか、
連絡しても返事がありません。
熱を出して寝ていると、アニタから電話があり、ヴァルンがその日、アメリカに発つと聞かされます。
雨の中を走ってヴァルンの家に向かうシュディー。
しかし、ヴァルンはシュディーを冷たくあしらい、バークリーに落ちたのはお前のせいだ、とまで言います。
シュディーはきっぱりと、今後一切かかわらないと言って、立ち去ります。
その時の雨に流されたバラが何だったのか、あとで分かります。
2016年
空手のマスターが亡くなりました。
その前に約束通り、シュディーに技のすべてを叩きこんでいきました。
シュディーも心の隙間を埋めるかのように、熱心に稽古に励みました。
他に家族の居なかったマスターの葬儀を、友人のカルティック、アニタ、母と共に済ませると、
シュディーは遺骨を親戚に届けようとします。
2017年
遺骨を親族に届けようとする中、暴漢に襲われますが、技を駆使し、
並みいる男達をバッタバッタとなぎ倒します。
結局親族は見つからず、ガンジス川に遺骨を流すと、タージマハルを訪れます。
思いを巡らせていると、ガイドに声をかけられますが、不要だと断ります。
2018年
アニタと一緒に出掛ける途中で、道端で石炭を片付けている老人を助けている青年に会います。
アニタが、彼は、今女性に大人気の新進気鋭の作家サンジャイだと教えてくれました。
アニタがその本を読めば素晴らしさが分かるとあまりに勧めるので本屋に行くとちょうどサイン会をしていました。
シュディーはほんの内容に感銘を受け、彼のことを知ろうとします。
ある時ばったり図書館で彼に会います。本を書いた経緯聞き、さらに感銘を受けます。
それを機会に2人は度々会うようになります。
行動を共にするうち、シュディーにとってサンジャイはかけがえのない人であると感じるようになります。
シュディーの母親は、母子家庭で、家族も少ないため、シュディーにはしっかりとした大家族に嫁いでほしいと思っていました。
しかし、サンジャイは孤児でした。
それでも、サンジャイと結婚したいと母親に告げようとしたその日、母親が倒れているのを見つけます。
心臓発作でした。
一命は取り留めたものの、医師からはストレスのかかるようなことはしないようにと言われます。
2019年
母親の具合は良くなりましたが、心配はかけないようにと、シュディーはサンジャイと距離を置くようになります。
2013年にシュディーの本を認めてくれた富豪が甥と共にやってきて、甥が彼女の本を読んで結婚相手にしたいと願っていると告げます。またとないお相手だと母親は喜びます。
サンジャイに心を残しながらも、母親を安心させるために、この縁談を受けようと思うシュディーでした。
あっさり引き受けたのに、なにか様子がおかしいと思っていた母親の所に、親友の二人カルティックとアニタがやってきて、シュディーは母親の健康を気遣って縁談を受けようとしているが、本当はサンジャイを愛しているのだと告げます。
2020年1月
シュディーの母親がサンジェイの家を訪ねます。
そして、娘が自分の健康を気遣ってサンジェイを避けていること、好きでもない人との縁談を受けようとしていることを話します。サンジェイにあなたは娘のことを好きなの?と聞くと、
彼は、実は今執筆中の本の主人公は、あなたの娘さんなのです、と原稿の一部?を母親に託します。
縁談を承諾するというシュディーに、母親はまず、これを読んだあとではっきり結論を出しなさい、と封筒を渡します。
それにはまず、サンジェイが孤児としてどんな生活を送ってきたか、孤児院で出会った教師サンダヤによって教育を受け、作家になる道が開かれたことが書かれていました。
そして、実は初めてシュディーにあったのは、石炭を拾っていた道端ではなく、空手道場であったこと。ヴァルンに打ちのめされたのを救ってくれたのがシュディーで、それから憧れていたのだと。
それから、折に触れてシュディーを見かけ、誕生日にバラの花束を持って会いに行こうとした時に目にしたのが、ヴァルンとの決定的な別れの瞬間であったこと。
母と慕っていたサンダヤに死なれ、放浪の旅に出、あらゆる仕事を転々としたこと。それを題材に本を書いたこと。今のベストセラーを執筆中はタージマハルでガイドをしていたが、その時シュディーを見かけたこと…
それにより、想いは出会いの時から続いていて、今度こそ必ずシュディーときちんと会おうと心に決めたこと。
そこで、冒頭のシーンにつながり、シュディーが見たのは、にこやかに笑う母と、サンジャイでした。
話が盛りもりですよね。どうも、どうもご苦労様でした(笑)
最後の10分で全ての伏線を回収します。
そういう意味ではそれなりに面白くはあったんですが、その割にあんまり感動は無かったです。
やっぱり空手に無理があったかなー。
ストーリーをくっつける役割は果たしていましたが、その意味付けをしなくちゃならなくて、大変でしたね。
サイドストーリーとして、親友たちの恋や夢、互いの友情が折り込まれています。良いんだけど、これも焦点が。
話の全体は悪くないし、伏線ばらまいて回収するのも良いんですが、なーんかすっきりしないのね。
一口で言うと…個々の素材は良いけど、良く混じっていなかった…って感じ。
ヴァルンの、超身勝手な態度にむかむかします(笑)。結局道場破りで入って来たときと変わってない。
雨の中駆け付けてきたシュディーに、自分は車で出るのに、傘もさしかけないのよ。なんじゃこいつ。
それに比べてサンジャイは、逆境の中から立ち上がり、どんどん人にやさしくなって行く。
二人のクオリティを見比べる、と言う意味では興味深いかも。
どちらも作られたキャラクターではありますが、実際に似たようなのいたりしますしね(笑)
そういう意味ではヴァルンとは別れて良かった(笑)
などと、見ながらぶつぶつ言うには良い映画です^^
因みに、ヴァルンのその後どうなったかは出て来ません。
画像は全てお借りしました。