僕みたいなのがこの話題に触れるのはとてもリスクがあるんだけれど(笑)さんピンCAMPが20年ぶりに開催されるというニュースを見て、懐かしい気持ちになったのでその当時のことを振り返っておこうと思う。音楽が今よりもっとイキイキしていた時の記憶として。

 

 さんピンCAMPが開催された1996年、僕は大学生で六本木WAVEの3F洋楽コーナーでレジ打ちのバイトをしていた。もちろん僕はB-BOYではなかったし、HIP-HOPに関しては日本語のものをほとんど聞いたことがなくて、ブッダブランド「人間発電所」、LAMP EYE「証言」(アナログ盤?)は珍しく洋楽コーナーにも置いてあったのでチェックしていてカッコイイと思ったけれど、何だかよく分からないというのが正直なところで。ちなみに僕はあまり好んで聞かなかったけど、その頃ロック界隈ではリップスライムが静かなブームになっていて、僕が所属していた駒大ロック研究会の後輩たちも聞いていたと記憶している。

 

 WAVEで同じレジ打ちをしていた人がB-GIRL(今でもそういう言い方するのかな??B-BOYの反対ですね)で。彼女は強烈なB-GIRLだったので、もちろんさんピンCAMPを野音へ観に行ったんだけれども、その興奮たるや凄かったのを今でも覚えている。「ヤバかった」を連発していた。日本のHIPHOPも何か凄いことが起こったんだなぁと。まさに日本のHIPIHOPの夜明けだったんだと思う。その後、さんピンCAMPは映像パッケージにもなって(その当時はまだビデオだったと記憶している)洋楽コーナーでもよく売れたのを覚えている。いまではYOUTUBEにアップされたりしていて簡単に見られるけど、当時はビデオなりDVDなりを買う必要があった。そういうクローズドな状況が希少価値を生み、この盛り上がりをさらに助長したのかもしれない。

 

 その次の年、1997年に最初のフジロックがあったりして、あの頃はいわゆる「野フェス」がどんどんでてきて、音楽業界がさらに拡大していって、新しい価値が出てきて、僕もワクワクする感覚を持っていたのを覚えている。さらにその次の年の1998年は音楽ソフトの市場規模において日本の音楽産業はピークを迎える。ちなみに2015年の音楽ソフト・配信の市場規模は約3,000億円でピークの半分になってしまっている。トヨタ自動車1社の営業利益が2兆円を超えていることを考えると音楽業界はずいぶんと小さい市場になってしまった。ってトヨタが大きすぎるのか??

 

 これもネットニュースで見たんだけれど、残念なことにそもそも「音楽を聞かない」という人が増えているそうだ。無関心な人が増えているということは音楽そのものの魅力が薄れてきてしまっているのではないか。これは音楽業界にとっては大きな課題だし、もちろん僕にとっても同じだ。自戒を込めて、音楽業界全体として音楽をもっと魅力あるものにしていく努力が必要なんだと思う。さんピンCAMPやフジロックがあった頃のような興奮をもう一度再現したいものです。