雪の残る歩道

まだ
踏み入れたことのない街へ
旅をするという
話を聞いたとき、
もしも
体が楽になれたら
一番最初に
行ってみたいと
思っていたあの場所
今のわたしには
手の届かないこと
ほんの一瞬
心が揺れたけれど
旅の話の途中で
「何がいい?」
おもいがけない言葉に
そんな思いは
すっと遠のいていった
わたしの体を
気にしてくれたのだろう
この手のものはだめで、
あれなら大丈夫か
ひとりごとなのか
わたしに問いかけてるのか
やさしさのつまった
あいまいな投げかけに
胸があたたかくなる
「キミがいいと思うもので」
そこで止めておけば
きっと、大人だったのに
やわらかいもの
口にほどけるもの
正直さが
自然に出てしまうのも
わたしらしさ
でも
ほんとうに
欲しかったのは
形じゃない
選ばれる前の
選んでいる時間
その時間こそが
一番の贈りものだと
知っているから
遠い街の棚の前で
ほんのひとときでも
思い出されるなら
それだけで
もう十分だった
朝の散歩道
まだ、雪が残る
まっすぐな歩道に
自転車の背中が
少しずつ
小さくなっていく
あの日の
後ろ姿の気配が
ふと重なる
“今頃、どんな景色を
見ているのだろう”
その歩道へと
わたしは
足を止めていた
※私two-miracleの綴る詩は
内にある記憶や感情と、創作の中で重なり合う様々な愛のかたちを、丁寧に描いています。
この詩に触れた方が、 それぞれの心と記憶に、
静かに響きますように。
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